坪井翔が、参戦6年目でスーパーフォーミュラのチャンピオンを獲得した。坪井曰く、このタイトルは「獲りたくてしょうがなかった」モノだったという。
坪井は昨年のチャンピオンとなった宮田莉朋の後任として、今年からVANTELIN TEAM TOM’Sに加入。その1年目でいきなりチャンピオンに輝くことになった。鈴鹿での開幕戦こそ無得点に終わったが、その後オートポリス、SUGOと連続で3位表彰台を手にすると、富士スピードウェイでの第4戦で移籍後初勝利。10月の富士スピードウェイでの連戦で共に優勝し一気にランキング首位に浮上すると、鈴鹿での最終2連戦でいずれも2位となり、圧倒的な強さと安定感でシリーズタイトルを手繰り寄せた。
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「本当に嬉しいです。このタイトルを獲りたくてしょうがなくて、ずっとやってきました。ようやく獲れたので本当に最高の気持ちです」
そう坪井は喜びを語った。
「今年はチーム移籍という大きな環境の変化がありました。送り出してくれたCERUMO/INGINGにも、迎え入れてくれたTOM’Sにも、感謝したいです」
「TOM’Sは昨年のチャンピオンチームですし、僕が今年ここで獲らないと、どっちのチームに対しても微妙な想いをさせてしまうと思います。両チームには、結果で恩返しすることしか僕にはできないと強く思っていました。いつも以上に気合いが入った1年だったので、本当に良かったと思います」
スーパーフォーミュラは、エンジンこそ違えど、ほぼワンメイクと言えるフォーミュラカーシリーズ。ワンメイクの中では、世界広しと言えど、最速のシリーズかもしれない。そんな中でチャンピオンに輝いたことは、自信に繋がっているようだ。
「同じ道具というか、同じクルマや同じタイヤを使ってレースをして、ひとりでマシンを操るという意味では、本当に日本で最速を決めるカテゴリーだと思います。だから、やっぱりその称号がずっと欲しかった。それを獲るためにずっとやってきたところもあります」
坪井はそう明かす。
「スーパーGTではチャンピオンを獲りましたけど、スーパーフォーミュラでは獲れていなかったことについては、もどかしい気持ちがずっとありました。それを今年やっと叶えられたので、本当に幸せです」
坪井と言えば、KYOJO CUPに参戦する現役レーシングドライバーの奥様、愛未さんの存在も忘れてはならない。坪井がチェッカーに向けて走るのを固唾を飲んで見守り、タイトルが決まるや否や、涙を流す愛未さんの姿が、中継でも捉えられた。
7月の富士では、スーパーフォーミュラとKYOJO CUPが併載され、まず妻の愛未さんが勝利。その後を追うように、坪井も今季初の勝利を手にした。そしてそこから、今季の坪井の流れが変わったと言っても過言ではない。
坪井曰く、奥様の勝利で「尻を叩かれた」という。
「第4戦の富士を勝ってから、ガラリと色々なことが変わりました。僕の流れも変わったのかなと思います。ですので、お尻を叩かれたような気持ちです」
「今日終わった後も少しだけ会いましたけど、『なんで泣いてないの?』みたいなことを言われました」
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