2024年シーズンを通じて苦戦を強いられてきたキック・ザウバーは、F1カタールGP決勝で周冠宇が8位に入り、待望のポイントを手にした。
2026年からアウディのワークスチームとなるザウバーは既に来季のドライバーラインアップを発表しており、そこに周の名前はない。しかし周はカタールGPでの入賞で、F1での次なるチャンスを掴むために重要な存在感を示すことができたと考えている。
■F1シート喪失の周冠宇、2025年はフェラーリのリザーブドライバー就任?「彼らは僕にかなり興味を示している」
キック・ザウバーはシーズン終盤戦に右肩上がりに調子を上げており、周はカタールGPでスプリントイベントこそチームメイトのバルテリ・ボッタスの後塵を拝したが、本戦に向けた予選では12番グリッドを獲得した。
迎えた決勝レースで周は、オープニングラップの混乱に巻き込まれて17番手までポジションを落としたものの、ミディアムタイヤでのファーストスティントで10番手まで挽回すると、セーフティカー中のタイヤ交換でピットロスを軽減し9番手に浮上。他車のリタイアもあり、8位でチェッカーを受けることができた。しかも周は、ドライバー・オブ・ザ・デイにも選ばれた。
レースを終えて「ホッとした」と語った周は、2年後の2026年にF1グリッドへ再び戻ってくるために重要な存在感をパドックに示すことができたと口にした。
「みんなが覚えているのは最後の数レースだ。デビュー戦でポイントを取ろうが取るまいが関係ない。仮に悪い印象を残してF1を去ったなら、将来的に戻ってくるには良くないことだと思う」と周は言う。
「だからこのふたつの週末は、精神的に疲弊したシーズンから解放された自分を見せることができた。チームがポイントを獲得できたことを嬉しく思うし、僕としてもベストな形でパドックにメッセージを伝えることができた。来シーズンではなくて、再来シーズンに向けてね」
そして周はこう続けた。
「今はチャンスを待っているところだ。チームでのラストレース、そして次の章を楽しみにしている」
ザウバーはカタールGPの前に行なわれたラスベガスGPで、今季マシンC44のフロアエッジやディフューザー、アンダーフロアのジオメトリを変更した。これは2025年シーズンに向けた“基礎”として実戦投入されたモノだが、カタールGPでさらに変更が施されたフロントウイングと相まってC44は熾烈な中団グループ内で強力なパフォーマンスを発揮した。
仮にシーズンのより早い段階でアップデートを成功させ、入賞を掴むことができていたら、周の2025年もまた違った展開になっていたかもしれない。しかし当の本人は、今季限りで一度F1レギュラーシートを離れるということも前向きに捉えている。
「来年もグリッドに残るチャンスはあっただろうけど、残念だとは思っていない。人生にはこういうこともあるんだと受け止めている」と周は言う。
「でも別の見方をすれば、精神的に楽になったということでもある。厳しいシーズンだったからね。僕としては良いことなんだ。1年休んでチャンスを待ち、できれば来年、もしダメなら再来年、シートを得るために頑張るよ」
「僕はそのチャンスを待っているし、重要なのは最後の数レースを最高の形で終えることだ」
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