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日産アリア 詳細データテスト 広く高品質な室内 直観的な動力系 足回りは乗り心地も操縦性も難あり

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日産アリア 詳細データテスト 広く高品質な室内 直観的な動力系 足回りは乗り心地も操縦性も難あり

はじめに

中型ファミリーEVのマーケットは、すでにかなり多様化している。しかし、プレミアムな価格設定をしているクルマが少なくないにもかかわらず、それを正当化できるような、これまでの高級車ほどのバリューを備えるクルマは少ない。

【画像】写真で見る日産アリアとライバル 全17枚

テスラ・モデルYやモデル3は速く、航続距離は長い。アウディQ4系は、エッジの効いたデザインと先進テクノロジーを備える。フォード・マスタング・マッハEは、航続距離とダイナミックなハンドリング、優れたデザインの持ち主だ。どれもがそれなりに異なる個性を発揮している。

快適で洗練され、魅力的なキャビンと広い室内スペースを至上命題としたプレミアムなファミリーEVに先鞭をつけるクルマはないのか。日産が世に放ったクーペSUVのアリアは、そうなる可能性を感じさせる。

日産にとっては、第2の本格乗用EVだ。これより小型のリーフが2011年に登場してから11年という時間は、ゼロエミッション車のラインナップ拡大について熟考するに十分すぎるほどだ。商用兼用のe-NV200は登場したものの、おそらくボツになった車種もあるのだろう。

なぜ、新型EV投入がここまで先延ばしになったのか。その答えはおそらくプラットフォームにある。このアリアは、新開発のCMF-EVを使用する最初のモデルだが、今後は2030年までに、このコンポーネンツを用いて15車種が、日産をはじめルノーと三菱からも投入される予定だ。この3社アライアンスにとって需要度の高いCMF-EV開発が完了するを待った結果、時間がかかったのだろう。

3社連合の未来を占うEVであり、これからの上級ファミリーカー像を予感させるアリアの実力は、はたしていかなるものなのだろうか。

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

この全面新設計のアーキテクチャーを、日産関係者は空飛ぶ魔法のじゅうたんと呼んできた。そしてこのニックネームは、このCMF-EVがどのようなクオリティをEVに与えるかを物語っている。

このプラットフォーム、ライバルの多くが後輪駆動ベースであるのに対し、前輪駆動ベースを選んだ。しかし、日産の狙う運動性が、安心感や安定性、イージードライブに主眼を置いたものであるのならば、この選択は賢明と言えるだろう。

廉価モデルはフロントモーターだが、上位機種はリアにもモーターを積み、最高出力は218~394ps。そのモーターも興味深いものだ。電磁石タイプと呼ばれるそれは、対極の電磁フィールドで駆動される。そのため、重量がかさむ金属磁性体が不要になる。低回転でのトルクはやや低くなるが、巡航速度での効率は高くなるのだと、日産では説明している。

駆動用バッテリーは、キャビンの床下に敷き詰められている。液冷式リチウムイオンバッテリーパックは、低重心化とボディ構造の高剛性化を両立。それを積むためにホイールベースは可能な限り長く取り、ランドローバー・ディスカバリースポーツをも上回る2775mmに達している。

バッテリーは容量違いで2種類用意され、ネット容量は63kWhと87kWh。テスト車は87kWhのほうで、82kWh以上は稀有なライバルたちに対するアドバンテージを誇る。

サスペンションは、フロントがストラット、リアがマルチリンクの四輪独立で、スティールのコイルスプリングと、一般的なパッシブダンパーを備える。日産によれば、欧州仕様はダンパーとステアリングに専用チューンが施されているという。

テスト車の実測重量は2109kgで、昨年テストした同じシングルモーターのアウディQ4 E-トロン40よりわずかに軽い。それでいて、バッテリー容量は10%近く大きく、ピークパワーでも上回っている。

内装 ★★★★★★★★★☆

4万~6万ポンド(約680~1020万円)の電動ファミリーカーはここまで、SUVと、それよりトラディッショナルなボディスタイルとのあいまいな境界線上にあるものが多かった。もっとなめらかで低いフォルムが好みでも、床下に駆動用バッテリーを積むので、結果的にキャビンやルーフ高が引き上げられてしまう。

しかしアリアは、その手のEVとしては背が高く、ハンサムな部類に入る。ドライバーズシートの座面はかなり高さがあり、もっとも低く下げた位置にしても、高い位置に腰掛け膝を曲げてペダルを踏むようなドライビングポジションとなる。

シートは快適で、ひざ周りも肩周りもスペースは余裕たっぷりだが、ルーフラインがカーブしているので、頭上空間は背の高い乗員が満足できるものではない。それでも、インテリアには十分に開放感がある。また、フロアがフラットで、左右席の往来もしやすい。

後席も、ヘッドルームは並外れて広いわけではないが、手足を伸ばせるスペースがある。サイドウインドウの上下幅や、エヴォルヴに装備されるルーフ長いっぱいのパノラミックルーフによる明るい光も心地よく、場所によるが、非常に高級感あるフィニッシュも施されている。

上級グレードには、便利な機能がふたつ備わる。ひとつが電動で前後にスライドするセンターコンソールで、アームレストや操作スイッチ類、小物入れの位置を好みに合わせて調整でき、ドライビングポジションと合わせてメモリーできる。

もうひとつが、ダッシュボードに収納できる引き出し式のテーブル兼小物入れ。これも電動式で、センターコンソールのボタンひとつで操作できる。貴重品を隠すのにも有効だが、それほど容量は大きくない。

マテリアルは、じつに魅力的な場所も見られる。そのひとつが本物のウッドパネルを用いたトリムで、バックライトを消すと目立たなくなるタッチ式の空調コントロールパネルが設置されている。

ブロンズカラーの送風口や、ソフトな毛織物を張ったダッシュボードも見栄えがいい。ただ、このダッシュボードは掃除しにくそうだ、との声もテスター陣からは聞かれたが。

それ以外に、ハイスタンダードでプレミアムなクオリティはほとんど感じられない。フットウェル周辺は組み付けが頼りなく、中敷きのないドアポケットはチープに感じられる。とはいえ、快適性や実用性、そして手触りの高級感では、将来有望だと思わせてくれる。

走り ★★★★★★★★☆☆

アリアの独特なポジショニングは、並外れた結果を期待させるが、加速性能に関する限りそれにはそぐわない。そして、これまでテストした、シングルモーターで大容量バッテリーを積むEVに、それを叶えるものがなかったのも事実ではあるが。

スロットルペダルを思い切り踏み込んでも、発進はきっちりと制御が効いていて、0−97km/h加速は8秒をやや超える。はっきりいって、5万ポンド(約850万円)級の最新ファミリーカーとしては最低ラインで、ライバルの多くにかなり引き離されている。

日産が発表している公称値は、0−100km/hが7.6秒となっているが、それはちょっとばかり楽観的な数字だ。今回のテスト環境がほぼ理想的だったことを考えると、そう言わざるを得ない。

それが電磁石を用いた他励電動機の特性であっても、単純に日産のチューニングによるものであっても、トルクの出方はかなり慎重で、徐々に盛り上がるので、前輪が破綻することはない。これまでにテストした前輪駆動EVの中には、トラクションや安定感、ドライバビリティの確保に苦戦するものもあったが、それとは対照的だ。

アリアは余計な力を使わず、確実に動き出す。ペダル操作へのレスポンスはクリーンでリニアだ。その結果、動きは全体的に直観的で予想しやすい。パワートレインの完成度という点では、それなりの成功を収めていることに気付かされる。

走り出してみると、低速では衝撃的なまでに静粛性も乗り心地も優れ、日産が意図した、市街地における穏やかで快適な移動という狙いどおりに仕上がっている。ただし、路面の平坦さや舗装のスムースさに依存するところもある。その辺りは、快適性/静粛性の項で詳しく説明しよう。

ペダルの反応はとくに過敏ではなく、日産のe−ペダルはスロットルと回生ブレーキを使って、渋滞の中でのワンペダル運転を容易にしてくれる。回生レベルの上下も、速度や状況に応じて巧みに自動調整する。

これを切って、普通に2ペダルで運転すると、ブレーキペダルのフィールはややソフトで不明瞭なところがあるものの、看過できる程度だ。回生レベルを調整できるステアリングパドルがあれば、もっとよかったのだが。

街を出ると、速めの巡航速度を維持する能力は、これまでテストしたEVの中でも高めだ。97−128km/h加速は4.6秒で、アウディQ4 E−トロン40の6.5秒や、キアEV6の5.1秒を凌ぐ。ちなみに、ディーゼル車のBMW320dは5.1秒だった。

日産が電気モーターのチョイスは、明らかに的を射ている部分がある。EVに、高速道路でも一般道でも変わらぬ走りを、という狙いは達成できている。

使い勝手 ★★★★★★★★★☆

インフォテインメント

アリアに標準装備されるインフォテインメントシステムは、12.3インチのディスプレイ2面を一体化して横並びにしている。操縦系の上に画面を並べる、最近流行りのフライトコンソールスタイルだ。ただし、平面ではなく波型になっているのが差別化ポイントだと、日産では説明している。

入力のほとんどは、タッチパネルと音声認識による。とはいえ、音量調整ノブとオーディオ電源ボタン、空調コントロールは個別に用意されている。ステアリングホイールには、オーディオのリモートスイッチも設置されている。

メインメニュー画面は、グラフィックが鮮明でレイアウトもわかりやすい。使い方を理解するのもイージーだ。メーターはシンプルで、とっ散らかっていなくて、読み取りやすい。

純正ナビは入力しやすいが、スマートフォンのワイヤレス接続も標準装備で、ワイヤレス充電も付いてくるので、ミラーリングするユーザーが多いだろう。われわれの経験からすれば、なんの問題もなく操作できる。

燈火類

LEDヘッドライトは全車標準装備だが、アダプティブタイプとダイナミックウインカーはエヴォルヴに装備される。照射範囲はみごとなもので、ロービームのレベル設定も上々だ。

ステアリングとペダル

ブレーキペダル位置は、メインストリームのファミリーカーとしては例がないほど中央寄りだが、新型プラットフォームならその辺の自由は効きそうだ。ステアリングコラムは、調整幅がたっぷりある。

操舵/安定性 ★★★★★★☆☆☆☆

パワートレインのチューニングのような直観性をハンドリングにも求めると、二、三の問題が出てくる。このクルマ、ホイールベースが長くドライビングポジションが高いので、常に車体のサイズを意識させられるものの、スムースな路面を低速で走っていれば、位置決めも取り回しも文句なく楽にできる。

ところが、平坦ではないワインディングロードへ入ると、日産が目指したような安定した落ち着きやゆったりした走りを得るのに苦労する。最悪の場合、平均して路面のいい英国の高速道路においてもそうなるのだ。

このクルマの走りにおける一番の問題は、その基本設計に起因するものだ。競合するEVも少なからずそれには取り組んできたが、いまだ解決に近づいた例はみられない。

床下の駆動バッテリーは低重心化をもたらすがゆえに、日産がダイナミックなハンドリングに主眼を置いたであろうことは疑いの余地がない。しかし、重心がロール軸に近づきすぎたのは、いささか問題がある。横方向のロールが出ると、その動きがシャープになってしまうのだ。それはサスペンションが容易くコントロールできるものではない。

そのいっぽうで、高さのあるキャビンはドライバーのヒップポイントを引き上げる。ほかのクルマよりも、ロール軸から上へと離れてしまうのだ。それゆえ、乗員はボディのあらゆる挙動にさらされる。いうなれば、二階建てバスを二階で運転しているようなものだ。いささか大袈裟なたとえではあるが。

それゆえ、コーナーではシンプルなロールではなく、やや不意に外輪側へ傾くような動きが感じられる。ロールが大きいわけではないが、少しの動きでもすべて体感させられてしまうのだ。

ステアリングは、ロックトゥロックが2.5回転と、まあまあクイックで、ロングホイールベースのシャシーを操っていると思えないことがままある。手応えはかなり軽く、フィーリングはフィルターを通したようだ。一貫していて、ちょっとばかり魅力に欠けるが、慣れるのはたやすい。

運転すると、前後アクスルとは隔絶された感覚を味わうことになる。日常使いしている限り、95%くらいの状況では問題がない。きちんと正確かつ安定して操縦し、グリップが一貫しているうちは。

ところが、少しプッシュしてペースを上げると、大きく、重く、スプリングがソフトな、強い刺激のない前輪駆動車だと感じられるようになってくる。

電子制御システムは、コーナリング中に雑なスロットル操作をしても、出力の制御をまったく行わない。テスラ・モデル3やポールスター2などとは、その点が異なる。弱アンダーステアだがグリップ限界域でも穏やかなので、安定感は維持されるが、よりスポーティ志向のEVに期待するほどには賢いトルクベクタリングを行ってくれない。

快適性/静粛性 ★★★★★★☆☆☆☆

ここまで説明してきたような理由から、アリアで英国の典型的なカントリーロードを走ると、奇妙なほどにヘッドトスやロールとピッチングが感じられる。ハンドリングよりも快適性を重視したクルマに予想する域を、間違いなく超えている。

乗り心地は、路面の隆起などにあまりにもたやすく取り乱される。スプリングとダンパー、スタビライザーは、制限速度付近で単にシャシーを安定させるだけでも、すべきことが山積みといった感じだ。

ほかの点ではすばらしく洗練されている部分もあるだけに、この不足は残念でならない。19インチホイールは、路面の突起やマンホールを乗り越える際に突き上げが出ることもあるが、静粛性はかなりのものだ。

80km/h巡航時の騒音計は61dBAを示したが、これはアウディQ4 E−トロンより2dBA、キアEV6より3dBA静かだ。113km/hあたりで風切り音が気になりだすが、それでも静かなのは、もっとも大きなノイズの発生源であるモーターがひとつだけだということが大きな理由だろう。

日産はフロントシートを、大胆にもゼログラビティシートと銘打った。快適さのレベルをやや誇張しているのは想像に難くない名称だが、サイズは適正で、アジャスト性はなかなかのもの。横方向のサポートは、このクルマの性能を考えれば十分。ただし、太もも裏のサポートは改善の余地ありだ。

購入と維持 ★★★★★★★★☆☆

高速道路での風切り音を経験すると、もっと低いシルエットに仕立てれば、ずっと効率のいいクルーザーになっただろうにと思わずにはいられない。同様に、113km/h巡航で4.5km/kWhを計測した電費も改善できるだろう。ちなみに、アウディQ4やシュコダ・エンヤックiVは4.8km/kWh、フォード・マスタング・マッハEの88kWh仕様は5.1km/kWhだった。

つまり、日産がアピールするほどにはエネルギー効率が高くない。とはいうものの、バッテリー容量が87kWhあるというのは心強い。ただし、63kWh仕様も設定されてはいる。

1週間のテスト期間を通してのアベレージは5.1km/kWhで、航続距離は447kmとなる計算。この数字は、これまでにテストしたライバルのほとんどを上回る。

価格設定はやや高く思えるが、おそらく今のインフレ傾向を考えるとやむを得ないところだろう。インテリアのプレミアム感や高級車的な雰囲気は、日産のみごとな成果だ。プレミアムブランドの競合モデルでも、これに及ばないものがあるとすら思える。

高価格を正当化するには、さらなるサムシングが欲しいところだ。予想される残価率がもっとよければうれしいのだが。

スペック

レイアウト

アリアはルノー・日産・三菱アライアンスが新開発したEV専用プラットフォームのCMF-EVがベース。オールスティールで、可能な限りオーバーハングは短く、キャビンは長く取られている。

モーターはフロント、もしくは前後それぞれに1基を搭載。リチウムイオンバッテリーは、床下に敷き詰められている。前後重量配分は、実測で52:48だ。

パワーユニット

駆動方式:フロント横置き前輪駆動
形式:他励電動機
駆動用バッテリー:液冷式リチウムイオン・91kWh(グロス値)/87kWh(ネット値)
最高出力:242ps/-rpm
最大トルク:30.6kg-m/-rpm
許容回転数:-rpm
馬力荷重比:116ps/t
トルク荷重比:14.7kg-m/t

ボディ/シャシー

全長:4595mm
ホイールベース:2775mm
オーバーハング(前):875mm
オーバーハング(後):945mm

全幅(ミラー含む):2180mm
全幅(両ドア開き):3600mm

全高:1660mm
全高:(テールゲート開き):2180mm

足元長さ(前):最大1080mm
足元長さ(後):最大780mm
座面~天井(前):最大950mm
座面~天井(後):最大930mm

積載容量:466L

構造:スティールモノコック
車両重量:2093kg(公称値)/2109kg(実測値)
抗力係数:0.30
ホイール前・後:9.0Jx19
タイヤ前・後:235/55 R19 101V
ダンロップSPスポーツマックス050
スペアタイヤ:なし(パンク修理キット)

変速機

形式:1速リダクションギア
ギア比
最終減速比:11.1:1
リダクション比:-
1000rpm時車速:12.6km/h

電力消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:5.1km/kWh
ツーリング:4.5km/kWh
動力性能計測時:2.6km/kWh

メーカー公表値:消費率
混合:5.5km/kWh

公称航続距離:518km
テスト時航続距離:447km(平均)/393km(ツーリング)
CO2排出量:0g/km

サスペンション

前:マクファーソンストラット/コイルスプリング、スタビライザー
後:マルチリンク/コイルスプリング、スタビライザー

ステアリング

形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.5回転
最小回転直径:10.8m

ブレーキ

前:350mm通気冷却式ディスク
後:330mmディスク
制御装置:ABS
ハンドブレーキ:自動(ステアリングコラム左側にスイッチ配置)

静粛性

アイドリング:-dBA
全開走行時(145km/h):70dBA
48km/h走行時:57dBA
80km/h走行時:61dBA
113km/h走行時:65dBA

安全装備

ABS/DSC/LKA/AEB/BSM/ドライバーモニタリング
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
交通弱者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%

発進加速

テスト条件:乾燥路面/気温17℃
0-30マイル/時(48km/h)3.8秒
0-40(64):5.1秒
0-50(80):6.5秒
0-60(97):8.2秒
0-70(113):10.2秒
0-80(129):12.8秒
0-90(145):16.0秒
0-100(161):19.8秒
0-402m発進加速:16.4秒(到達速度:147.1km/h)
0-1000m発進加速:29.4秒(到達速度:167.4km/h)

ライバルの発進加速ライバルの発進加速
アウディQ4 E-トロン 40スポーツ(2021年)
テスト条件:雨天/気温12℃
0-30マイル/時(48km/h)3.1秒
0-40(64):4.4秒
0-50(80):6.0秒
0-60(97):8.1秒
0-70(113):10.9秒
0-80(129):14.6秒
0-90(145):19.7秒
0-100(161):34.2秒
0-402m発進加速:16.5秒(到達速度:135.5km/h)
0-1000m発進加速:30.7秒(到達速度:160.5km/h)

キックダウン加速

20-40mph(32-64km/h):2.5秒

30-50(48-80):2.6秒

40-60(64-97):3.1秒

50-70(80-113):3.7秒

60-80(97-129):4.6秒

70-90(113-145):5.8秒

80-100(129-161):7.0秒

制動距離

テスト条件:乾燥路面/気温17℃
30-0マイル/時(48km/h):9.4m
50-0マイル/時(64km/h):25.3m
70-0マイル/時(80km/h):49.3m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:3.19秒

ライバルの制動距離アウディQ4 E-トロン 40スポーツ(2021年)
テスト条件:雨天/気温12℃
30-0マイル/時(48km/h):10.1m
50-0マイル/時(64km/h):27.4m
70-0マイル/時(80km/h):55.5m

結論 ★★★★★★★☆☆☆

拡大を続けるファミリー向けEV市場には、アメリカ車や欧州車、韓国車といった選択肢がすでに存在しているものの、ここに新たな日本車を加えて、ようやく候補の出揃った感がある。

日産アリアは、そうした新しさのあるものになろうとかなりがんばったことを感じさせるクルマだ。大胆でこれまでなかったようなルックス、うまいパッケージングと室内の広さ、じつに魅力的で驚くほどの高級感、そしてなんといっても、衝撃的に洗練され直観的な走りを備えている。

よくできた室内装備や、大容量バッテリーによる長い航続距離も、このクルマの魅力向上に寄与する。それだけに、シャシー設計とサスペンションチューニングの出来が満足しかねるものだったのは残念でならない。少なくとも、英国の公道では不満なケースが多かった。

郊外に出ると、緊密なボディコントロールがしばしば乗員を苛む。ドライビングが楽しめるわけではないことは、このクルマの目指すところを考えると大目に見ていいと思える。けれども、もっと価格の低い競合モデルより乗り心地が劣るというのは問題だ。ましてやアリアは、リラックスできて上質な、革新的ファミリーカーを標榜しているのだから、きわめて大きな手落ちだと言わざるを得ない。

担当テスターのアドバイス

リチャード・レーンキャビンは、アンビエントライトがいい感じだが、前席フットウェルのパネルは足が当たると震える。基本的なクオリティレベルをおろそかにして、表面的なリッチさを追求するというのはいかがなものか。

マット・ソーンダースバックするとき、1970年代の冷戦時代を描いた映画に出てくる原子力潜水艦の操縦室みたいな音がする。聞けば聞くほど、それが気に入ってしまった。

オプション追加のアドバイス

87kWhアドヴァンス仕様を選び、1750ポンド(約29.8万円)のボーズ・テクノロジーパックを追加したい。電動センターコンソールは装備されないが、それ以上の価値が得られる。20インチホイールとレザーシートが付くスポーツパックは、検討の必要なし。

改善してほしいポイント

・欧州仕様というサスペンションチューニングは再検討の余地あり。ソワソワした動きを消すために、もっとソフトなセッティングにしてもいいのではないか。
・フロントシートのクッションを、長さ調整式にしてほしい。
・もっとダイナミックなハンドリングを、という声には応えなくてもいい。コンフォートという言葉は、それがうまくいけばネガティブワードではないのだから。

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