■意外な高性能自然吸気エンジン車を振り返る
現在、SUV人気が続いている状況ですが、その反面、スポーツカーにとって冬の時代といえるでしょう。とくに小型のスポーツカーは、世界的にもかなり貴重な存在です。
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さらに、スポーツカーのエンジンはターボエンジンが主流となり、高性能な自然吸気エンジンは、もはや絶滅危惧種となってしまいました。
しかし、かつては自然吸気エンジンでもパワフルなモデルが数多く存在し、また大排気量エンジンもメジャーな存在でした。
そこで、スポーツカーではなくてもハイスペックな自然吸気エンジンを搭載したクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
●日産「ブルーバード 2.0 SSS-Z」
かつて、日産のミドルクラスセダンのラインナップで、中核を担っていた一台が「ブルーバード」です。
1959年に初代が誕生し、2代目からは高性能グレードの「SS」、続いて「SSS」を設定したことから、ブルーバードはスポーティなセダンというイメージが定着。
そして、1979年に発売された6代目の「910型」では、シリーズ初のターボエンジンを搭載し、トップグレードのSSSはターボエンジンとなって代を重ねました。
ところが、1996年に登場した10代目の「U14型」ではターボエンジンが廃止され、ガソリンエンジン車はすべて自然吸気となり、トップグレードの「2.0 SSSアテーサ」でも最高出力145馬力の2リッター直列4気筒エンジンと、それまでのハイパワー路線ではなくなってしまいました。
しかし、1997年のマイナーチェンジでは、自然吸気エンジンの高性能モデル「2.0 SSS-Z」が登場し、2リッター直列4気筒の「SR20VE型」エンジンを搭載。最高出力190馬力を7000rpmで発揮する高回転型ユニットでした。
トランスミッションはCVTのみで駆動方式はFFの2WDとされ、キャラクター的には尖っておらず、隠れた高性能セダンという存在です。
その後、ブルーバードは2000年に生産を終了して後継車は「ブルーバード シルフィ」でしたが、「サニー」とシャシを共有するワンクラス下のセグメントとなり、実質的に10代目が最後のブルーバードといえました。
●ホンダ「エリシオン プレステージ」
ホンダは1994年に、同社初のミニバンである初代「オデッセイ」を発売。さらに1996年には5ナンバーサイズで比較的な安価な初代「ステップワゴン」がデビューし、両車とも大ヒットを記録してミニバン市場をけん引する存在となりました。
その後、ホンダはミニバンラインナップの拡充を開始し、1999年にはカナダで生産する北米仕様のオデッセイを日本でも「ラグレイト」として発売しましたが、ボディサイズが大きすぎて販売は低迷しました。
ラグレイトは2004年に販売を終了し、代わりに日本市場にマッチしたサイズのプレミアムミニバン、「エリシオン」を投入。
しかし、同クラスのライバルである日産「エルグランド」やトヨタ「アルファード」に対し、エリシオンは全高の低さから車格がひとまわり小さく見え、押し出し感も弱いことから販売は苦戦。
そこで2007年には、より重厚感のあるフロントフェイスの「エリシオン プレステージ」が登場しました。
さらにエリシオン プレステージには、同社のフラッグシップカー「レジェンド」と同じ、最高出力300馬力を発揮する3.5リッターV型6気筒SOHCを搭載。ミニバンでは国内トップのハイパワー車となりました。
ところが、その後もエリシオンシリーズはライバルを上まわるほどの人気とはならず、2013年には生産を終了。現在、エリシオンは中国市場で後継モデルが販売されています。
●スバル「レガシィ アウトバック 3.6R」
2021年10月7日に、スバルは6代目となる新型「レガシィ アウトバック」の日本仕様を発表しました。ステーションワゴンタイプのSUVでは先駆け的存在であり、北米市場では先行して6代目が販売されていましたが、満を持して日本市場に投入されたかたちです。
レガシィ アウトバックはレガシィ ツーリングワゴンをベースとしながらも、スポーティな走りよりもロングツーリングでの走りを重視したキャラクターであり、よりツーリング性能を高めたモデルとして2009年に「レガシィ アウトバック 3.6R」が登場しました。
車名のとおり3.6リッター水平対向6気筒自然吸気エンジンを搭載し、最高出力は260馬力とやや控えめですが、最大トルクは355Nmと大排気量エンジンならではのトルクフルな仕様に仕立てられていました。
この3.6リッターエンジンは海外専用の大型SUV「トライベッカ」や北米仕様のレガシィなどに搭載された実績がありますが、国内では4代目レガシィ アウトバックのみに搭載されたレアなエンジンです。
レガシィ アウトバック 3.6Rは大排気量自然吸気エンジンならではの太いトルクを生かし、鋭い加速性能と長距離ドライブでの余裕ある走りを実現。
しかし、3.6リッターエンジンは日本では自動車税の面で不利なこともあり、販売的には2.5リッターモデルが主流で、国内では2014年に5代目が登場すると廃止となってしまいました。
※ ※ ※
前述のとおり大排気量の自然吸気エンジンは、かなり減ってしまいました。
しかし、大排気量エンジンならではのアクセルレスポンスや、豪快かつリニアな加速感は大いに魅力的です。
今後、内燃機関そのものの数が少なくなることを考えると、大排気量エンジンがより少なくなるのは間違いないので、新車で豪快なフィーリングを味わえる残り時間はわずかでしょう。
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みんなのコメント
滑らかに、静かにハイスピードクルージングはできるのだろうけど。