10 月8日に発表された、マツダのコンパクトSUVの「MX-30」は、ほかのマツダ製SUVとは異なるインテリアが特徴だ。その詳細とは?
フリースタイルドアとは?
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新型マツダMX-30は、これまでのマツダ車とは異なるパッケージングおよびインテリア・デザインが特徴だ。「運転以外の時間も含め、人とクルマの感情的なつながりに注目し、ありのままの自分でいられる、心の落ち着く空間の実現を目指しました」というのがマツダの言い分だ。
“最大の特徴”としてうたわれるのは「フリースタイルドア」の採用だ。センターオープン式(観音開き)のドア構造である。フロントドアは82°、リアドアは80°まで大きく開くという。ただし、リアのドアを開くためには、まずフロントのドアを開ける必要がある。かつて販売されていたロータリースポーツの「RX-8」を彷彿とさせる機構だ。
センターピラーがないメリットのひとつについて、「子どもの顔を見ながら楽な姿勢でスムーズに、リアのチャイルドシートに乗せ降ろし出来ます」と、マツダは述べる。
室内にあるリアドアの開閉用ハンドルは、操作時に力を入れやすくするために縦型の形状をしている。さらに、リアシートへの乗降性を高めるべく、フロントシートには、ワンタッチでシートバックが前に倒れ、前方へスライドするウォークイン機構も搭載した。資料によると、後席乗員の身体の動きを考えて、前に倒す角度とスライド量を設定したという。
Hiromitsu Yasuiフリースタイルドアの開発にかかわった伊藤祐貴氏によれば「デザインと安全性の両立は大きな挑戦でした」という。「2012年まで生産されていたRX-8の同様のシステムの経験があるにはありましたが、当時と今とでは衝突安全基準がまったく異なるからです」。
では、どう解決策したのか?
「開発当初は、ドアの構造体としての面積を大きく取るため、リアドアのガラスは小さな丸型でした。しかしそれでは、デザイン性も視界性能も失われてしまうため、ドアまわりの補強構造などを見直しました。結果、今のデザインを実現したのです。もちろん衝突安全性能も確保しています」
オリジナル・デザインのインテリア
インテリアは、「ヒューマン・マシン・インターフェイス」(HMI)というマツダ開発陣の人間中心の開発思想に基づいてデザインされたという。
フロントシート空間は、ほかのマツダ車とおなじくドライバーを中心としたレイアウトを継承したが、MX-30では、よりシンプルさを求めたという。この結果、たとえばエアコン操作はタッチパネルディスプレイで行うようになった。
Hiromitsu Yasuiセンターアームレスト(前後スライド機構付き)を高い位置に設定し、自然な腕の角度で各デバイスを操作出来るようにしたのも特徴だ。ギアセレクターとセンターアームレストのあいだには、深底のカップホルダーを配置し、飲み物の置きやすさと各デバイスの操作性とを両立した。
Hiromitsu Yasuiギアセレクターは新デザインだ。「D」レンジを後端、「R」レンジを前端、「P」レンジを前端から横方向へ突き当てる逆L字型のシフトパターンを採用した。各レンジのあいだには適度なストロークを確保し、操作に対して「シフトが入った」というフィードバックがよりわかるように工夫したという。それにより、ドライバーが直感的にシフトポジションを認識出来るそうだ。
Hiromitsu Yasuiセンターコンソールには7インチのタッチパネルディスプレイを装備。ドアの開閉にあわせ、オリジナルのアニメーションが表示される。このアニメーションは日時や気温に応じて、微妙に異なるデザインになるという。
このタッチパネルディスプレイはエアコン操作パネルとして機能する。ディスプレイ周囲には、エアコン電源とオート制御、温度調節、窓の曇り取り用のプッシュスウィッチが並ぶ。運転時にグローブを着用していてもエアコンを操作できるようにしたという。
Hiromitsu YasuiHiromitsu Yasuiインパネ上部にはMAZDA3 やCX-30とおなじ8.8インチのインフォテインメントディスプレイを設置。ヘッドアップディスプレイやメーターとフォントを統一し、「心地よい一体感を表現した」と、うたう。
オーディオは、人間特性に基づいてスピーカーレイアウトを突き詰めたという「MAZDA HARMONIC ACOUSTICS」(8スピーカー)を採用する。オプションで、サブウーファーなどを追加した「Boseサウンドシステム」(12スピーカー)も選べる。
環境に優しい素材を使ったインテリア
MX-30は、各部の素材にもこだわっている。とくに、環境を意識した素材を積極的に使っているのが特徴だ。
センターコンソールやドアグリップにはコルク素材を使っている。樹木を伐採することなく樹皮を採取して作られるコルク素材は、環境負荷が少ないというのが理由のひとつだ。しかも、コルク栓の生産時に出る端材を使っているそうだ。
樹脂部品に貼られたコルク素材には、専用コーティングを施し、高い耐久性を確保したそうだ。インテリアカラーデザイナーの李欣瞳氏は「自動車部品としての性能を満たすのは非常に難しく、これまで量産車のインテリア素材に使った例は世界でもありません」と、述べる。
ちなみに、マツダの前身は「東洋コルク工業」というコルク製造会社だった。コルク素材は、マツダにとってゆかりあのある“ヘリテージ素材”でもある。
Hiromitsu Yasui一部のシート表皮には、リサイクル糸を約20%使用したファブリックを使う。現在、市販されている自動車のシートとしては高レベルの使用率とのこと。
ドアトリムの一部にはペットボトルのリサイクル原料を使った「呼吸感素材」と呼ぶ専用繊維素材(不織布)を使う。李氏によれば「最初に着想したのは和紙でした。繊維が絡まり合って出来る和紙は、温もりを感じるからです。和紙の素材に近いものはなにか? と、検討した結果、呼吸感素材を開発しました」とのこと。
シート表皮には、「プレミアムヴィンテージレザレット」と呼ぶ人工皮革も選べる。これは、人工皮革にヴィンテージレザー柄をプリントしたものだ。表面に、皮膜の厚さを緻密にコントロールしたシリコンコートを施し、心地よい手触りを実現したという。生産時は有機溶剤を使わず、水のみを使うため、環境負荷の低減にも貢献するという。
本革ではなく人工皮革を使うことについて、「コストカットが理由ではありません」と、李氏は述べる。「近年、人工皮革の技術と品質は飛躍的に向上しています。さまざまな“表情”を造りこめるうえ、コーティング量も少ないのでダイレクトな感触を楽しめます。くわえて、生き物から採取することなく、また生産工程で有機溶剤も使わないためサステイナビテリィの観点でもMX-30にふさわしい素材であると思い、採用しました」。
さまざまな新しい試みによって、これまでのマツダ製SUVとは異なるパッケージングおよびインテリア・デザインを実現したMX-30を、はたしてユーザーはどう評価するのか? 今後の、販売動向に注目だ。
文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)、マツダ
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みんなのコメント
マツダ3やCXー30から想像するに、恐らく質感も高いのだろうと思います。
素晴らしい!
そしてこのMX-30は更に進化。
脱ポリ袋を目指した無印良品的な感じがします。
Honda車かと思った。
走りはCX-30より良さそう? 乗るしかないです。