この記事をまとめると
■海外では「エンジンスワップをした」という話をよく耳にする
クルマの「パワーアップ」をしたならまずはブレーキ強化……は間違い! 意外と知らないチューニングの順番とは
■エンジンスワップの方法や魅力を解説
■日本で行うにはいくつかのハードルがある
リーズナブルに排気量アップができる
アメリカやオーストラリアでは珍しくないのがエンジンスワップ。もとのクルマのエンジンではないものを積むチューニングで、そのメーカーさえ変わってしまうことも多い。
メリットはエンジンごと変えることで、排気量アップなどの大掛かりな変更を比較的安価にできることにある。
たとえば、シルビア(S15)のエンジンはSR20DETだが、これを排気量アップしても2.2リッターが一般的。そこにタービンを変えて、排気系もECUもチューニングしてモロモロやってざっくり500馬力くらい。
それがトヨタの3.0リッターエンジンの2Jにしてしまえば、タービンと軽く吸排気をいじればエンジン本体はノーマルでも600馬力近くまで出すことが可能になる。トータルのコストで言えば、スワップしてしまったほうがリーズナブルだったりする。
しかも、絞り出した2.2リッターの500馬力と、そこそこ余裕のある3.0リッターの600馬力では耐久性も異なるのである。当然3.0リッターの600馬力のほうが耐久性が高い。ならば、そっちのエンジンを載せちゃえというのがスワップである。
なので、海外ではとりあえずV8 5.7リッターを積むとかが多い。筆者もオーストラリアの一般カスタマーでFD3Sに乗っていてV6エンジンにスワップしていた人に理由を聞いたら「ロータリーはトルクがないから載せ替えてやったぜ」と言っていた。ロータリーらしいフィールとかよりも、トルクが欲しかったようである。エンジンのライフも確かに大排気量エンジンのほうが長いだろう。
エンジンがスコッと載るわけじゃない! 各種調整が必要
そんな自由な発想が生まれるのは日本とは車検制度が違うという理由もありそう。日本の場合、載せている原動機が変わると相応の申請をしなければならないためちょっとメンドクサイ。海外ではとくにそういう手続きがない国が多いという自由な環境というものありそう。
もちろん、スコッと違うエンジンが載るわけはない。エンジンマウントなどの加工も必要だし、組み合わせるミッションをどうするのかという話もある。多くはエンジン&ミッションごと積む。そうしないと元のクルマのミッションでは持たないこともあるから。そうなるとFR車ならプロペラシャフトの短縮加工も必要になるし、それらの変更した申請も必要になるのだ。
あとは制御をどうするか。そもそも気筒数が変わったりするので、ノーマルECUでの制御は難しい。フルコンと呼ばれるものによる制御が必要で、高級路線ならモーテック、最近はリンクとかリーズナブルなものもあるし、国産ではHKSのF-CON V Proがよく知られているフルコンだ。そういったものでエンジン制御をする必要があるので、相応の手間と工賃もかかるのだ。
日本でも他車種ではないが、AE86にAE111の20バルブを積むチューンは一般的。これは16バルブの4A-Gエンジンが減っていることもあるが、そもそも16バルブ4A-Gエンジンのチューニング済みくらいのパワーが、ノーマルの20バルブの4A-Gでは出ている。下手に16バルブをいじるより安価にパワーが出るメリットもある。
ほかにも、ランエボシリーズに最終型のMIVEC付き4G63エンジンを積むことも多い。こちらも同系列エンジンだが、最新版の可変バルブタイミング機構を手に入れて、日常域のトルクを増やそうという狙いだ。
同系列エンジンはほぼそのまま使えるし、申請も不要なのでやりやすい。エンジンチューンよりもリーズナブルに出力アップが可能になるのだ。
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