BTCCイギリス・ツーリングカー選手権で2022年の本格導入に向け開発が進められているTOCA共通ハイブリッド機構が、7月7~8日にイギリス・スネッタートンで開催された公式タイヤテストでシェイクダウンを実施。システム開発を担当したコスワース・エレクトロニクス社は「この歴史的偉業と成果を、心から誇りに思う」と、その成果と手応えを語っている。
TOCAが実施した競争入札により、2022年度シーズンからの『共通ハイブリッド供給権』を獲得したコスワース・エレクトロニクスは、設計と製造に続き台上試験を終えた“P2 off-axis”と呼ばれるこの新システムを、テストベッド車両に指名したTOYOTA GAZOO Racing UK with Ginsters(ギンスターズ)の『トヨタ・カローラBTCC』に搭載した。
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その開発作業と並行して、初の実走に向けては世界的な耐久スポーツカー・シーンで活躍するAMR(アストンマーティン・レーシング)所属のダレン・ターナーを公式デベロップメント・ドライバーに起用するなど、着々と準備を進めてきた。
この“P2 off-axis”はシステム定格60Vで20kgの重量となるバッテリーパックを搭載し、7.5kgの電気モーターとコントローラー、ポンプ、冷却パイプ、配線ケーブル類などを含めシステム総重量を64kgに抑えたもので「NGTC規定ツーリングカーの運動性能にはほぼ影響を及ぼさない」範囲に納められたという。
今季からシリーズの公式タイヤサプライヤーに就任したグッドイヤーの性能と感触を試す2日間のタイヤテストに合流し、BTCC史上初のハイブリッド車両としてコースインした『トヨタ・カローラBTCCハイブリッド』は、BTCCレギュラー車両と混走してのテスト走行を開始。
火曜と水曜の公式セッション2日間は46歳の元BTCC経験者ターナーがステアリングを握り、木曜に設定されたハイブリッド占有の単独セッションでは、2020年の参戦休止を表明したばかりの2013年王者アンドリュー・ジョーダンの招聘が予定されていた。
しかしトランスポンダ未搭載で計時を行わない状態で走行を重ねた2日間で、計画されたすべてのシステムチェックと試験を順調に完了したことから、コスワースは木曜のスケジュールをキャンセルすることを決めている。
「我々コスワースとすべての技術パートナーは、とくにこの困難な時期にこの開発水準に到達するべく、ここまで懸命な努力を重ねてきた。だからこそ、今日この日のマイルストーンは本当に誇らしい瞬間になった」と語るのは、コスワース・エレクトロニクスの技術サポート部門責任者を務めるニール・ベイトマン。
「このスネッタートンの公式テスト2日間で、大量のシステムチェックを完了することができた。これは我々にとっても単なるハイブリッド機構ではなく、新しいECUとHVコントローラーを備えた、ブランニューのエレクトロニクス・パッケージであり、車両のディスプレイも完全に異なるものだ」と説明するベイトマン。
「つまり2022年のハイブリッド機構導入に向け、それらを支えるエレクトロニクスは完全に次世代型のパートで占められているんだ。そのため初期のテスト計画はショートランを繰り返してデータをチェックし、すべてが想定どおりに機能していることを確認することだった」
「この広範なプログラムの一部として機能するものと機能しないものを見つけ、テストは非常にうまく行った。ダレンとの仕事も素晴らしかったよ。彼は非常に経験豊富でプロフェッショナルであり、ラップを通じて素晴らしいフィードバックを提供してくれた。まだ開発段階のごく初期にいるが、今後の進化を楽しみにしていてほしい」
一方、開発ドライバー就任後の初仕事を終えたターナーも、シリーズの歴史に名を刻む共通ハイブリッド機構のシェイクダウンを任されたことを「光栄に思う」と語った。
「これは素晴らしいイニシアチブで、その一部を担えたことを誇りに思う。シリーズにとって歴史的な瞬間であることは充分に承知しているし、テストを成功裏に終えられて本当にうれしく思う」と続けたターナー。
「イギリスを代表するBTCCがテクノロジーの先駆けとなるのは当然だ。ツーリングカーの勝負に新たな側面を追加する大きな変化だし、レースの防御面と攻撃面の両方でエキサイティングな要素をもたらすだろう」
「もちろん、今回のシェイクダウンではパワーデリバリーの性能と回生による充電能力の検証、システムの微調整や信頼性の確認に終始したが、今後システムはさらにマイレージを重ねて大きく進化する手応えも得た」
「プロジェクトは非常に順調に進んでいるし、急ぐ必要はない。個人的にはBTCCのツーリングカーに戻って、この種類のマシンをドライブするのがどれほど楽しいかを思い出すことができたのも、本当に素晴らしい経験だったよ!」
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