カニバってない? 迷うマツダSUV選び
text:Kenji Momota(桃田健史)
【画像】振り返るCX-30/奈良井宿/松本民芸の旅 兄弟車と比較も【圧巻】 全127枚
photo:Sho Tamura(田村 翔)
初めて買うマツダ車として、「CX-30」にしようか、それとも「CX-5」かで迷う。
根っからのマツダファンとして、CX-5や「CX-3」からの乗り換えでCX-30に迷う。
さらには、新導入予定の「MX-30」でハイブリッドやEVをトライしてみようかと迷う。
マツダ自身が「SUV群」と呼ぶほど、いまのマツダはSUVやクロスオーバーモデルが充実している。だから、いろいろ迷う。
販売台数を見てみると、2020年1~6月期では、CX-30が1万5937台で、CX-5の1万2655台を凌ぐ。
数字だけで見ると、2モデルはカニバリ(食い合い)しているのではないかと思うが……。
「ユーザーの生活スタイルによって、しっかり棲み分けられている」(マツダ関係者)という。
さらに、「例えば販売店にCX-5を見に来られて、商談の中でCX-30購入へとユーザーの最終判断が変ったり。その逆もある」ともいう。
CX-3については、今年4月導入の1.5L車が好調で、販売の8割を占める。価格も200万円を切ることから、CX-5、CX-30とのカニバリはない。
こうしたマツダSUV群という販売戦略を進めることができる背景には、第6世代マツダ商品群という括りがある。
刷新された、魂動デザイン/スカイアクティブエンジン/生産現場でのモノづくり革新という三本柱が基盤となって生み出す、マツダとしてクラフトマンシップ。
作り手の思いが、ユーザーの心を動かすのだ。
横浜発 マツダを感じる旅にでてみた
作り手の思いが、ユーザーの心を動かす。そんな思いを抱きながら、CX-30と一緒に旅に出た。
基点は横浜。
といっても、赤レンガ倉庫や港の見える丘公園ではなく、JR新子安駅近くの工業地帯の一角にあるマツダR&Dセンター横浜だ。
屋外でのデザイン評価をする、コードヤードにズラリと10台のCX-30が並んだ。その奥手に、CX-5の流れを汲むCX8がいたが、車両の大きさはもとより、CX-30とのデザインエッセンスが大きく違う。
CX-30は、CX-3の流れを汲むクロスオーバーであり、CX-5やCX-8はSUVであることを、改めて実感した。
ボディ寸法で見ると、CX-30は、全長4395mm×全幅1795mm×全高1540mm、ホイールベースが2655mm。
マツダ関係者は「CX-30は日本市場にベストマッチのサイズ感」と、CX-5以上にグローバル市場と日本市場との需要のバランスを考慮した点を強調した。
朝7時に出発し、いったん都心に入ってから進路を西にとった。目指すは、長野県の奈良井宿(ならいじゅく)。往路の試乗車は、20S Lパッケージの4WDである。
走りながら、これまで様々なシーンを共にしてきたCX-5との差を改めて感じた。
視点の高さはもちろんだが、シートポジション、インテリアの雰囲気など、明らかに違う。
それでもなお、共通点があるように感じる。マツダの車内空間が醸し出す世界観だ。
だが、それが実際どういうものなのか、言葉に出すことができない。
ところが……。
旅先で感じたマツダとの共通点
奈良井宿に到着し、旧中山道の宿場町にCX-30を重ね合わせてみると、筆者の気持ちが見える化された。
商店の店先にある、年季の入った木製ベンチで1時間近く、食休みを兼ねて街の風にあたっていた。カメラマンがベストショットを狙うため、CX-30が往来する。
江戸の風景の中で、数百年後の乗り物はミスマッチするかも思いきや、なぜだがすごく馴染んでいる。
背景にあるのは、「ひとの営み」
旅人が長旅の疲れを癒す宿場町に暮らす人々の、もてなしの心と、自らの生活をしっかり続けていくための知恵。
こうした町全体が醸し出す雰囲気が、マツダで働く人々が貫くモノづくりに対する心、それをユーザーに伝えようとする気持ちとが、上手く重なり合って見えるのだ。
ところ変って、翌朝は松本市街にある、松本民芸家具の工場内を特別に拝見した。
強度と柔軟性を持つが加工が難しいと言われた国産の素材に対して、全行程での完全手作業に拘る。
加工、組立て、塗装の各工程で職人たちの息吹を感じる。
その中で気になったのは「一点モノは、作り手の人間味が出過ぎてしまい、結果的に飽きられてしまう」という言葉だ。
少量生産で職人は作り手の責任として、自らの名前を商品に掘るが、あくまでも作品ではなく、商品という認識を忘れない。
同社の、思想と哲学である。
マツダ どのように道を進むべきか?
今回、旅を共にしたマツダ関係者の多くが、奈良井宿や松本での風景と「人の営み」に対して、「われわれとの共通点を感じる」と漏らす。
その上で、CX-30の開発責任者である、商品本部・主査の佐賀尚人氏は今回の試みについて、こう話す。
「是非、長距離ドライブ試乗会をやりたいと思っていました」
「通常、マツダの報道陣向け試乗会は、エンジニアが前面に出て技術論が中心な場合が多いです」
「新しい価値観という観点で、CX-30という個車ではなく、マツダをしっかり感じ取ってもらいたかったのです」
結果として、筆者は移動中や目的地で「心が動いた」。これが、マツダでの表記である「〇〇歓び」なのだと思う。
マツダが仕組んでそうなった、というのではなく、マツダという企業のあるべき姿を、マツダに関わるひとりひとりが常に悩み、そして日々の仕事を進めている結果なのだと思う。
単なる、ブランド戦略とか「ことづくり」といった、昨今の自動車業界での常套句とは、どこか違う。
今後、パワートレインの電動化、運転支援システムの高度化、そしてシェアリングなどITを活用した各種新サービスがさらに進んでも、今回感じた歓びをずっと感じ続けていたい。
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みんなのコメント
ものがないんだよ
理想ばかり述べて、だからマツダはダメなんだよ
やるなら、徹底してやれんかい!