約5年を費やして熟成させた2.2L+GTIIIタービン仕様
素性を見極めた手堅いチューンでトータルパフォーマンスを向上
「WRX STIの生産は終わってもチューニングは終わらない!」老舗チューナー渾身のストリート最強スペック!
創業30年、スバルのお膝元である群馬県にショップを構えるカーステーションマルシェ。一貫してスバル車に力を入れ続け、現在では入庫車の約8割がスバル車という日本でも屈指のエキスパートショップだ。そんな同社が、デビューから約5年かけて戦闘力を高めてきたWRX STIの登場だ。
エンジンはHKSのキャパシティアップグレードキットにより2.2Lへと排気量を拡大し、GTIII-RSタービンを装着。燃料系の容量アップも図られ、ECU-TEK制御により425psを獲得している。
足回りは、テインと共同開発を行った車高調“MONO RACING”をセット。コンセプトは、本格的なサーキットスペックをエントリーモデル並みの価格(19万8000円)で実現するというものだ。スプリングレートはフロント14kg/mm、リヤ16kg/mmとハードだが、ダンパーの減衰力設定によりしなやかさも併せ持った仕様に仕上げられている。
高性能サスペンションのパフォーマンスをフルに引き出すためのボディ補強パーツも、マルシェが得意とするところ。VABの弱点であるリヤメンバーのゴムブッシュをリジッド化する“メンバー合体くん”の他、フロントロアアームには“メンバー筋金くん”を装着している。
ブレーキは、エンドレス6ポットキャリパーに340mmの2ピースローターを組み合わせた、マルシェオリジナルのキット。17インチホイールへも対応する仕様だ。
バリスのワイドボディとマッチさせるホイールはボルクレーシングZE40で、サイズはフロント10J×18+39&リヤ9.5J×18+45の設定。タイヤはラリーターマック用ディレッツァ94Rで、前後255/40をセットする。LSDはフロントにクスコの1ウェイを、リヤに同社の1.5ウェイを導入する。
赤いブリッドのプロフェイスが目立つ室内には、視線移動なしで多彩な情報を確認できるヘッドアップディスプレイ“VEGA”を装備。マルシェも開発に加わった自信作とのこと。ステアリングはダムド製をチョイスする。
このチューンドに試乗したターザン山田は「VABって結構難しいところがあるんだけど、電子制御の介入などもよくコントロールされているし、クイックなステアリング特性も良い感じ。高速コーナーでも安定しているし、低速コーナーでの旋回性も問題はない。2.2L化されて低速トルクも十分にあるエンジンは、高回転まで回していくよりもパワーバンドを維持できるレベルで早めにシフトアップをしていったほうが、タイム的にも速そうな特性だね」と評価。
今回の取材時には、富士スピードウェイで1分54秒09をマークする俊足っぷりを披露してくれた。ベース車両を徹底的に見極め、弱点の補強と長所の引き延ばしでトータルパフォーマンスの底上げを図る老舗の技。WRX STIの生産は間もなく終了するが、チューニングはまだまだ終わらないのである。
●取材協力:カーステーション マルシェ 群馬県前橋市亀里町1224 TEL:0247-265-6789
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