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ポルシェの電動化が止まらない! 高性能バッテリーセルの工場に投資する理由とは

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ポルシェの電動化が止まらない! 高性能バッテリーセルの工場に投資する理由とは

■高性能バッテリーセルの工場に投資

 ポルシェAGは、カスタムセルズ社をジョイントベンチャーのパートナーとして、新会社のセルフォース・グループGmbHに数千万ユーロの大規模な投資をおこなうと発表した。この投資によりポルシェは、電動モビリティの分野で技術的なリーダーシップとしての役割をさらに加速させていく目論見だ。

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 また、カスタムセルズ社も2021年6月22日、ポルシェのヴァイザッハ開発センターで高性能バッテリーセルの生産を開始すると発表している。

 カスタムセルズは、特殊なリチウムイオン電池セルの開発において世界をリードする企業のひとつである。イツェホー(シュレースヴィヒ=ホルシュタイン)とテュービンゲン(バーデン=ヴュルテンベルク)にある拠点で、プロトタイプから中小規模のシリーズまで、ドイツ製アプリケーション向けバッテリーセルの開発・製造をおこなってきた。

 2012年に設立されて以来、カスタムセルズはさまざまな材料(カソード、アノード、セパレーター、電解質)とコーティング技術を利用して、セル開発分野での重要なノウハウを獲得。機動的な製造コンセプトや最先端の研究・生産設備をベースとした、航空業界や船舶業界などで使用される小規模なシリーズの特殊なリチウムイオン電池セルを製造してきた実績がある。

 ポルシェAGの取締役会会長であるオリバー・ブルーメ氏は次のように述べている。

「バッテリーセルは未来の燃焼室です。ポルシェの新しい子会社として、セルフォース・グループは高性能バッテリーセルの研究・開発・製造・販売を推進するために尽力します。このジョイントベンチャーにより、私たちはもっとも強力なバッテリーセルの開発において世界的な競争の最前線に立つことができ、ポルシェ特有のドライビング体験と持続可能性を結びつけることができます。私たちは、このようにしてスポーツカーの未来を形作ります」

 この新しいベンチャー企業は、ポルシェが83.75%の過半数の株式を保有し、テュービンゲンに本社を置くという。そしてこの学園都市は、ヴァイザッハの研究開発センターや、シュトゥットガルト=ツフェンハウゼンのポルシェAG本社の近郊に建設予定のバッテリー工場の候補地にも挙げられている。

 従業員数は、両社が共同で提供していた当初の13名から、2025年までに80名まで増加する見通しだ。ドイツ連邦共和国とバーデン=ヴュルテンベルク州は、約6000万ユーロの資金をこのプロジェクトに提供した。

 カスタムセルズ社のCEOであるトーゲ・テーネッセン氏は次のように説明する。

「私たちは、もっとも要求の厳しいアプリケーション向けに顧客固有のバッテリーセルを開発することを目的として、カスタムセルズを設立しました。これを、今まさにポルシェと一緒に実現することができます。計画されている生産工場の目標は、年間に最低でも100MWhの容量を達成することです。これは、自動車1000台分の高性能バッテリーに相当します」

 さらに、カスタムセルズ社のCEO、レオポルド・ケーニッヒ氏は次のように付け加えた。

「私たちは、セル技術と生産に関する専門知識だけでなく、機動性、革新的な長所、個々の問題解決スキルでもポルシェとのパートナーシップに貢献します」

■欧州IPCEIプロジェクトEuBatInの一環

 新会社セルフォース・グループGmbHの正式な発足の会見には、政界からも多くのゲストが招かれ、コメントしている。

 まず、ヴィンフリート・クレッチマン州首相は次のようにコメントした。

「セルフォースの設立により、ポルシェとカスタムセルズは重要なメッセージを発信しています。電動化はエネルギーと輸送の移行に向けた中心的な柱のひとつであり、最新のストレージ技術は将来の主要な技術となるものです。これらのストレージ技術を使いこなした者が繁栄と雇用を確保できます。バーデン=ヴュルテンベルク州は、個々のハイテクコンポーネントやバッテリー製造の生産技術からバッテリーシステムやリサイクルに至るまで、バリューチェーンのすべての主要な部分を集約しています。これをさらに拡大するために、とりわけ戦略的対話である『自動車産業BW(バーデン=ヴュルテンベルク)』に取り組んでいます」

 また、トーマス・バレイス氏(連邦経済・エネルギー省政務次官)は「セルフォース・グループのジョイントベンチャーの設立が、この野心的なバッテリープロジェクトに向けて重要な一歩を踏み出したことを嬉しく思います。このプロジェクトは、IPCEIバッテリーセル生産の推進で達成したかったことの代表的な例です。私たちは、連邦経済エネルギー省として、ドイツ国内で新たなバッテリーセル生産を開始するために、この貢献によって必要な後押しができることを嬉しく思います。バーデン=ヴュルテンベルク州はますますバッテリーのホットスポットになりつつあり、このとても革新的な場所で資格のある労働者を多く確保しています。会社の全従業員の皆様のますますのご活躍を期待します」

 ボリス・パルマー市長は、「テュービンゲンでは、優れた研究は常に経済的実行と市場の準備が整っていることによって理想的に補完されてきました。より環境にやさしいモビリティのための新しい建物が将来、私たちの街に建設されることを嬉しく思います。高性能バッテリーセルは、2030年までにCO2ニュートラルを達成するという私たちの野心的な気候保護プログラムにも完全に合致します。経済成長と環境保護の進歩こそが、成功する唯一の方法です」と説明した。

 ポルシェの研究開発部門担当取締役であるミヒャエル・シュタイナー氏のコメントは、どうしてポルシェがバッテリーセルを自社開発するのかの答えにもなっている。

「ポルシェは、1931年にシュトゥットガルトにエンジニアリングおよび開発の事務所として設立されました。今日にいたるまで、私たちの高性能スポーツカーの心臓部である技術を購入することはしていません。私たちは、それを自身で開発しているのです。だからこそ、将来の主要技術であるバッテリーセルを自分たちで開発して構築することはわれわれの理想にかなっています。この新しいハイテク技術をもっとも競争の激しい環境であるモータースポーツで、最初にテストすることも同様に理に適っています。私たちのフル電動スポーツカーであるタイカンは、ル・マンで優勝したポルシェ919ハイブリッドによって、サーキットから重要な開発とその主要な技術的特徴を受け継ぎました」

* * *

 新しい高性能セルの化学的性質は、陽極材としてシリコンに依存しているという。この材料を使用することで、現在の優れた市販のバッテリーと比較して、電力密度を大幅に高めることが可能となる。

 そしてバッテリーは、より小さなサイズで同じエネルギー量を供給可能なだけでなく、新しい化学的性質により、バッテリーの内部抵抗を減少。これにより、エネルギーは回生中により多くのエネルギーを吸収すると同時に、急速充電の性能を向上させることができるのだ。

 また、セルフォースのバッテリーセルの特徴として、高温への耐性が向上していることが挙げられる。これらはすべて、モータースポーツで高く評価されている品質である。

 一方で、サーキットでの使用では、必ずしもバッテリーが氷点下の温度で機能する必要はなく、長年にわたる多くの充電サイクルについて安定している必要もない。そういった、いまだ達成されていない技術があることも事実で、それらを達成するために、世界をリードする化学メーカーのBASFが次世代リチウムイオン電池セルの開発パートナーに選出されたのだ。

 共同研究の一環としてBASFは、高速充電と高エネルギー密度を可能にする、高性能セル用の高エネルギーHEDTM NCMカソード材を独占的に提供。フィンランドのハルジャバルタにあるカソード材の一次製品製造施設と、ドイツのブランデンブルク州シュヴァルツハイデにあるカソード材製造施設では、BASFは2022年から業界有数となる、低カーボンフットプリントのバッテリー材料の生産が可能となる。

 この高性能バッテリーセル生産工場のアイデアは、P3グループのイニシアチブから誕生したという。

 シュトゥットガルトを拠点とするこの経営コンサルタントは、革新的で持続可能な技術に基づいたリチウムイオン電池において競争力のある欧州のバリューチェーン構築を目的とした、欧州IPCEIプロジェクトのEuBatIn(欧州共通利益主要プロジェクトのひとつである欧州バッテリーイノベーション)の一環としてこのコンセプトを開発し、カスタムセルズへの資金提供申請を2019年に提出。

 自動車業界からは、ポルシェがプロジェクトパートナーとして参加した。そして2021年に入ってP3グループは、市場での中立性と独立性を維持するためにジョイントベンチャーには直接関与しないことを決定。P3は、バッテリーセルの分野で深い技術的理解を持つ技術コンサルタントとしての役割を果たすために、セルフォース・グループとの長期的なサービス契約を締結している。

 ポルシェとカスタムセルズ社の契約は、2021年5月21日に締結されたという。新生セルフォース・グループGmbHのマネージングディレクターには、ポルシェから最高執行責任者のマルクス・グレフ氏、最高財務責任者のヴォルフガング・フュスケン氏、そしてカスタムセルズから最高技術責任者のトーゲ・テーネッセン氏が就任した。

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みんなのコメント

2件
  • 正直、タイカンの実車をみたが、
    微妙なデザインだった。
  • そっち方向かぁ…。

    フラット6の水素エンジンを見てみたいと思うのは自分だけかなぁ…。

※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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