「カッコいい」。ボルボの新型「S60」を、はじめて見たときの印象だ。SUVがあふれる昨今、背の低いボルボの新型セダンは驚くほどスタイリッシュに見えた。
今や世界のどこのマーケットでも、”主役”としてもてはやされるのは「SUV」だ。より新鮮で個性に富んだスタイリングや、昨今の”異常気象”に対する高いタフネスぶりといったベネフィットを提供するから、人気を集めるのも理解出来る。
New Volvo S60 Inscription新型S60は限定導入されたS90と異なり、日本でもカタログモデルになるようだ。また、メーカーにとってもメリットがある。たとえば、電動化関連の新たなメカニズムの設置場所の確保が容易であることや、付加価値を高めて利益を上乗せ出来る点だ。
それやこれやでSUVは、世界的に”時代の寵児”になった。日本でも、ボルボの最新SUV「XC40」や「XC60」は人気だ。とくにXC40は大量のバックオーダーを抱えているという。
世界中で人気を集める「XC40」。日本でも大量のバックオーダーを抱えており、今、契約しても納車されるのは1年以上先という。そのいっぽうで、セダンやステーションワゴンは、下手をすれば”過去のデザイン”というイメージすらいだかれかねなくなっている。
しかし、ボルボの新型「S60」は、そのカッコよさで、セダンへの注目を促す1台になるのではないか。
かつてのボルボといえば、「240」のセダンのように、角ばったデザインが主流だった。2010年登場の先代S60。エクステリア&インテリアは新世代ボルボらしさ満載!エクステリア・デザインのハイライトは、FFレイアウトがベースであるのを忘れさせるようなスラリと伸びたボンネットに、4ドア・クーペの風味漂うアーチ型のルーフライン。エレガントなプロファイルを見せる。
フロントオーバーハングを切り詰めてホイールベースは長く、ホイールがボディ幅一杯にまで張り出しているのもいい。躍動感がみなぎるからだ。”生粋のスポーツセダン”そのもの、というカッコ良さである。
New Volvo S60 R-Design exteriorボディは全長×全幅×全高:4761mm×1851mm×1431mm(海外仕様)。かくもスタイリッシュなセダンを提案されると、「昨今のセダン人気凋落の要因のひとつは、”カッコいいセダン”があらわれないことにもあるのでは?」と、そ考えさせられてしまう。
4761×1851mmという全長×全幅サイズは決して”コンパクト”とはいえないものの、日本の環境下でもなんとか持て余さずに扱えそうだ。
New Volvo S60 R-Design exterior新型S60は、独立したトランクを持つ4ドアセダンだ。New Volvo S60 R-Design exteriorLEDヘッドライトは新世代ボルボに共通するデザイン。北欧神話に登場する雷神の持つハンマーがモチーフだ。そして大人4人がゆったり寛げるキャビンスペースや、広大なトランクルームを見たあと、あらためてスタイリッシュなエクステリアを見ると「やっぱりセダンはいいかもしれない」と、考えを変える人も少なくないと思う。
New Volvo S60 Inscriptionリアシートはセンターアームレスト付き。グレードによって、リアシート専用のエアコン・システムも搭載する。New Volvo S60 Inscriptionスクエアな形状で使い勝手に優れるラゲッジルーム。インテリアに目を転じると、新世代ボルボ車が例外なくそうであるように、シンプルな構成でありながらも品質感がたかくい。クリーンでやさしい北欧テイストたっぷりである。
S60は、エクステリアにしてもインテリアにしても、“見た目で購入意欲をそそられるセダン”なのだ。
New Volvo S60 Polestar Engineered interiorT8 ポールスターエンジニアードのインテリア。スポーツタイプのシートと、ゴールドのシートベルトが印象的だ。Volvo Cars new S60 Polestar Engineeredゴールドはポールスターのアイコンカラー。New Volvo S60 R-designステーションワゴンとおなじく、開口部のひろい電動パノラミック・ガラス・スライディング・ルーフも選べる。New Volvo S60 R-designインパネの9インチのタッチパネル式モニターで、ナビゲーションシステムやインフォテインメントシステムを操作する。New Volvo S60 R-designメーターパネルはフルデジタル。ナビゲーションマップも表示出来る。試乗会場がアメリカのワケS60の国際試乗会は、カリフォルニア州は太平洋に面したリゾート地、サンタモニカをベースに開催された。
ちなみに、新型S60は、ボルボ・ブランド初の”米国工場生産車”だ。
Volvo's new manufacturing plant in South Carolina, USA新型S60は、アメリカ・サウスカロライナ州にある工場で生産される。試乗車のグレードはガソリン・エンジン仕様の「T6 AWD Rデザイン」とプラグ・イン・ハイブリッド仕様の「T8 ポールスターエンジニアード」の2タイプ。ちなみに、これまであったディーゼル・エンジンは設定そのものがないという。
T8 ポールスターエンジニアードは、オーリンズ製のダンパーやブレンボ製のフロントブレーキなどを採用し、かつ独自のチューニングを施したエンジンを搭載するハイパフォーマンスモデルだ。20インチの専用デザイン・ホイールを装着したブラックのボディは、迫力満点だった。
New Volvo S60 Polestar Engineered exteriorS60のハイパフォーマンスモデル「T8 ポールスターエンジニアード」。想像以上に電気で走る!早速、T8 ポールスターエンジニアードに乗り込んだ。
アクセルをゆっくり踏むと、ほぼ無音の状態で発進した。駆動用バッテリーの充電状態に余裕があれば、日常的な緩加速シーンの駆動力を担うのは、後輪を駆動するモーターのみなのだ。
New Volvo S60 Polestar Engineered exteriorT8 ポールスターエンジニアードは、内外装に専用パーツを多数装着する。後輪用モーターの最高出力は88ps相当だから、アクセルを深く踏み込まない限り、エンジンの出番はない。
EV走行状態を可能な限り持続する走行モードの「ピュア」をセレクトすると、電気の力のみで走行可能な最高速度が約70km/hから約120km/hに引き上げられる。ゆえに、バッテリーの充電状態が許す限り、エンジンの出番はなかなかない。
Volvo Cars new S60 Polestar Engineeredポールスターは、ボルボ・カー傘下のハイパフォーマンスブランドである。一方、より力強い動力性能を望むなら、はじめからエンジンも併用する走行モード「ダイナミック」をセレクトすればよい。
すると、V型8気筒エンジンのような重低音の効いたサウンドが聞こえてくる(電子的なチューニングも施されているようだ)。音を楽しみつつワインディング・ロードを走ったが、文句ナシのパワフルさが印象的だった。
搭載するガソリン・エンジンの排気量はわずか2.0リッターであるが、ターボとスーパーチャージャーの過給によって、モーターを含む総出力は415psに達する。”スポーツセダン”の名に恥じない。
New Volvo S60 Polestar EngineeredT8 ポールスターエンジニアードが搭載するパワーユニットは2.0リッター直列4気筒DOHCターボ+モーター(システム総出力/トルク:415ps /670Nm)。気になったのは、ブレーキ・フィールだ。優れた動力性能に対応して強化されたというブレーキシステムは、やや違和感のあるフィーリングだった。端的に言って、ペダル踏力に対する減速Gのコントロール性に難があったのだ。
とはいえテスト車はプロトタイプモデルだ。日本導入モデルとは異なる。日本で販売されるモデルが改善済みあることを願いたい。
New Volvo S60 Polestar Engineered exterior detailブレーキはブレンボ社製。キャリパーはポールスターのアイコンカラーであるゴールドだ。ガソリン・モデルも好印象!ガソリン・エンジンのみを搭載するT6 AWD Rデザインに乗り換えると、T8 ポールスターエンジニアードより自然で軽快感に富んだ走りのテイストが好印象だった。
加速性能はT8 ポールスターエンジニアードより劣るものの、一般的には十分すぎる速さだ。たとえば、静止状態から100km/hまでに要するタイムはT8 ポールスターエンジニアードが4.7秒であるのに対し、T6 AWD Rデザインは5.6秒なのだから。
New Volvo S60 Inscriptionガソリン・エンジン搭載グレードのT6 AWD Rデザイン。New Volvo S60 Inscription組み合わせられるトランスミッションは8AT。魅力は軽快感に尽きる。T8 ポールスターエンジニアードと異なり、駆動用バッテリーやモーターを搭載しない分、約70kg軽い。その軽量化分が、走りの軽快感に結びついている。
くわえてホイールサイズは、T8 ポールスターエンジニアードが20インチに対し、T6 AWD Rデザインは19インチ。フラットで、かつしなやかなフットワークに貢献しているはずだ。
New Volvo S60 R-Design exteriorNew Volvo S60 R-Design exterior新型S60が日本で販売されるのは2019年秋の予定、つまりまもなくである。導入モデルは、筆者が試乗したプロトタイプモデルのアップデート版だから、走りのあらゆる面が改善されているはずだ。それでいて、カッコいいのである。日本でも間違いなく注目されるだろう。
今、新世代ボルボは驚くほど人気を集めている。とりわけ「XC40」は、納車まで1年以上時間を要するという。こうした状況のなか、新世代ボルボのセダンがどれほどの人気を得られるのか? 大いに気になる。
文・河村康彦
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