現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > かつて「0.1km/L」の差をアピールしたクルマの「燃費競争」! 最近目立たなくなった理由とは

ここから本文です

かつて「0.1km/L」の差をアピールしたクルマの「燃費競争」! 最近目立たなくなった理由とは

掲載 更新 11
かつて「0.1km/L」の差をアピールしたクルマの「燃費競争」! 最近目立たなくなった理由とは

 エコカー減税が燃費競争のきっかけのひとつ

 最近は以前に比べて燃費性能があまり話題にならない。ライバル車同士の燃費競争も穏やかだ。

あれ? 思ったほど伸びない……ハイブリッドなのに驚くほど燃費が良くない国産車6選

 燃費競争が激しかったのは2010年代の前半であった。たとえば2012年に発売された5代目の先代スズキ・ワゴンRは、JC08モード燃費が28.8km/Lだった。これが2013年の改良で30km/Lになり、2014年にはマイルドハイブリッドのSエネチャージを加えて32.4km/Lに達した。毎年のように燃費数値を向上させていた。

 ワゴンRに限らず、ほかの軽自動車やコンパクトカーも同様だった。激しい燃費競争の背景には、複数の理由がある。

 まずはエコカー減税だ。当時は減税の度合いが急速に拡大された時期で、燃費数値を少し向上させると、減税額が目立って増えることもあった。燃費数値の優れた車種を選べば、購入時には税額が安くなり、買ったあとの燃料代も節約できる。当時はエコカー減税に対する関心が一気に高まった。

 また減税制度も目新しく、メーカーや販売店もエコカー減税の達成を宣伝に使った。そのために販売店からは「燃費数値がライバル車に比べて1km/L負けたら(劣ったら)、売れ行きに影響を与える。エコカー減税に該当しない車種は、購入の候補にすら入れない」という話が聞かれた。

 ところが2010年代の中盤になると状況が変わり、ユーザーがJC08モード燃費を疑うようになった。「JC08モードは実際の燃費とは大幅に異なる」という声も盛んに聞かれるようになった。エコカー減税も次第に新鮮さが薄れ、税額の安さよりも、自分の好みやニーズに合ったクルマを選ぶユーザーが増えた。

 その結果、フルモデルチェンジやマイナーチェンジの時に、実用燃費を重視して、燃費数値を悪化させる車種も見られるようになった。例えば初代(先代)CX-5の2.5Lガソリンエンジン車の場合、後期型の4WDはJC08モード燃費が14.6km/Lだった。それがフルモデルチェンジした現行型の発売時点では、JC08モード燃費が14.2km/Lに悪化している。

 開発者は「実用燃費を重視したほうが、お客様を落胆させず、満足度も高められる」とコメントした。2018年からはWLTCモード燃費が導入され、さらに実用燃費に近付いた。燃費数値は一層下がり、燃費競争も冷めていった。

 現時点でもっとも燃費が優れているのはコンパクトカーのHV

 それでも燃費の優れた車種と悪い車種は残る。現時点で燃費の優れているカテゴリーは、コンパクトカーのハイブリッド車だ。

 その代表はヤリスハイブリッドXで、WLTCモード燃費は36km/Lに達する。レギュラーガソリンの価格が1リットル当たり150円とすれば(今は160円近いが150円で計算)、1km走行当たりの燃料代は4.2円だ。国内で購入可能な乗用車では、最良の燃費性能を達成した。

 ハイブリッド以外では、コンパクトカーにクリーンディーゼルターボを搭載するマツダ2・XDプロアクティブの6速MT仕様は25.2km/Lだ。軽油価格が1リットル当たり130円とすれば、1km当たりの燃料代は5.2円だ。ヤリスハイブリッドよりも1円高いが、実用回転域の駆動力も力強い。1万km当たり1万円でこの動力性能が手に入るなら、むしろマツダ2が割安という見方もできる。

 軽自動車ではアルトSが25.8km/Lだ。1km当たりの燃料代は5.8円になる。ミライースも25km/Lだから、若干アルトを下まわる程度だ。

 逆に燃費性能の悪い車種は、重量級の悪路向けSUVや動力性能を突き詰めたLサイズのスポーツカーになる。もっとも悪いのはレクサスLX。乗用車では最大のV型8気筒5.7リッターエンジンを搭載して、車両重量は悪路向けのSUVらしく3列シート仕様は2730kgと重い。WLTCモード燃費は6.6km/Lだから、プレミアムガソリン価格が1リットル当たり160円とすれば、1km当たりの燃料代は24円になる。数値上の燃料代は、ヤリスハイブリッド6台分だ。

 高性能スポーツカーのGT-Rは7.8km/L。これもプレミアムガソリンを使うので、1km当たりの燃料代は21円になる。こういった燃費の悪いクルマは、遠くない将来に消え去る運命にあるから、楽しむなら今のうちだろう。実際、ランドクルーザーの次期型は、V型8気筒を廃止して、V型6気筒のガソリンターボとクリーンディーゼルターボになる。

こんな記事も読まれています

1本になったりしたけど…21世紀の技術をもってしてもダメ!? ワイパーは未来永劫今のままなの!?!?
1本になったりしたけど…21世紀の技術をもってしてもダメ!? ワイパーは未来永劫今のままなの!?!?
ベストカーWeb
バニャイア、一歩先を見据えて別セッティングに集中「低グリップのトラックに焦点を当てた」/MotoGPヘレステスト
バニャイア、一歩先を見据えて別セッティングに集中「低グリップのトラックに焦点を当てた」/MotoGPヘレステスト
AUTOSPORT web
悲願のF1初優勝。レースマネジメントに長け「成熟した」ノリスをマクラーレン代表が手放しで称賛
悲願のF1初優勝。レースマネジメントに長け「成熟した」ノリスをマクラーレン代表が手放しで称賛
AUTOSPORT web
海外からも注目のファンイベント「ルノーカングージャンボリー2024」10月27日開催
海外からも注目のファンイベント「ルノーカングージャンボリー2024」10月27日開催
グーネット
激変の空力パーツにも「変わらないと感じた」と中上。ホンダ勢4人に不評のバイクの次の一手は/MotoGPへレステスト
激変の空力パーツにも「変わらないと感じた」と中上。ホンダ勢4人に不評のバイクの次の一手は/MotoGPへレステスト
AUTOSPORT web
マセラティ 新型「グランカブリオ トロフェオ」国内オーダー開始!価格は3120万円から
マセラティ 新型「グランカブリオ トロフェオ」国内オーダー開始!価格は3120万円から
グーネット
トヨタから登場の[3輪車]!? しかも100万円って安すぎ!!!! 2025年登場濃厚のリーン3
トヨタから登場の[3輪車]!? しかも100万円って安すぎ!!!! 2025年登場濃厚のリーン3
ベストカーWeb
三菱「ギャラン」に「ランエボ」「パジェロ」のラリーカーが勢揃い! 篠塚建次郎氏の追悼展示は三菱モータースポーツの歩みでもありました
三菱「ギャラン」に「ランエボ」「パジェロ」のラリーカーが勢揃い! 篠塚建次郎氏の追悼展示は三菱モータースポーツの歩みでもありました
Auto Messe Web
ルクレールがバスール代表の采配を称賛「僕たちは上昇のスパイラルに入っている」。ニューウェイへの興味にも言及
ルクレールがバスール代表の采配を称賛「僕たちは上昇のスパイラルに入っている」。ニューウェイへの興味にも言及
AUTOSPORT web
GTWCヨーロッパのスプリントカップが開幕。WRT BMWとウインワードのメルセデスAMGが勝利を分け合う
GTWCヨーロッパのスプリントカップが開幕。WRT BMWとウインワードのメルセデスAMGが勝利を分け合う
AUTOSPORT web
世界一美しいクーペ=147+156 アルファ・ロメオGT V6ブッソ・ユニットも搭載 UK中古車ガイド
世界一美しいクーペ=147+156 アルファ・ロメオGT V6ブッソ・ユニットも搭載 UK中古車ガイド
AUTOCAR JAPAN
BMWは全ての電気自動車向けに目的地で充電ができるプロジェクト「BMW Destination Charging」を日本で開始
BMWは全ての電気自動車向けに目的地で充電ができるプロジェクト「BMW Destination Charging」を日本で開始
Auto Prove
ミキティ、スマホでポチ買いした1000万超の「超高級車」をついに納車! 斬新“ド派手ドア”搭載の実車に 「かっこいい!」「すごいクルマ」の声集まる
ミキティ、スマホでポチ買いした1000万超の「超高級車」をついに納車! 斬新“ド派手ドア”搭載の実車に 「かっこいい!」「すごいクルマ」の声集まる
くるまのニュース
今年は晴れるか? 「ルノーカングージャンボリー2024」は10月27日に開催…仏本社も注目、世界最大級のファンイベント
今年は晴れるか? 「ルノーカングージャンボリー2024」は10月27日に開催…仏本社も注目、世界最大級のファンイベント
レスポンス
マセラティが推す「フォーリセリエ」で仕立てた「グレカーレ」と別注カラーの「クアトロポルテ」の新旧トライデントが揃い踏み…で、「フォーリセリエ」とは
マセラティが推す「フォーリセリエ」で仕立てた「グレカーレ」と別注カラーの「クアトロポルテ」の新旧トライデントが揃い踏み…で、「フォーリセリエ」とは
Auto Messe Web
トレンドはこれからも「SUV一辺倒」なのか? 欧州市場に見る "風向き" の変化
トレンドはこれからも「SUV一辺倒」なのか? 欧州市場に見る "風向き" の変化
AUTOCAR JAPAN
『レンジローバー・イヴォーク』と『ディスカバリースポーツ』の姉妹が2025年モデルに刷新
『レンジローバー・イヴォーク』と『ディスカバリースポーツ』の姉妹が2025年モデルに刷新
AUTOSPORT web
ニッサン/ニスモ、CNF使用の『ニッサンZニスモ・レーシング・コンセプト』で富士24時間に参戦
ニッサン/ニスモ、CNF使用の『ニッサンZニスモ・レーシング・コンセプト』で富士24時間に参戦
AUTOSPORT web

みんなのコメント

11件
  • 意味ないんだもの
    トヨタとホンダがお得意の装備を簡素化した実用性の無い、まやかしカタログ用モデルで競われてもね
  • カタログ値は参考程度にしかならないこと、乗り方次第で燃費は大きく変わること多くのユーザーが知っていること。
    他のライバル車ともそんなに燃費が変わらないのなら、それ以外の魅力が車選びのポイントになっていること。
    0.1km/ℓの燃費向上のために多くの開発費をつぎ込むのをメーカーがやめたということ。
    この3つの要因があるのではないでしょうか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村