2019年のニュルブルクリンク24時間レースは、決勝のスタートが切られナイトセッションに突入した。今季もニュルへの挑戦を続けているSP3Tクラスのカルロ・バンダム/ティム・シュリック/山内英輝/井口卓人組スバルWRX STIだが、今季はカラーリングがマットな塗装になっているのにお気づきだろうか。そこには、ボディ表面を使った工夫がなされているのだという。
ニュル24時間に飽くなき挑戦を続けるスバルWRX STIは、内面ではローギヤ化、シフトショック抑制に向けたステップ比調整、パドルシフトショック改善とエンジン耐久性の両立、防水ECUの採用、パワーステ配管の見直し、マフラーとホイールの仕様変更など、さまざまな改良を受けている。
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一方で、外面で目立つのがカラーリングだ。これまでスバルWRX STIは、スバルブルーとブラック、そしてSTIのピンクのカラーリングが施されてきたが、今季はその3色は同じながら、ボディにはマットなカラーリングが施された。
これは通称“サメ肌塗装”と呼ばれるもので、辰己総監督によれば空気抵抗低減を図るためのもので、c/d値が向上しているのだという。そして、今回さらに興味深いのが、ルーフ前側に設けられた薄いスリット状のものだ。
このスリットは、空気抵抗が大きいこの場所に貼ることで、空気の剥離を防ぎ、リヤウイングに流れる空気を増やすものだという。風洞ではしっかりと効果が出ているとのこと。フロントガラスの上面は空気が強くあたり、負圧ができる。これが空気抵抗になるのだが、このスリットを設けることで負圧が減るというのだ。
「もちろんこれだけではありませんし、コーナリングスピードも上げていますが、エンジンがほぼ変わらない状況のなかで、最高速は今年の方が出ている」という。
辰巳総監督によれば「遊び半分で始めた」というが、当初はベルクロを貼ってみたりと試行錯誤。最終的に、塗装の保護などに使うヘリテープという素材を採用。このスリットでc/d値が変わらないが、ダウンフォースは増えているそう。
今季、フェラーリがF1でマットなカラーリングを採用したりしているが、理由としては軽量化を挙げている。ただ実際は、マットなものにすることで空気抵抗を減らすような効果もあるのかもしれない。ひょっとすると、これらのサメ肌塗装やスリットは、今後市販車にも活かされるときが来るかも……!?
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