フォルクスワーゲンの上級モデル「パサート」シリーズが初のマイナーチェンジを実施した。
その内容はフェイスリフトに留まらず、時代が求める先進機能の強化も大きなトピックだ。特に運転支援機能の充実が図られている。
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さらに新エンジンの採用で、モデルラインも一新された新型パサートたちの進化のポイントをまとめてお届けしよう。
文:大音安弘 写真:フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン
【画像ギャラリー】リフレッシュされたMC型VWパサートのすべて
■初のMCを実施したVWパサート
フォルクスワーゲン・グループ・ジャパンは、2021年4月6日、ミッドサイズモデル「パサート」シリーズのマイナーチェンジを実施し、同日より販売を開始することを発表した。
マイナーチェンジモデルのラインアップは、これまで同様に、セダン、ステーションワゴン「ヴァリアント」、クロスオーバーワゴン「オールトラック」の3タイプとなり、シリーズの価格は、429万9000円~604万9000円となる。
初のマイナーチェンジを実施したVWの上級モデル「パサート」シリーズ
■フェイスリフトで力強くなった外装デザイン
初のマイナーチェンジでは、フェイスリフトも実施。前後バンパー、ライト類、フロントグリルなどのデザインが見直され、より力強いデザインに進化している。
フロントバンパーは、直線的だったロアグリルに抑揚が与えられ、表情も豊かとなり、力強さも増した。アクセントとなる前後のVWエンブレムも新デザインのものに変更されている。
フロントヘッドライトは、流れるウィンカーことダイナミックターンインジケーター付きのLEDヘッドライトが全車に標準化。このため、グレードによる見た目の違いも少なくなった。
リアバンパーも新デザインとなり、全車でテールパイプフィニッシャー内蔵タイプに変更。LEDテールランプも新デザインとなり、こちらもフロント同様に、流れるウィンカーが備わる。
小さな違いだが、パサートのロゴエンブレムも、VWバッチ下の中央配置に変更された。
テールランプやエンブレムの変更もリアデザインの鮮度をた高めることに貢献
■インフォテイメントシステムは常時通信式に
インテリアの変更では、インフォテイメントシステムのアップデートが大きなポイントとなる。全車のシステムに、eSIM内蔵の通信モジュールが搭載され、常時コネクティッド(オンライン接続)のヘッドユニットとなった。
インフォテイメントシステムは2種類あり、8インチ液晶を搭載したディスプレイオーディオ「Ready 2 Discover」がエントリーグレード「エレガンス」に標準。それ以上のグレードでは、9.2インチの大型モニターを搭載したナビゲーションシステム「Discover Pro」を標準化。
またDiscover Pro装着車には、デジタルメーターパネル「Digital Cockpit Pro」も合わせて装備される。またエレガンスにも「Discover Pro」と「Digital Cockpit Pro」をセットオプションとして装着することが可能となった。
新通信機能の搭載によりVWのコネクトサービスは、新たな「We Connect」の利用が可能となり、従来から提供されていた渋滞情報などのナビ機能関連の通信サービスに加え、スマートフォンアプリからのドアのアンロック及びロックを可能としたほか、車両故障時の位置情報の提供など通信機能を活用した機能の向上が図られている。
また地図更新もオンラインで行うことができるようになったのも嬉しいところだ。
インテリアのデザインでは、ステアリングデザインが刷新され、操作ボタンも新配置に。エアコンパネルもタッチコントロール式に変更された。
ただダッシュボード中央に配置されていたアナログ時計は、廃止されたのは少し寂しいところ。そのエリアには、エンブレムを新設し、ハザードボタンが移設されている。
デジタル機能を強化したインテリア。ただアナログ時計が失われたのは、寂しいところ
■VW初のふたつの運転支援機能を採用
すでに先進の運転支援機能の充実が図られていたパサートだが、今回のマイナーチェンジでは、二つの新機能の採用が大きなトピックとなる。ひとつめの機能が同一車線内全車速運転支援システム「Travel Assist(トラベルアシスト)」だ。
従来の渋滞時追従支援システム「Traffic Assist(トラフィックアシスト)」を進化させたもので、ドライバーがあらかじめ設定した車速内において前走車との車間及び走行レーンの維持をサポート。対応車速も、0-210km/hと幅広いので、高速道路などの長距離運転中の疲労軽減に大きな効果を発揮する。
もうひとつが「IQ.LIGHT(アイキューライト)」で、細やかな配光が可能なLEDマトリックスヘッドライトの制御にフロントカメラを活用したもの。フロントカメラで対向車や先行車を検知し、最適な配光制御をおこなう。いずれの機能も全車に標準化されている。
新安全装備となる「IQ.LIGHT」。先進機能用のカメラを活用した新たなライトシステムだ
■パワーユニットは2種類に厳選
パワーユニットは、2種類に厳選された。ガソリンエンジンは、従来の1.4L TSIから最新世代の1.5L TSI EVOエンジンに換装。スペックは、最高出力150ps、最大トルク250Nmと従来同様。新エンジンにも効率を高める気筒休止機能が継承される。
上級グレードに採用される高出力エンジンは、クリーンディーゼルに一本化。引き続き、2.0L TDIが搭載される。こちらも最高出力190ps、最大トルク400Nmの性能に変更はない。
ただトランスミッションは、ガソリン車とクリーンディーゼル車ともに、DCTタイプの7速DSGに換装。1速ギアが追加されたことで、より効率とレスポンスに優れた走りが期待される。
エンジンは、1.5Lガソリンターボと2.0Lクリーンディーゼルターボの2種類に(写真はディーゼル仕様)
■シリーズは全11モデルの展開に
新パサートシリーズは、モデルラインも刷新。セダンが4タイプ、ステーションワゴン「ヴァリアント」が5タイプ、クロスオーバーワゴン「オールトラック」が2タイプとなる。
セダンは、ベースとなる「エレガンス」とナビ機能を持つ「Discover Pro」などの装備のアップデートを図った「エレガンス アドバンス」を設定。それぞれに、ガソリン車とクリーンディーゼル車が用意される。
ステーションワゴン「ヴァリアント」もセダン同様に、「エレガンス」と「エレガンス アドバンス」のエンジン違いの4タイプを用意するが、セダンにはないスポーティデザインの「Rライン」も用意される。スポーティな内外装に加え、19インチホイールとダンパーの減衰力調整が可能な「DCC」も備えるのが特徴。
従来型Rラインは、セダンとヴァリアントにそれぞれ設定されていたこともあるが、マイナーチェンジモデルでは、ヴァリアントに一本化。さらにエンジンもガソリン仕様の2.0Lターボから、クリーンディーゼル仕様の2.0Lターボに変更されている。
パサートシリーズ唯一の4WD車となるクロスオーバーワゴン「オールトラック」は、従来型同様に2.0Lクリーンディーゼルターボのみ。モデルラインは、「ベース」と「アドバンス」の2種類が用意される。
いずれも装備は充実するが、ベースグレードでは、レザーシート、ダンパー制御のDCC、電子デフのXDS、ヘッドアップディスプレイ、駐車支援システムなどの機能が省かれる。
大人ワーゲンことパサート。時代が求める装備を強化し、販売拡大を狙う
現時点では、PHEVである「GTE」が非設定となったこともあり、かなりわかりやすいモデルラインとなった。VWラインアップでは、SUVラインの強化もあり、全般的にカジュアルなイメージが強まっている。
その点パサートは、従来のちょっといい輸入車路線とデジタルなワーゲンの両面を持ち合わせるのが大きな強みとなる。ギラギラした輸入車が増えるなか、質実剛健さを魅力とするパサートのシブさは武器となるはずだ。
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みんなのコメント
1月に突然ギアが全く入らなくなり自走不能に。ディーラーで点検してもらいましたが、DSGが完全にイカれてしまったとか…
部品もバックオーダーでドイツから取り寄せる必要があり、修理代工賃含めて150万位になるとか…
もうふざけるな。即刻廃車にして別のメーカーに買い替えました。DSG、気をつけた方がいいですよ…