デザインはライズのほうがいい感じ
ダイハツが開発を主導したダイハツ ロッキー/トヨタ ライズ。東京モーターショー2019では、ダイハツ版のロッキーのみが展示された(車名は伏されていたが)。というわけで、兄弟車ライズの実車を見るのは今回のメディア向け試乗会が初めて。写真で見る以上に存在感があって「RAV4のミニチュア版」という雰囲気で、RAV4と同様のラギット感がうまく演出されている。ボディは5ナンバーサイズだが、意外に大きく見えるのは大径の16、17インチタイヤを装着しているからだろう。
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ロッキーはフロントグリルをエンジンフードの高さまで持ち上げているが、ライズはレクサスのようなスピンドル風のグリルをロア側にレイアウトしているため安定感がある。デザインはSUVらしい力強さとワイド感を表現しているライズのほうがいい感じだ。
まずはロッキーのGグレード、17インチタイヤを装着車に試乗。ルーフがブラックマイカメタリックで、ボディは朱色が混じったような赤色のコンパーノレッドの2トーン仕様は、カラーリングの効果かワイド感が強調されていて腰高感がない。ロッキーとライズは共に1L直3ターボエンジンを搭載し、新開発のD-CVTを組み合わせている。アクセルを軽く踏み込むとレスポンスよくクルマが加速する感じで、ターボラグをまったく感じさせない。トルクは1000回転台後半から十分感じることができ、2000回転台に乗ってしまえば1Lであることを忘れてしまうほど元気がいい。
これはエンジンだけのフィールではなく、D-CVTを組み合わせた相乗効果だろう。従来のベルト式CVTにスプリットギヤを組み込むことで、伝達効率を向上させているからだ。特に高速域ではベルトとギヤによる同時駆動が行われるのが特徴。アクセルをあまり踏み込まず市街地を普通に走っている感じでも、CVT特有のアクセルに対するレスポンスの緩さは感じられない。
セレクトレバーをマニュアル側に倒して全開加速すると、レッドゾーン手前の6000回転あたりまで引っ張り、アップシフト。4900回転あたりまでドロップして加速を繰り返すステップAT制御を行うから加速感がスポーティだ。パドルシフトが付かないのが残念だが、エンジニアに聞くとこうした装備を付けると価格が上昇するからやめたそうだ。
1L直3であることのネガはほとんど感じられない。だがレッドゾーン近くまで回したエンジン音は直4のように整えられた感じではなく、さすがに3気筒であることを実感する。とはいえマニュアルシフトしなければ高回転域を使うことはほとんどないので、日常で直3であることを意識する機会はほとんどない。
試乗会場近くはワインディングロードが少なかったが、いくつかのコーナーを走るとコーナリング自体は軽快でステアリングの操舵感は女性でも操作しやすい軽さに仕立てられている。ロールは初期がうまく抑えられていて、その後は自然なロールを伴いながらコーナーを駆け抜けられる。ただ残念なのは、ステアリングから路面のインフォメーションがあまり伝わってこないこと。それと、マンホールなどの段差を通過するとサスペンションがやや突っ張った感じで、ショックを感じてしまう。これはライズのGで16インチタイヤ装着車でも同様の傾向。それ以上に、17インチのほうが乗り心地がよくない印象だった。
開発エンジニアにこの点を質問すると、サスペンションの突っ張り感というか乗り心地の問題は開発時からわかっていて、改善に努力したという。FFは車両重量が1トンを切る軽量ボディで、そこにスタイルのために195/60R17や195/65R16インチの大径タイヤを組み合わせて、乗り心地をよくするのは難しかったらしい。また、試乗会場の近くには小さな石を敷き詰めたベルジャンロード(石畳路)があることも印象を悪くした。ここを走るとコツコツとした振動がボディだけでなく、ステアリングにまで伝わる。メイングレードが200万円を切る価格設定のコンパクトSUVに色々求めることが酷なのは承知だが、特に悪路での低速域の乗り心地がロッキー/ライズの課題といえそうだ。
どうやら4WDのほうが出来がよさそう!
ここまでのインプレッションはFFモデルについてだ。最後に30分間だけ試乗したロッキーG 4WDモデルの乗り心地は、FFとはかなり違い、ベルジャンロードでもコツコツした乗り心地を感じない。エンジニアにこの違いを聞くと、車両重量がFFより70kg重くなり、1トンを超えるがこの重さがうまく効いているというのだ。というわけで、乗り心地は4WDのほうがかなりよくなっている。さらにFFではちょっと軽いかなと思う操舵感が適度に重くなり、FFより全体的に少ししっとりした感じに仕上がっている。
路面とのコンタクト感があまり伝わってこないのはFFと同様だが、乗り心地やステアリングフィールを考えると4WDがオススメだ。ただし、FFより価格は約24万円高くなる。悪路にも強いであろう(ラフロードは未試乗だが)、新開発のダイナミックトルクコントロール4WDと乗り心地や操舵感が向上するためこちらを選びたい。荷室は十分な広さだし、フロアは上下2段で使え、アンダーラゲッジは4WDにも装備されていてとても便利。運転席に身長180cmの人が座っても後席に座る人の膝とシート間はこぶし2つ半以上も余裕があり、足元には十分な広さ。ボディサイズを考えれば、室内パッケージングは上々だ。
キャンプやスキーなどにも気軽に行ける、コンパクトSUVを考えている人にピッタリの選択だ。このロッキー/ライズに、できればヤリスが搭載する1.5L直3+モーターの新型ハイブリッドを載せたモデルにも乗ってみたい。価格は高くなるが、新開発のDNGAプラットフォームはヤリスのハイブリッドを搭載可能だという。今後のブラッシュアップにも期待したい。
〈文=丸山 誠 写真=澤田和久〉
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みんなのコメント
ライズは国内トヨタとしては自然なデザインなのでしょう。
ライズとロッキー、どちらがSUVとして向いているデザインかといえば、北米の流れのロッキーだと思うのですが、どうでしょうか?