耐久性重視で製作された走行会仕様
2.0Lハイコンプ仕様でエスニらしい加速感を演出
「180km/hリミッターなどクソ食らえ!?」チューニングによる国産フラッグシップ勢のスピードリミッター解除法を公開
スーパー耐久シリーズを中心に、数々のレースシーンで活躍する“トレーシースポーツ”が製作したチューンドAP1の登場だ。
かつては、タイムを狙って2.2L化されていたこともあるマシンだが『比較的ローコストなファインチューンで、排気量アップ仕様にどこまで迫ることができるか?』という新テーマを掲げ、大幅なリメイクが敢行された。
同社では、この他にもS2000のデモカーとしてワイドボディで武装した2.4L+4連スロットルのサーキットアタックSPLも所有していることもあり、こちらのマシンは『少ないリスクでいつまでも走り続けられる走行会仕様』という、割り切ったキャラクターが与えられているのだ。
エンジンは、高回転志向のキャラクターを維持するために2.0Lをキープし、オリジナルピストンによって12.5までハイコンプ化。シートリングのシートカットやポートの段付き修正といったヘッド加工を行い、戸田のA2カムを組み込む。
最高出力は実測で265psを発揮。F-CON Vプロできめ細かなセットアップを進めることによって、9000rpmという高めのレブリミットを維持しながら、S2000らしいパンチや力強さを強調することに成功しているのだ。
オリジナルのEXマニは、45φ-51φ-60φで構成する4-2-1タイプで、パワーを追求しながらも全域でぶ厚いトルク確保を狙った設計となる。
同じくオリジナルの1本出しマフラーは、高効率化と重量の大幅な削減を実現。最近は騒音規制が厳しいサーキットも多いため、メインサイレンサーの他にサブサイレンサーも採用し、高い静粛性も確保している。
スロットルは、66φから70φに拡大するテーパー状で吸気効率の向上を狙うオリジナルを装備。トレーシースポーツでは、このようなパーツ開発にもエンジンベンチテスターを活用していて、このパーツの場合も2.5~3%の出力アップを確認済みだ。
冷たい外気をダイレクトに取り込むフル交換タイプのクリーナー+ボックスは、全域でパワー&トルクが向上。特にアクセルを踏み込んだときのツキに変化が現れるという。
このAP1ではオイルパンにバッフル加工を施し、コーナーでのオイルの偏り対策を行っている。それでもハードユースではブローバイガスが発生するため、キッチタンクを追加。さらにヘッドカバー内に吸収材を設置してオイルを吸収させるなど、万全のブローバイ対策が施されている。
一方、限られたパワーの中で質の高い走りを生み出すためにも、ハンドリング性能の引き上げは避けて通れないと考え、サスチューンも徹底。車高調は、街乗りからサーキットまで幅広くカバーする全長調整式のオリジナルを投入。スプリングは16~20kg/mmを推奨としているが、岡山国際を徹底的に走り込んだこの車両では、さらに高いレートに設定している。
フロントブレーキは自社の大容量キャリパーと大径ローターで武装。リヤもキャリパーは純正を使うが、ローターはベンチレーテッドの大径タイプを装備している。
リヤメンバーにはアルゴン溶接やアーム取り付け部へのガセットの追加などが実施され、大幅な剛性アップと強度確保が行われる。同時にロワアームの取り付け角度なども見直され、ジオメトリーの最適化が図られている。
デフのヒート対策ではオイルクーラーの追加が定番だったが、トラブルが少ないデフ対策としてスプーンのキャパシティアップデフケースに注目。デフオイルが計2.0Lも入るようになり、さらに後期純正をベースにしているため、前期ユーザーであればケース剛性の向上も期待できる。
エクステリアはノーマルライクな見た目にこだわるが、ストレートの長いコースではダウンフォースのコントロールも重要と考え、GTウイングを装着する。タイヤはアドバンA050(F235/45-17 R255/40-17)で、過剰なワイド化や大径化は控えることでランニングコストの高騰を抑えているのがポイントだ。4点式ローバーは安全性を確保するためのものであり、スポット増しや軽量化といったボディ加工も施されていない。
「そろそろ本格的なリフレッシュを実施したい」と考えているユーザーが参考にしやすいスペックでありながら、ホームコースの岡山国際サーキットで1分44~45秒のハイペースバトルを楽しむことができるマシンに仕上がっている。
●取材協力:トレーシースポーツ 大阪府摂津市鳥飼本町1丁目12-14 TEL:072-654-9424
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