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フェラーリ譲りのV8エンジンでお別れ マセラティ・ギブリ 334ウルティマへ試乗 限定103台

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フェラーリ譲りのV8エンジンでお別れ マセラティ・ギブリ 334ウルティマへ試乗 限定103台

V8エンジンを搭載した最後のギブリ

2030年代の前半まで、内燃エンジンとの別れを記念する、特別仕様が数多く発表されるだろう。今回試乗した334ウルティマも、その1台。V8エンジンを搭載した、最後のギブリとなる。加えて現状では、ギブリというモデル自体にも一旦終止符が打たれる。

【画像】フェラーリV8で別れ マセラティ・ギブリ 334ウルティマ 競合クラスのサルーン 最新グラントゥーリズモも 全119枚

マセラティがメジャーブランドへ躍り出るべく、競争力の高い上級サルーンをリリースしてから、早いもので10年が経過した。戦略的な価格設定で、ディーゼルエンジンをラインナップしつつ、ライバルほどの成功は掴めてこなかったのだが。

それでも、マセラティの存在感を高めることには貢献した。不足ない数を販売し、トライデント・マークのSUVを、2種類も発売できる素地を作ったといえる。

2021年にはギブリ・トロフェオが追加され、クロスプレーン・クランクとウェットサンプ設計の3.8L V8ツインターボエンジンを獲得。基本的にフェラーリのF154型ユニットのショートストローク版といえ、モデル後期の注目度を高めるのに一役買った。

2023年に投入されたのが、この334ウルティマ。数字はもちろん馬力ではなく、最高速度だ。ベントレー・フライングスパー・スピードより1km/h高く、世界最速の4ドアサルーンの1台にノミネートしている。従来のトロフェオより、8km/h向上している。

それを叶えたのは、高性能なタイヤと、カーボンファイバー製スポイラーによる空力の改善。21インチ・アルミホイールも軽量化され、合計で約20kgのダイエットも影響しているはず。

5000GTにちなんだ103台限定

334ウルティマの特徴となるのが、1959年のマセラティ5000GTの色合いへ近づけた、ロイヤル・ブルー塗装。インテリアは、テラコッタ・レザーで仕立てられる。

限定103台の1台であることを示す、記念プレートもあしらわれる。この103台というキリの悪い数字は、5000GTのコードネーム、ティーポ103にちなんでいる。

ただし、運転支援システムの一部は無効になった。電動だったグローブボックスは、手動になった。いずれも、許せる範囲ではないだろうか。

ドライバーの正面には、アナログのメーターが2枚。大きな金属製シフトパドルが、ドライバーの気持ちをくすぐる。インフォテインメント・システムのぎこちない動きや、ワンテンポおくシフトセレクターの反応などは、ドイツ勢に遅れをとる部分だろう。

さて、肝心の走りだが、残念なことに季節は冬。アルプス山脈へ向かったものの、試乗車にはピレリ・ソットゼロというスタッドレスタイヤが履かされていた。最高出力580psを誇る、後輪駆動のサルーンが叶える能力の一端は、確かめられたけれど。

筆者としては、トラディショナルなFRレイアウトを称賛したい。だが、BMW M5やメルセデスAMG Eクラスといったライバルが、四輪駆動へ切り替わった理由も理解している。新しいグラントゥーリズモも、四輪駆動へ生まれ変わった。

フェラーリ譲りのV8エンジンを堪能

スタッドレスタイヤと路面状況が重なり、操縦性のタイトさはいまひとつ。限界領域での挙動も、若干予想しにくかった。少なくとも、暖かい季節にグレートブリテン島で試乗したギブリ・トロフェオは、より引き締まった身のこなしだったと記憶している。

この334ウルティマも、乾燥したアスファルトなら、一層スマートな操縦性を楽しめるに違いない。とはいえ、マセラティらしいエンターテインメント性や「魂」を味わえなかったわけではない。

大きなシフトパドルを1度弾くだけで、ドライバーの気持ちへ火が付く。ZF社製の8速ATをマニュアルモードへ切り替えれば、フェラーリ譲りのV8エンジンをダイレクトに堪能できる。

アルプス山脈には、トンネルも多い。気付けば、アクセルオフでのオーバーラン時の破裂音やぐずり音を、反響させて楽しんでいる自分がいた。

先代のグラントゥーリズモに載っていた、自然吸気の4.7L F136型ユニットのようなシンフォニーは奏でないとしても、音響的な魅力は近年の雄。ハイブリッド化されたライバルンとは、比べ物にならないほど豊かな聴き応えで満たしてくれる。

熱狂的トライデント信者のためのギブリ

客観的に見れば、ギブリ 334ウルティマの実力は競合の水準へは届いていない。それでも、機会が許すなら、筆者も1台を手にしたいという気持ちが湧いてくる。

英国価格は15万9625ポンド(約2953万円)と、ギブリとしてはかなり強気。裕福なマセラティ・コレクターを相手にした、限定モデルだといえる。生産数は少なく、本当に欲する人は躊躇しないのだろう。

他方、内燃エンジンを搭載したイタリアン・スポーツサルーンといえば、アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオが存在する。ひと回り小さいが、必要な予算は半分で済む。そのドライビング体験は、もっと心躍るものでもある。

熱狂的トライデント信者へ向けた、高価なギブリかもしれない。だとしても、丁寧に仕立てられたボディがくるむ、素晴らしいV8エンジンの魅力へ抗することは難しい。

◯:他に例がない個性 素晴らしいサウンドのV8エンジン 有能な8速AT
△:やや精彩に欠ける操縦性 少し古びて見えるインテリア

執筆:スティーブン・ドビー

マセラティ・ギブリ 334ウルティマ(欧州仕様)のスペック

英国価格:15万9625ポンド(約2953万円)
全長:4985mm
全幅:1945mm
全高:1485mm
最高速度:334km/h
0-100km/h加速:3.9秒
燃費:7.9km/L
CO2排出量:286g/km
車両重量:1969kg
パワートレイン:V型8気筒3799cc ツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:580ps/6750rpm
最大トルク:74.2kg-m/2250-5250rpm
ギアボックス:9速オートマティック(後輪駆動)

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みんなのコメント

11件
  • tak********
    今度はメラク出してくれ
  • niy********
    エンジンはフェラーリ製造だけどクロスプレーンクランク採用マセラティ
    本家フェラーリはパワー重視のフラットプレーンクランク採用されてる
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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