テスラが先陣を切ったクルマのオンライン販売、いまどうなっているの?
今やネットショッピングは当たり前の時代ですが、大きな動きとして注目されているのが“クルマのオンライン販売”でしょう。アメリカや中国では加速度的に広がりつつあるクルマのネット販売、日本ではどのような動きになっているのでしょうか?
先に知っておきたい!納車にかかる日数、納期を遅らせないために必要な書類は?
若者世代はオンライン販売との親和性が高い
かつて、アメリカは広大な大地に人が散在していたため、買い物そのものが難しい状況にありました。そこに目をつけた鉄道員のシアーズ氏はカタログ販売に着手、シアーズのカタログに載っていないものはないと言われるほどのカタログを作り上げ、通信販売を確立します。シアーズでは一時期クルマのカタログ販売も行っていたこともあります。現代のアメリカや中国でネット販売が加速度的に広まりつつあるのは、歴史の必然なのです。
その先陣を切ったのはテスラでしょう。新興メーカーであるテスラはディーラー整備が難しいこともあり、ネット販売に力を入れてきました。日本では、テスラに続いてボルボが新しく投入するSUVタイプのEV「C40 リチャージ」を、オンラインのみで販売するとアナウンスしています。EVはオンライン販売に抵抗のない若い世代を中心に広がっていくため、より親和性が高いというわけです。
テスラを購入する時の手続きの流れとは?
テスラをネット販売で購入する場合、日本でも公式サイトで車種やオプションを選べばその場で注文できてしまいます。この場合、「注文金」として1万5000円を支払う必要があり、注文金はキャンセルをした場合も返金されません。ただし、正式に発売が開始される前のクルマ、たとえばサイバートラックなどは「注文金」ではなく「予約金」(同額の1万5000円)扱いとなり、予約状態中にキャンセルした場合は返金されます。
注文が済むとテスラから書類が送られてくるので、印鑑証明や車庫証明などの購入者側で用意する書類と合わせて返送し、納車を待ちます。支払いはクレジットカード、もしくは銀行振り込みで行います。
実車の納車はテスラストアやサービスセンターで行うことが推奨されていますが、自宅などに運送してもらうことも可能です。つまり、印鑑証明や車庫証明の取得以外はまったく自分が動かずに納車まで可能なのです。印鑑証明や車庫証明も代理人に依頼することができるので、望めば一切対面することなくクルマを買うことも可能でしょう。
国産新車のネット販売はなく中古車や登録済み未使用車が中心
現在、国産の新車をオンラインで購入することはできません。とはいえ、ネット上で車種を選び、オプションを装着し、見積もりを作ることはどのメーカーでも可能です。担当ディーラーに連絡すれば、セールスマンを自宅に呼ぶこともできるので、ディーラーに出向かなくてもクルマを購入することは可能です。
しかし、日本人はクルマを購入する際の儀式である「値引き交渉」を行うのに、セールスマンを家に呼ぶのはちょっと気が引けるかもしれません。自分がイニシアティブを持って、数台を競合させて値引きを引き出す場合などはディーラーを訪れるほうが有利でしょう。
一方、日本で動きが活発になってきているのが、値引きを伴わない「サブスクリプション」と「中古車」です。サブスクリプションはトヨタの「KINTO」や日産の「クリックモビ」、ホンダの「マンスリーオーナー」などで、国産自動車メーカーはもちろん、輸入各社も展開を始めています。
サブスクリプションの場合、クルマを買うのではなく、使う権利を買うため、車検証の所有者は運営会社で、ユーザーは使用者という形になります。月々の使用額はあらかじめ決められているので、値引きの対象にはまずなりません。一般的にサブスクリプションの場合は、税金や保険料、定期的な点検整備料金などは所有者である運営会社が負担、燃料代はユーザーが負担します。
中古車のネット販売は大きく分けて2つのパターンがあります。ひとつは契約までをネット上で済ませてしまい、販売店などにクルマを引き取りに行くもの。もうひとつはネットでクルマを物色して、気に入ったクルマを店舗に見に行って契約するものです。
中古車は基本的に早いもの勝ちで売れていきます。ネットで気に入ったクルマを取り置いてもらえるかどうかは中古車店によって対応が異なるほか、通常は取り置くための手付金も必要で、キャンセルした場合に手付金が返ってこない場合も少なくありません。
とはいえ、中古車の実車を確認せずにネットで契約までするのは相応の経験やスキルが必要です。ただし、登録済み未使用車といって、ナンバーは取得したものの、走らせていない(走行距離がほぼゼロの)クルマというのも世の中には存在します。クルマは登録した瞬間から書類上は中古車となりますが、登録済み未使用車の状態は新車とほぼ変わらないので、ネット販売に向いているカテゴリーといえます。
著者:諸星陽一
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