【20世紀名車ギャラリー】ジェームズ・ボンドも愛した快速GT、1967年式アストンマーティンDB6の肖像

ル・マンを制したスポーツ血統が光る英国の誇り

　1967年式アストンマーティンDB6。取材車は各部をパーフェクトに仕上げたフルレストアモデル。DB6はボンドカーとして知られるDB5の後継車として1966年10月にデビュー。リアエンジをレースフィールドで空力面の優位性が実証された「コーダトロンカ形状」にリファインし、フロントウィンドウをDB5よりも寝かせてスタイリングを洗練させた。取材車のコンディションは「極上」という表現がふさわしい。塗装の質感やメッキ仕上げパーツの輝きなど新車同様の雰囲気である。タイヤは深い艶をたたえる新品（185／R15・93H）を装着していた。

☆ボディは強固なプラットフォームに小径鋼管を溶接し、その上にアルミパネルを貼っていくアストンマーティン伝統の「スーパーレジェッラ工法」。足回りはフロントがダブルウィッシュボーン式／リアはトレーリングリンク式のリジッドの組み合わせ。スリーサイズは4623×1676×1359mm。ボディのエアアウトレットは最新アストンマーティンも継承するディテールである。

☆室内は本革を贅沢に使った上質な空間。ラック＆ピニオン式ステアリングは正確だが、操舵の際は非常に重い。トランスミッションは5速MTと当時としては珍しい3速ATが設定されていた。取材車は希少な3AT仕様。フライオフ式の駐車ブレーキは運転席サイドに配置する。

☆ホイールベースの延長でDB5よりも後席スペースを広げたDB6の室内は、ルーミーなフル4シーターに近い居住性。本革張りのシートは比較的ソフトな感触でサポート性は良好。撮影車のシートは新車時そのままのオリジナル。

☆レーシングカー直系の直6DOHCエンジン。入念に手入れが行き届き、イグニッションに即応して始動する。

☆ホイールはセンターロック式ワイヤースポーク。ブレーキは前後ともにディスク。

☆2本出しマフラーが奏でる排気ノートは精悍な重低音。エンジン回転が上昇するとい音色は澄み渡る。

☆速度計はmph表示。タコメーターは5500rpm以上がレッド

☆トランクは広く実用的。上質なトリムが仕上げのよさを物語る。取材車はジャッキなど備品を完備している

［新車時の車両データ］
サイズ：全長×全幅×全高4623×1676×1359mm、ホイールベース2584mm、車重1550kg。エンジン：3995cc・直列6気筒DOHC、286ps／5500rpm、39.8kgm／3850rpm。トランスミッション：5MT／3AT。駆動方式：FR。新車時価格：不明。

Comments

[LM59_No.5]

よく誤認されていますが、DB6は「SuperLeggera」工法ではないですね。