全世界3000台限定、306psのミニ
text:Lawrence Allan(ローレンス・アラン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
ロサンゼルス・モーターショーで、ミニの最速仕様となるジョン・クーパー・ワークス(JCW)GPが発表された。英国での発売は2020年3月が予定されている。
2.0Lターボエンジンの最高出力は306ps、最大トルクは45.8kg-mに設定。同じユニットを搭載するGPではないジョン・クーパー・ワークスの231psから大幅に引き上げられている。JCW GPの0-100km/h加速は5.2秒、最高速度は263km/hとなっている。
英国のオックスフォード工場で生産され、台数は世界限定3000台。そのうち英国に残るのは575台で、価格は3万3895ポンド(474万円)が予定されている。
エクステリアで目立つ変更点は、なんといっても2構造の巨大なルーフスポイラー。フロントスカートやオーバーフェンダーは軽量なカーボンファイバー製となり、ミニのエンジニアは「スパッツ」と呼んでいた。ホイールも軽量な鍛造製で、JCW GPの専用となる。
カーボンファイバー製の専用ボディキットは、親会社となるBMWのi3やi8の製造過程で排出される不要部材をリサイクルして整形されるという。素材が露出したフロントのオーバーフェンダーには、シリアル番号が刻印される。ボディカラーは、メタリックグレーに銀と赤の差し色が入ったカラーリングのみ。
増強された306psという馬力は、基本的に新しいターボチャージャーで実現。ブースト圧を高める一方で、シリンダーの圧縮比は若干低められた。インテークダクトは新設計となり、最大350barの圧力で稼働するマルチホール・インジェクターも装備。オイルサンプもJCW GP専用設計だという。
リアシート等を省いて85kgをダイエット
エグゾーストシステムは、「レースシーンから触発された」というサウンドを発する。冷却システムもミニのレース部門の知見を活かしたそうだ。新しい補強部材やメンバー、ストラットブレースなどが組み付けられ、ボディ剛性も高められられている。
パワーのすべては8速ATを介してフロントタイヤへ伝達。ステアリングホイールにはシフトパドルが備わる。機械式LSDも装備し、無駄なく路面へパワーを伝える。
サスペンションはニュルブルクリンクでのテストを通じて開発。トレッドは広げられ、車高も標準のJCWより10mm以上低くなっている。フロントキャンバー角も強められ、ボディロールを減らすとともにグリップ力を高めている。
ダイナミック・スタビリティコントロールもGP専用設定のモードを追加。システムの介入をより控えめにすることも可能。フロントに4ポッドキャリパーが付くスポーツブレーキも装備し、強力な制動力を与えている。
車内に目を転じると、シートはフロントの2脚のみ。防音材を減らし、リアシートを省くことで標準のJCWより85kgの減量を実現。車重は1255kgとなっている。
シフトパドルは3Dプリンターによるハニカム・メタル構造。助手席側のダッシュボードパネルにも3Dプリンターのパーツが用いられ、こちらにもシリアル番号が記される。
かなりシリアスな仕立てを受けつつ、ナビやスマートフォンのワイヤレス充電機能、フロントシートのヒーターは残された。モニターによるデジタルメーターとなり、ミニ・エレクトリックで用いられているものと同じだという。
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