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いまだに多い「下り坂でニュートラル」は燃費にいいのか?危ないのか??

掲載 更新 104
いまだに多い「下り坂でニュートラル」は燃費にいいのか?危ないのか??

 長い下り坂で「速度注意、エンジンブレーキ使用」という注意書きを目にすることがある。エンジンブレーキとは、AT車ならばセカンドレンジ、MT車ならば低速ギアに入れ、アクセルオフにすること。

 これによって、フットブレーキを使用することなく減速することが目的なのだが、なかには、「下り坂ではNレンジ(ニュートラル)にする」という人もいる。その理由は「Nレンジで空走状態にすることで燃費が稼げるから」だそうだ。

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 しかし、下り坂でのNレンジは、燃費に貢献しないばかりか、減速できず危険なので、やっている人は今すぐやめてほしい。なぜNレンジで下り坂を走ると危険なのか、燃費に貢献しない仕組みについても、解説していく。

文:吉川賢一
アイキャッチ写真:AdobeStock_Patcharanan
写真:写真AC、TOYOTA、NISSAN、HONDA、MAZDA、DAIHATSU、VW

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「下り坂をNレンジで走行すると燃費にいい」は、むしろ逆

 平坦な道を走行中、アクセルオフにすると減速度を感じると思うが、一般的なガソリン車では、Dレンジ(MT車ではニュートラル以外のギア)で走行中にアクセルオフにすると、燃料カットの制御が入り、燃料の噴射が止まる仕組みとなっている。さらにシフトダウンを行うと、エンジンはポンピングロスを起こして「回転抵抗」が強く働く。そうなると、クルマには減速する方向に力がかかる。

 燃料カットの制御は、設定されたエンジン回転数(クルマによって違う)よりも小さくなると解除され、アイドリング時の燃料噴射量となるが、それまでは燃料消費はしない。しかし、Nレンジで走行すると、エンジンはアイドルを維持するため、アイドリング時の燃料噴射量で燃料は消費される。下り坂をNレンジで走行すると、エンジンブレーキを使用したときと比較して、若干ではあるが燃費は悪化してしまうのだ。

下り坂をNレンジで走行すると、エンジンブレーキを使用したときと比較して、若干ではあるが燃費は悪化する(写真AC_うさみのん)

 そればかりか、Nレンジのまま走り続ければ、下り坂で、惰性で進んでしまうクルマを減速させるにはフットブレーキに頼るしかなく、フェード現象やべーパーロック現象による事故のリスクが高まる。せっかく「エンジンブレーキを使用して」と看板で注意喚起をしてくれているのに、「ここで燃費を稼ごう」という、いやらしい気持ちで事故リスクを高めていては、元も子もない。

ハイブリッド車のBレンジは充電もしてくれる

 では、ハイブリッド車の場合はどうかというと、トヨタのTHS-II、日産のe-POWER、ホンダのe:HEVなど、いずれのハイブリッドシステムにも、減速のための「Bレンジ」が用意されている。使い方は、ガソリン車のシフトダウンと同じだが、ハイブリッド車のBレンジは、アクセルオフ時には、回生ブレーキが働く。

2021年7月に発売となった、新型アクアの電動シフトレバー。Bレンジに入れるには、シフトレバーを下方向に操作する

 回生ブレーキとは、回転エネルギーを電力エネルギーに変換して減速する方法。自転車の前輪についているタイヤの回転を利用したライトと原理は同じだ。アクセルオフにすると、減速と同時に発電を行い、この電気を、車両の走行用バッテリーへと蓄え、活用するようにできている(自転車の場合は即時、ライトの点灯に使用する)。

 Bレンジだけでなく、Dレンジでもアクセルオフで回生ブレーキが働くが、Bレンジではより多くの電力を取り出すことができる。また、最近では、減速セレクターとして、パドルシフトやスイッチで減速度をコントロールできるようにもなってきている。

 これらを積極的に利用することで、ハイブリッド車ならではの良燃費をさらに伸ばすことができるので、ハイブリッド車ユーザーのなかには、積極的に利用している方も多いだろう。

2021年4月に発売された新型ヴェゼルの、パドルシフト形状の減速セレクター。減速度を4段階で変えることができる

 しかし、バッテリーに蓄えられる電力には限界がある。日産のe-POWERの場合、バッテリーに回生した電力がいっぱいとなり、これ以上、回生の必要がなくなると、回生した電力を、発電用モーターでエンジンを作動させることで消費させている。その際、エンジンから音はなっているが、燃料を消費しているわけではないので安心してほしい。

 ただ、トヨタのプリウスの場合、回生が満タンになる前に、燃料を燃やしてエンジンを回し、いつでもポンピングロスによるエンジンブレーキを効かせるスタンバイをしているため、下り坂では燃費悪化するケースも考えられる。同じ回生ブレーキであっても、効能は異なることがあるので、ご自身のクルマがどうなのか詳しく知りたい方はディーラーなどで問い合わせしてみるといいだろう。

シフトダウンでエンジンがうなりをあげるのは、必要な減速をするため

 長い下り坂などで、フットブレーキを踏み続ける危険に関して、本稿では説明を割愛したが、ドライバーならば絶対に知っておかなければならない内容なので、知らないという方は、周りに聞いたり、ご自身で調べるなどして、知っておいてほしい。

 シフトダウンをすると、エンジンがうなりを上げるため、「燃料を多く使っている」と勘違いをし、敬遠する方もいるようだが、実際は燃料カットの制御によって、(設定された回転数までは)燃料消費は行われない。「エンジンブレーキ使用」という看板がある長い下り坂では、その注意書きに従ってしっかりシフトダウンとアクセルオフでエンジンブレーキを効かせ、走行するようにしてほしい。

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みんなのコメント

104件
  • いまだに多いって、こんなことやってる奴いるの?
  • 今の時代、燃費だけの為にNに入れる奴なんているのかな?
    いたら本物のバカだ。
    想像力も何も無いんだろうね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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