■超コンパクトな「国産3列シート」ミニバン!
軽自動車の車体サイズは、「全長3400mm以下×全幅1480mm以下×全高2000mm以下」と定められているため、広い室内空間を確保しようとしても物理的な限界がありそうなもの。
しかし、室内スペースを作りにくい軽自動車をベースにしながら、まさかの「7人乗り」を実現させたクルマがありました。
【画像】カッコいい! これが「シエンタ」より小さい「3列ミニバン」です(16枚)
そのモデルこそ、ダイハツが2000年に発売した5ドアミニバンの「アトレー7」です。
同車はダイハツの軽ワゴン「アトレーワゴン」(4代目)をベースとしますが、リアオーバーハングを230mm延長させることによってアトレーワゴンよりも広い後列空間を確保。
この新たに確保した空間に3列目シートを設置することにより、軽自動車ベースのクルマでありながら、「3列シート7人乗り」を実現しました。
先述のリアオーバーハング延長や各種パーツの追加により、アトレー7のボディサイズは、全長が3395mmから3765mmへ、全幅は1475mmから1515mmと拡大。
ホイールベースもベースのアトレーワゴンより10mm延びています。
また、エンジンは普通乗用車化により、1.3リッターの直列4気筒エンジンへと変更。
最高出力は90馬力と、決してパワフルではありませんが、車重が1100kgと軽量なため、キビキビと走らせるのに十分なパワーを持っていました。
このように、軽ベースのコンパクトさで「3列シート7人乗り」という、斬新な個性を実現したアトレー7ですが、市場の評価は芳しくありませんでした。
最大の特徴だった3列目シートは、やはり軽ベースということもあり、お世辞にもくつろげるほどのスペースではなく、大人が長時間乗るには狭すぎました。
そのため3列目は使わずに、荷物を載せるなど収納スペースとして使われるケースが多く、「それなら3列目シートのアトレー7でなくてもよいのでは?」という扱いになってしまったのです。
広い空間と小気味よい走りは評価されたものの、ベースとなったアトレーワゴン自体がもともと高い完成度と人気を誇っていたこともあり、アトレー7の需要はさらに低下。
また、2列シートと広い荷室を売りとするコンパクトカー市場にホンダ「フィット」などの強力なライバルが登場したこともあり、アトレー7はわずか4年で姿を消してしまいました。
※ ※ ※
斬新な開発手法で誕生したものの、短い期間で姿を消してしまったアトレー7。
そのため現存数も少なく、意外な「レア車」となっています。
しかし中古市場では値段も手ごろで、車中泊などアウトドアシーンでも活躍するクルマです。
クルマに求める用途にピッタリという人は、愛車の候補に入れてみてはいかがでしょうか。
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