BMWの高性能モデルとして比較されるアルピナとM。チューナーとしての活躍からBMW公認の完成車メーカーとなったアルピナと、BMWのレース部門であるBMW M社が送り出すハイパフォーマンスモデルに試乗し、あらためて両者の違いを見ていきたい。
アルピナが目指すのは安心快適で速いラグジュアリィな“リムジン”
BMW5シリーズをベースとした、BMWアルピナD5Sと、BMW M5 Competitionを比較試乗して、アルピナとM、それぞれの味付けの違いを体感してみた。
アルピナD5Sは、最新の5シリーズをベースとしたディーゼルモデルだ。1999年、アルピナは当時の5シリーズをベースとした初のディーゼルモデルD10 Bi-Turboを市場に投入した。これは世界でもっともパワフルなディーゼルモデルと謳われ、大きな話題を呼ぶ。そのDNAをいまに受け継ぐモデルが、このD5Sだ。
エクステリアは定番のアルピナ・ブルーメタリックのボディカラーに、1970~80年代のマシンへのオマージュである“アルピナ・デコセット”と呼ばれるサイド・ストライプを配している。バンパーなどはアルピナ独自のデザインで、ラジエターへと取り込む空気の流れを最適化し、またダウンフォースを強めて高速安定性を高めている。しかし、大きなスポイラーやウイングの類は一切装着されない。アルピナの流儀はあくまで“アンダーステイトメント”であること。
インテリアに目を移すと、アルピナ伝統のウッドパネルや製造番号を刻印したプロダクションプレートなどが独特の雰囲気を醸し出している。一見するとベースの5シリーズとそれほどかわらないように思えるが、こだわりは細部に及んでおり、ブルーとグリーンのステッチが施された手縫い仕上げのステアリングホイールは、手のひらに干渉しないようにとあえて装飾的なクロスステッチはせずに、内側へと縫い込む手間のかかる縫製を行っている。
パワートレインは、最高出力347ps、最大トルク730Nmを発揮する3リッター直列6気筒ディーゼル+ツインターボに、48Vマイルドハイブリッドシステムを組みあわせている。マイルドハイブリッドシステムは最新のBMW譲りのもので、最大8kW(11ps)の回生エネルギーで低回転域での駆動をサポートする。トランスミッションは8速スポーツオートマチックで、駆動方式はAWD(四輪駆動)だ。
アルピナ・マジックと呼ばれるように、シャシーチューニングでも本領を発揮する。電子制御式のダンパーには、ベースのBMWにはない“コンフォートプラス”モードを設定し、市街地でのコンフォート性能は抜群のものだ。足元にはアルピナのトレードマークといえる20スポークデザインの20インチ鍛造ホイールを採用し、バネ下重量を約25%軽減している。また専用開発されたタイヤ(ピレリ製P-ZERO)によって、気持ちのいいハンドリングと快適性を両立している。
サーキットでの速さを追求した、“羊の皮を被った狼”Mモデル
一方のM5の試乗車は、現行型となる6世代目のモデルに追加された最強仕様のM5 Competitionだった。
エクステリアでは、ハイグロス・ブラック仕上げのキドニーグリルやフロントフェンダー後方のアウトレット、サイドミラー、リアスポイラーなどが特徴だ。インテリアもM5専用のステアリングやシフトノブ、スポーツシートなど、ラグジュアリィなアルピナとは方向性の異なるいかにもスポーティな仕立て。
パワートレインはM社製4.4リッターV8ツインターボエンジンに8速ATを組み合わせる。ベースモデルのM5が最高出力600psなのに対して、コンペティションは25psアップの625psに、最大トルクはかわらず750Nmで、0-100km/h加速は3.3秒と驚くほどに速い。駆動方式はM専用にセッティングされた「M xDrive」と呼ぶ4輪駆動で、DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)をオフにした場合にはFR(後輪駆動)に切り替えが可能という、Mモデルらしいこだわりの仕様だ。
エンジンやシャシー、ステアリングの特性は、それぞれ「コンフォート」(エンジンはエフィシエント)、「スポーツ」、「スポーツプラス」のモードがあり、任意の組み合わせをステアリングの左右に備わるM1、M2ボタンに記憶させることが可能。
コンフォートモードなら硬すぎるということはなく街乗りも難なくこなせるが、そのいかにも筋肉質で引き締まった印象がステアリングを通して伝わってくる。いわゆる“羊の皮を被った狼”だ。
BMWのMモデルが、サーキットでの速さを追求しているのに対して、歴代のアルピナが目指すものは、ラグジュアリィかつ安心快適でそして速い、リムジンだ。したがってアルピナとMは相対するものではなく、BMWのラインアップをちがうかたちで補完するものといえる。
ちなみにアルピナD5Sの車両価格は1358万円。その希少性や極上のグランドツーリング性能に鑑みれば、リーズナブルにさえ思える。
文・藤野太一 写真・デレック槇島、ビーエムダブリュー 編集・iconic
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みんなのコメント
現代の方がベースモデルとの差は大きくなり、見た目だけでなく、パフォーマンスも圧倒的なものになっているのは明らか。確かに車としての楽しみは少なくなっているとは思うが、より速いスピード域において安定した走りを実現してきた歴史がある。
全てを機械に作らせるトヨタと同レベルに感じるようでは、車のことは何もわかってないだろう。