現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「アルミボディ」の優位性は崩れつつある! いまどきのクルマのボディ事情

ここから本文です

「アルミボディ」の優位性は崩れつつある! いまどきのクルマのボディ事情

掲載 14
「アルミボディ」の優位性は崩れつつある! いまどきのクルマのボディ事情

 この記事をまとめると

■自動車の軽量化手法として第二次世界大戦以降からアルミニウムボディが用いられ始めた

超高級車って普通に運転できるもの? 庶民じゃ味わえない数千万円クラスの運転感覚とは

■当初はレーシングカーによく採用され、同じ鉄フレームより100kg近く軽くできた

■鉄も進化してきており、必ずしもアルミがいいという状況ではなくなりつつある

 なんか凄そうに聞こえる「アルミボディ」の魅力とは

 車両の軽量化は、動力性能、運動性能の向上以外に、燃費性能(二酸化炭素の排出)に関しても大きく効いてくることから、自動車メーカーにとっては喫緊の課題となっている。しかし、重量軽減のため、やみくもに軽量化を図ることができないことも事実である。自動車は、走る、曲がる、止まるの基本運動3要素を十二分に満足させるため、その骨格となる車体をしっかりと作っておかなければならないからだ。つまり、車体には強度、剛性が必要不可欠ということである。

 車両の軽量化を図るため、車体の基本骨格(現在であればモノコックボディ)やパネル類(フェンダーやドア、ボンネットなど)は軽く仕上げたいが、ボディ材として使用する鉄板の厚みを薄くしてしまうと、今度は肝心の強度、剛性が得られなくなってしまう。

 では、どうすればよいのか? 歴史を振り返ると、使用素材という例でこの答を知ることができる。鉄より軽い素材で車体を構成する手法で、この素材がアルミニウムだった。ちなみに、アルミニウムが発見されたのは19世紀初頭で、製錬技術の進歩により、20世紀に入ると航空機で使われるようになっていた。

 自動車で積極的に利用されるようになるのは、これより半世紀ほど経った第二次世界大戦後のことで、発端となったのは、やはり軽さがスピードに直結するレーシングカーでのことだった。よく知られた例で言えば、1960年のアルファロメオ・ジュリエッタSZが挙げられる。標準モデルは鉄製ボディだったが、アルミボディに換装したモデルがレースに投入され、勝ちまくる強さを見せていた。それもそのはずで、標準の鉄製ボディ車より100kg以上も軽く仕上がっていたのだから。

 クルマ好きの間でアルファロメオのアルミボディ車は有名な話で、ジュリエッタSZ以降もジュリアTZ、ジュリアスプリントGTAなどの存在がよく知られている。GTAは1966年から1969年まで、4年連続でETC(ヨーロッパ・ツーリングカー・チャンピオンシップ)のタイトルを獲得する圧倒的な強さを見せていた。

 普及しないのはやっぱりコストの面が大きい

 さて、車両(車体)の軽量化に対して大きな効果のあるアルミボディだが、量産車のメカニズムとして広く普及しないのには大きな理由がある。

 なんといっても製造コストが高価なこと。そして、成形がむずかしいこと。また、ヘコミやパネル変形の修復作業が難しい(手間がかかる)ことなどが挙げられる。鉄の比重7.8に対しアルミの比重は2.7で重量比に置き換えればアルミは鉄の35%と大きな優位性を持っている。

 もちろん、アルミ板材が鉄板材と同等の強度を得るには肉厚を上げなければならず、製品としての重量比較は比重比較のように極端な関係にはならないが、それでも軽量化に関するアルミ材の優位性は変わらない。

 実際、ある程度車両コストの増大が容認されるスポーツカーや高級車では、アルミボディ(ホンダNSX、ジャガーXJなど)を積極的に採用したモデルもあり、軽量化の視点で目に見える効果が得られている。ただ、軽量化という視点では、鉄板材でも超高張力鋼板、超々高張力鋼板が実用化され、これまでの鉄板材より軽量に仕上げることが可能となっているため、アルミ材が絶対的に優れているという状況ではなくなってきた。

 やはり、自動車に関してアルミ材の使用で大きな問題となるのは、製造、修復も含めてコストの一点に尽きると言ってよいだろう。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

【欧州】トヨタ“2代目”「C-HR」なぜ日本で売らない!? 最新版は“プリウス顔”の超カッコイイ「クーペSUV」に! 初代「大ヒット」でも未導入な理由とは
【欧州】トヨタ“2代目”「C-HR」なぜ日本で売らない!? 最新版は“プリウス顔”の超カッコイイ「クーペSUV」に! 初代「大ヒット」でも未導入な理由とは
くるまのニュース
三菱ケミカルの植物由来プラ、ホンダ『X-ADV』に初採用
三菱ケミカルの植物由来プラ、ホンダ『X-ADV』に初採用
レスポンス
これが新型プレリュードの市販型!?マジカルシフト「Honda S+ Shift」をひっさげて、北米には2025年後半、欧州市場には2026年初頭から投入
これが新型プレリュードの市販型!?マジカルシフト「Honda S+ Shift」をひっさげて、北米には2025年後半、欧州市場には2026年初頭から投入
Webモーターマガジン
日産の軽&コンパクトカー!! [ルークス]と[ノート]買うならどっちだ!?
日産の軽&コンパクトカー!! [ルークス]と[ノート]買うならどっちだ!?
ベストカーWeb
1/22申込締切【Season3】中西孝樹の自動車・モビリティ産業インサイトvol.2「水素社会実現に向けたトヨタの取組み」
1/22申込締切【Season3】中西孝樹の自動車・モビリティ産業インサイトvol.2「水素社会実現に向けたトヨタの取組み」
レスポンス
“ランクル顔”のトヨタ「ルーミー」が完成!? まるで本格四駆な「ランドクルーミー」ESBのカスタム仕様! 東京オートサロン2025で公開へ!
“ランクル顔”のトヨタ「ルーミー」が完成!? まるで本格四駆な「ランドクルーミー」ESBのカスタム仕様! 東京オートサロン2025で公開へ!
くるまのニュース
「ミニバンなんて一生乗るかよ」なライターが一瞬で虜に! 15年落ち16万kmのヴォクシーを買ったらあまりの快適さに感動不可避だった!!
「ミニバンなんて一生乗るかよ」なライターが一瞬で虜に! 15年落ち16万kmのヴォクシーを買ったらあまりの快適さに感動不可避だった!!
WEB CARTOP
ブガッティの新境地! スーパーカーを飾る超ラグジュアリーなガレージ「ブガッティ・エディションFG-01ガレージ」が発売
ブガッティの新境地! スーパーカーを飾る超ラグジュアリーなガレージ「ブガッティ・エディションFG-01ガレージ」が発売
VAGUE
スズキ スイフトスポーツの最終モデルを2025年に発売
スズキ スイフトスポーツの最終モデルを2025年に発売
Auto Prove
「ネオクラシック」バイクの傑作! カワサキ「Z900RS」“フルカスタム”車両登場! 漆黒ブラック×鮮烈イエローボディが”渋い”! ストライカーワークスから発売
「ネオクラシック」バイクの傑作! カワサキ「Z900RS」“フルカスタム”車両登場! 漆黒ブラック×鮮烈イエローボディが”渋い”! ストライカーワークスから発売
くるまのニュース
日本でのMotoGP人気を上げるために「これまでできなかったこと」をやりたい。中上貴晶が考える”開発ライダー”以外の新たな役割
日本でのMotoGP人気を上げるために「これまでできなかったこと」をやりたい。中上貴晶が考える”開発ライダー”以外の新たな役割
motorsport.com 日本版
キャデラックF1は経験あるドライバーとアメリカ人のラインアップを目指す。ファンが期待するリカルドは加入説を否定
キャデラックF1は経験あるドライバーとアメリカ人のラインアップを目指す。ファンが期待するリカルドは加入説を否定
AUTOSPORT web
トヨタ育成のホープ、それぞれのSFテスト。昇格目指し「人生をかけて」臨んだ野中誠太、胃もたれ寸前の“特濃”経験を消化中の小林利徠斗
トヨタ育成のホープ、それぞれのSFテスト。昇格目指し「人生をかけて」臨んだ野中誠太、胃もたれ寸前の“特濃”経験を消化中の小林利徠斗
motorsport.com 日本版
スズキ、「スイフトスポーツ」にファイナルエディション 2025年11月まで期間限定生産
スズキ、「スイフトスポーツ」にファイナルエディション 2025年11月まで期間限定生産
日刊自動車新聞
最新は最良か!? BMWのツーリングウエッポン 新型「R 1300 GSアドベンチャー」をスペインで試す!
最新は最良か!? BMWのツーリングウエッポン 新型「R 1300 GSアドベンチャー」をスペインで試す!
バイクのニュース
「水平対向エンジン搭載」スバルの個性派SUV「レヴォーグ レイバック」が着実進化! 全身“黒コーデ”の精悍な特別仕様車に注目です
「水平対向エンジン搭載」スバルの個性派SUV「レヴォーグ レイバック」が着実進化! 全身“黒コーデ”の精悍な特別仕様車に注目です
VAGUE
「このルックスの良さは反則でしょ!」BMWの新型レトロスポーツ『R 12 S』に、SNSでは絶賛の声
「このルックスの良さは反則でしょ!」BMWの新型レトロスポーツ『R 12 S』に、SNSでは絶賛の声
レスポンス
「ハチロク顔4ドアセダン」がスゴかった! 前から見たら初代86も…横からはセダン!? 学生手掛けた「謎のハチロクカスタム」とはなんだった?
「ハチロク顔4ドアセダン」がスゴかった! 前から見たら初代86も…横からはセダン!? 学生手掛けた「謎のハチロクカスタム」とはなんだった?
くるまのニュース

みんなのコメント

14件
  • k_k********
    EV化でくそ重たいバッテリー積んだ車だらけなので多少の軽量化なんて誤差の範囲ですね。
  • has********
    アルミも錆びる
    鉄よりも脆くなる
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

399.0439.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

10.01180.0万円

中古車を検索
ジュリエッタの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

399.0439.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

10.01180.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村