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まもなくスバル社長交代!! スバルは技術力で信頼を取り戻せるか?

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まもなくスバル社長交代!! スバルは技術力で信頼を取り戻せるか?

 スバルといえば技術力が会社としての"売り"であり、多くのファンをもつメーカーでもある。ビジネス的に見ても大幅な業績アップを果たし、かつての小さな自動車メーカーという認識は少なくなった。

 しかし2017年10月に発覚した完成検査問題、燃費データ改ざんでつまずいてしまったのはあまりにも痛手だった。吉永社長の真摯な対応、そしてスバル自体の企業イメージで問題は収束方向にある。

同メーカーなのに売ってるクルマが違う!! 多チャンネル販売の功罪

 果たしてスバルの禊ぎは済んだのか!? 今後の展開に迫ります。

文:佃義夫/写真:ベストカー編集部
ベストカー2018年6月26日号

■いま一度振り返る"完成検査問題"

 近年、目覚ましい業績向上でその存在感を強めてきたSUBARU(スバル)。しかし、昨年10月に発覚した国内工場完成車検査問題でつまずいてしまった。

 日産の国内工場完成車検査の無資格者問題が表面化したのが昨年の東京モーターショー前で、日産の西川廣人社長は主催の日本自動車工業会会長を務めていたが、これにより東京モーターショー主催者を辞退し、豊田章男トヨタ社長が代行を務めることになった。

 その矢先にスバルがなんと東京モーターショー開会日の10月27日に、吉永泰之社長によるスバルでも国内工場で無資格者が完成検査を行っていたことでの緊急会見を実施。

 「スバル、お前もか!」となったのがことの始まりだ。加えてスバルは、昨年12月に無資格者だけでなく、最終検査での燃費・排ガスのデータ改ざん疑惑が浮上し、今年に入ってからの3月2日の社長交代会見で吉永社長が燃費と排ガスのデータ書き換えが行われていたことを明らかにした経緯となる。

 そして2018年のゴールデンウイーク直前の4月27日にスバルは国土交通省に報告するとともに、新車検査での燃費・排ガスデータの書き換えの社内調査報告の吉永社長による会見を行い、その内容を明らかにした。

■問題の根源は規範意識とコミュニケーション不足

 それによると、スバルの群馬製作所本工場(太田)と矢島工場で少なくとも2012年12月からデータの書き換えが行われ、確認できただけで約900台が書き換えられた。

 ただ、法令に定められた保安基準を逸脱した事例はなかった。問題の根源は、規範意識の欠如とコミュニケーション不足など「完成車検査無資格問題と同様に由来する」もので「病巣は深い」と報告書は指摘している。

 吉永社長は、昨秋来数度にわたる記者会見でその都度、陳謝し会見でも丁寧な受け答えで、真摯な姿勢と受けとめられた。

多くの熱いファンを裏切る形になってしまったが失った信頼は取り戻せるのか?

「われわれの企業体質、風土を根幹から改革し、真に正しい会社に生まれ変わるため、全力を尽くす」ことを強調した。

 2018年ゴールデンウイーク明けの5月11日には決算発表があり、スバルの前期業績は純利益が22%減の2230億円と2期連続の減益となった。

 これは、タカタのエアバッグ問題に関連するリコール費用に加え完成検査問題に伴う費用の計上が重荷となった。

 ただ、売上高は2%増の3兆4052億円で世界販売は微増の106万6900台となり6期連続で過去最高を更新した。しかし、今期は減収減益の見とおしであり、急成長に伴う組織の歪みの立て直しも急務となる。

■吉永社長は会長職へ 「一連の問題から逃げずに対処する」

 スバルは、吉永体制になってから快進撃を見せてきた。2011年6月にスバルでは初めて国内営業出身の吉永社長が就任してからこの7年で売り上げを2倍に引き上げた。

 2016年3月期の同社の売上高営業利益率は17.5%と、トヨタも抜いて断トツとなり、その後も10%台の営業利益率をキープしてきた。

 吉永体制の経営は「選択と集中」を極め、特に北米でのスバル車人気を高め世界販売の6割を占める北米事業の成功でスバルの存在感を一気に高めた。

 資本・業務提携先のトヨタもスバルの力を認めていた。

 今回の決算発表で国内販売は2.8%増の16万3000台でインプレッサとXVが年度を通じて貢献したが、この3月まで5カ月連続で前年を割り込んでいる。

 連の吉永社長による真摯な陳謝会見も連休前の国交省報告で一応の禊ぎが終わり、テレビCMなども復活した。

 6月には世代交代の中村知美新社長体制に移行する(編註:6月22日のスバル株主総会での承認後に新体制へ移行予定)。

 吉永社長は「一連の問題から逃げずに対処することが責任だ」と会長として残り、経営は新執行部に任せ自ら先頭に立って信頼回復に全力を尽くすことにしており、これが真の禊ぎということになろう。

■【編集部まとめ】更なる不正発覚で窮地に立った新体制

 2018年6月5日にスバルは国内向け9車種において新たな不正が発覚したと発表した。社員20名以上が関与しているとされ、吉永社長にとっては「泣きっ面に蜂」状態である。

 概要は群馬製作所内の2工場において、基準で定められた条件から逸脱する状態で検査を続け、誤った検査と認識していたのにも関わらず検査データだけを書きかえるなどしたとされるもの。

 吉永社長は前述のとおり2018年6月の株主総会で会長兼CEOへの就任を予定していたが、代表権を返上し、取締役会長になる予定だ。2018年4月の問題発覚からわずか2カ月足らずで新たな不正が発覚したスバル。

 真面目で実直なメーカーのイメージはすっかり変わってしまった。吉永社長は会長となったあとも、企業風土の健全化などに集中して取り組むと発表。

 一度失われた信頼を築くにはこれまでの積み重ねの何倍もの時間がかかるはずだ。新型フォレスターの登場もある2018年。これから信頼回復に奮起してほしい。

 

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