この記事をまとめると
■大型トラックは運転するのに技量が求められる
「載るんだからいい」「バレなきゃOK」は通用しない! トラックの「過積載」がもつ重大リスクと悲惨な事故とは
■トラックにはさまざまな制限が設けられている
■公道で走ることのできるトラックの総重量について解説
公道を走る車両の大きさや重さには制限がある
日本の物流を支える大型トラック。あれだけの大きさを持つ車両を、自由自在に操るトラックドライバーの技術は目を見張るものがあるといえよう。ところが、我が国の道路事情はそんな彼らに必ずしも優しいとはいえない。狭い道路・小さな橋・低い高架など、大型車両の通行が難しそうな場所が少なくないのだ。
このような実状を踏まえて、道路を走る車両にはさまざまな制限が設けられている。その根拠となる主要な法律が、警察庁の管轄する「道路交通法」と国土交通省が所管する「道路運送車両法」だ。前者は道路を安心・安全に使用するためのものであり、後者は道路を走る車両の安全を維持することに重きを置いている。
これらに対して、「道路網を整備・維持する」という観点からつくられた法律が、国土交通省所管の「道路法」だ。これに基づく省令(車両制限令)で、車両の大きさや重さが制限されている。その理由は、「道路の構造を保全し、交通の危険を防止するため」だ。これが基準となって、トンネルや橋梁の高さ・道路の幅員や車線の間隔・道路の構造などが決まってくるのである。
車両制限令の制限を超えた場合は特殊車両に
この「車両制限令」では車高:3.8m全幅:2.5m全長:12m車両の総重量(車両総重量ではなく、走行時点の実質的な積み荷などを含んだ車両全体の重さ):20トンなどといった制限が設けられ、これを超える車両は許可なく道路を通行できない。ただ、車高は「高さ指定道路」であれば車高は4.1mに緩和される。同様に車両重量も、「重さ指定道路」であれば車両の総重量が25トンまでOKになるのだ。また、高速道路ではフルトレーラーなどの車両が、特例的に全長は最長18m、車両の総重量は36トンまで認められている。すなわち、いくつかの条件はクリアしなければならないものの、許可が不要な状態で自由に道路を走れるもっとも重い車両の総重量は、36トンということになるわけだ。
では、36トンを超えた車両がすべて日本国内の道路(公道)を通行することはできないのかというと必ずしもそうではない。工事用重量資材運搬・重機などの重量物運搬・鉄道車両の運搬など、その需要は決して少なくないのである。これらがすべて公道を通行できないとしたら、その影響は計り知れないといえる。
「車両制限令」の制限を超えた車両は、特殊車両の扱いを受ける。これを運行するときには、事前に通行を予定している道路の道路管理者に許可を申請しなければならない。道路管理者とは、道路法で認定された道路を維持管理する責任者のこと。道路は、高速自動車国道・一般国道・都道府県道・市町村道に分かれている。それぞれ、国・都道府県・市町村によって管理されており、道路管理者は原則的に各首長である。
許可を受けた車両は、許可条件に従って指定のルートを走行する。たとえば、当該車両に先行して緑色回転灯を備えた誘導車を配するなど、けっこう大がかりな移動になることも少なくない。変わったところでは、自衛隊の戦車なども多くはトレーラーに乗せて移動をしているが、一部の地域では日常的に公道走行するところもある。こういった特殊な例もあるが、道路を安全・安心に維持・管理するため、自由に通行できる車両の総重量は最大36トンに制限されているのである。
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