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激動の2020年度自動車販売! 車名別ではヤリスがN-BOXを逆転してトップに立つ!

掲載 更新 7
激動の2020年度自動車販売! 車名別ではヤリスがN-BOXを逆転してトップに立つ!

 新型コロナウイルス感染拡大に世の中が振り回され続けた2020年。

 そんな波乱の年度だったが、2020事業年度締めでの年間新車販売台数が自販連と全軽自協から発表された。

気合は十分だったのに… なぜホンダ「フィット」はライバルの後塵を拝すことになったのか?

 そのデータをもとに昨年度の自動車販売の動向を振り返っていく。

文/小林敦志、写真/ベストカー編集部、TOYOTA

【画像ギャラリー】新型コロナに翻弄された2020年度の自動車販売を写真で振り返る

■在宅勤務に外出自粛!! 逆風から始まった昨年度

2019事業年度締めまで3年続けて年間販売台数トップの座に君臨するホンダ N-BOX。はたして2020年度の結果は!?

 2020事業年度(2020年4月~2021年3月)は、新型コロナウイルス感染拡大に世の中が振り回され続けたといっていいだろう。そのようななかでの2020事業年度締めでの年間新車販売台数が自販連(日本自動車販売協会連合会)と全軽自協(全国軽自動車協会連合会)から発表された。

 それによると、登録車と軽自動車を合わせた年間販売総台数は465万6537台(前年比92.4%)となった。全国的に緊急事態宣言が発出され、外出自粛が要請された2020年4月と5月は極端に新車販売台数が落ち込んだ。

 そして、通年でバスが前年比50%近辺となっていたりして、フリート販売に勢いがなかったなかで、前年比92.4%という結果となったのは、コロナ禍でも小売りレベルでの新車販売が2020年6月以降急速に回復たのが大きい。

 しかも同年9月以降は、目標販売台数の上方修正を繰り返すディーラーが出てくるほど、好調な状況が続いたことが貢献している。

■軽自動車二大巨頭の躍進

スズキ スペーシア。軽自動車のスズキを躍進させた原動力だ

 その2020事業年度における年間販売台数について、まずはブランド別での販売状況を見ていくことにしよう。いずれも登録車と軽自動車を合算した数値となるが、1位はトヨタで152万3368台となっている。以下5位までは、スズキ、ホンダ、ダイハツ、日産と続いている。

 トヨタ全体における軽自動車販売比率が約2.1%なのに対し、スズキが約83%、ホンダ約54%、ダイハツ約92%、日産約45%となっており、トヨタ以外の量販ブランドは軽自動車販売比率がかなり高くなっている。つまり販売台数においては“軽自動車頼み”となっているのである。

 筆者が暦年締めや事業年度締め、そしてそれぞれの上半期締め、下半期締めなどで注目している、ブランド別軽自動車年間販売台数をみると、ダイハツがスズキにわずか1万13台の差で軽貨物車も含む総合ランキングでトップとなっている。

 あえて“総合ランキング”としたことには理由があり、軽貨物車では余裕の差をつけてダイハツがトップとなっているのだが、軽乗用車ではダイハツが40万4446台に対して、スズキが41万9996台、つまりスズキが1万5550台の差をつけてトップとなっているのである。

■年始のスタートダッシュがスズキの勝因か

相変わらず根強い人気のスズキ ハスラー。年始はかなりの頻度でスズキの初売りCMを見かけた

 通称名(車名別)でみると、軽自動車のみでの販売ランキングは1位ホンダ N-BOX、2位スズキ スペーシア、3位ダイハツ タントとなっているのだが、2019事業年度締めでは2位がタントで3位がスペーシアとなっていたので、スペーシアがタントをランキングで抜いたことになる。

 2020事業年度におけるスペーシアの平均月販台数は月販目標1万2000台に対して約1万2100台、タントは月販目標1万2500台に対し、月販平均台数は約1万684台となり、月販目標台数を下まわる結果となった。

 販売基幹車種の1台となるタントの販売苦戦に加えて、スズキ ハスラーが年間販売台数8万5426台なのに対して、 “ハスラーキラー”などと呼ばれ2020年にデビューした、ダイハツ タフトが6万918台と2万台強の差がついている。

 タフトが年度途中でデビューしているので、平均月販台数でみると、両車とも目標月販台数比で1000台ほど上乗せとなっているが、タフトがハスラーの勢いを止められなかったことなどもあり、軽乗用車販売でスズキがトップになったといっていいだろう。

 また、スズキは高齢者に向けた“サポカー補助金”を、人気女性アイドルグループを使ったテレビCMでアピールし、販売現場でも積極的にその存在をアピールしていたとも聞いている。

 また細かい話になるが、2021年1月の初売りセールでは、スズキが一部を除くことにはなったが、ほぼ全国的に正月3日から例年のようにスタートさせていたが、ダイハツは今年に限った話ともいわれているが、いままで3日だったのが4日スタートとなった。

 あくまで個人的な感想とはなるものの、販売現場の熱量はスズキのほうが高かったことも、軽乗用車でダイハツがトップを獲れなかった原因といっていいかもしれない。

■N-BOXが首位陥落!! SUVを派生車として販売したヤリスの作戦勝ち

N-BOXの王座防衛を阻んだのはトヨタ ヤリスだ。派生車にヤリスクロスという人気のSUVを設定したのも大きかった

 続いては、軽自動車も含めた通称名(車名)別販売ランキングに話を移そう。

 事業年度に限らず、暦年締めやそれぞれの上半期、下半期などでのランキングではここのところN-BOX常勝が続いていた。

 ただ今期は2020年末にマイナーチェンジを実施しているので、2020事業年度中の多くが末期モデルであったりしたことも影響したのか、N-BOXがいまひとつ勢いに乗れていない様子だった。

 そのなかで、2020年9月以降は単月締めでトヨタ ヤリス(ヤリス クロスを含む)が、各単月の総合ランキングでN-BOXを押さえてトップを続けていたので、「まさか」とは思っていたのだが、予想通りヤリスがN-BOXを押さえ、「2020事業年度に最も売れた新車」となった。

 その差はわずか4752台(月販平均差では396台)という、まさにデッドヒートの結果ヤリスがトップとなった。N-BOXは2019事業年度締めまで3年続いた、事業年度締めでの登録車も含む年間販総台数トップの座を登録車であるヤリスに奪われたたことになる。

 この結果に大きく貢献したのはヤリス クロスといえるだろう。フルカウントで合算された2020年9月以降は前述したとおり、N-BOXを押さえ軽自動車も含んで、ヤリスの販売ナンバー1が単月締めで続いている。

 ヤリスの月販目標台数は7800台、ヤリスクロス4100台となっている。ヤリスクロスがフルカウントで合算されるようになった、2020年9月から2021年3月までの、ヤリスとヤリスクロスを合わせた累計販売台数は14万5318となり、月販平均販売台数は月販目標を合算した1万1900台に対し、約2万759台となっている。

 勢いのある時のN-BOX、いやそれ以上のレベルで売りまくっていたのである。

 2020年2月にヤリスが正式発売となっており、ヤリスだけでも「そこまで売っているという感覚がない」とか、「多くはレンタカーになっているのではないか」などといった話を販売現場で聞くほどヤリスだけの販売台数でも多かった(確かに街なかでレンタカーを多く見かける)。

 それでもヤリスだけではN-BOXにはかなわない状況となっていただけに、ヤリス クロスが現状で契約しても、納車は今年の秋以降となるほど大ヒットし、その販売台数が上乗せとなったことは、ヤリスが統計上販売ナンバー1になった大きな原動力となったのである。

■500万円オーバー車を年間10万台売るトヨタの底力

もはや他社の手に負えないというレベルまで売れまくったトヨタ アルファード

 登録車のみでの、車名(通称名)別ランキングをみると、上位10車中トヨタ車が7台ランクインしている。

 しかも、4位に10万6579台を販売したアルファードが入っている。

 支払総額ベースで500万円から600万円が当たり前ともいわれるアルファードを年間で10万台以上、月販平均で約8880台を販売した実績は、トヨタ系以外のメーカー系ディーラーの販売現場では、「アンビリバボー」な出来事とされ、「トヨタさんしかできない」と半ば白旗状態ともいえる話も聞いている。

 2020年6月に正式発売し、いまだに納期遅延の続いているはハリアーも7位に入っている。高収益車種とされるモデルが2台も販売ランキングトップ10以内にランクインさせているのはまさに驚きである。

 コロナ禍で経済格差が広がるなか、そして外出自粛などでお金の使い道が限られるなか、新車購入が注目され、平時とは異なる非常時の消費者心理(あまり目立たず贅沢したいなど)をトヨタがうまく囲い込んだ結果といってもいいだろう。

 ちなみに軽自動車を含んだ総合ランキングでも、上位10車のなかで、登録車が5車ランクインしているが、すべてトヨタ車であった。

 登録車であるヤリス(ヤリスクロス含む)が、軽自動車であり3年連続で総合ランキングトップだったN-BOXをトップの座から引きずりおろしたこと。

 そしてブランド別軽自動車販売台数では軽乗用車、軽貨物を合わせた総合ランキングではダイハツがトップとなったが、軽乗用車ではスズキがトップであったこと。

 そして、登録車だけでも、総合ランキングでも、「2020事業年度におけるトヨタ一強」状態をまざまざと見せつけるものとなったことが、2020事業年度締め年間販売台数ランキングでの大きなトピックといえるだろう。

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みんなのコメント

7件
  • 普通自動車と軽では利益が違い過ぎるだろう。
    どちらも薄利多売だが市場が全世界と日本限定。
    ヒット商品が軽頼みのメーカーは厳しいな。
  • やはり、トヨタ全店全機種販売が功を奏したんでしょうね。
    それにヤリス自体の完成度が先代にあたるヴィッツと比べ物にならないほど向上したのが大きい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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