わずか20年で絶滅危惧車に
まだ21世紀が始まってから20年すら経過していないが、すでに絶滅が危ぶまれている車種がある。もともとの販売台数が少なかったクルマもあれば、売れゆきは良かったがその大部分が廃車になってしまったクルマもある。
ルノー・ヴェルサティス、スズキ・キザシ、MGローバー・シティローバーを最後に目撃したのはいつだろうか。今回紹介する中にはいまでも販売中もクルマもあるが、その売れ行きの遅さゆえレアであることに変わりはない。たとえば、三菱i-MiEVの兄弟車であるプジョー・イオンは9年間でわずか431台しか売れていない。
販売戦略が失敗に終わったクルマたちも含まれる。キャデラックは3度にわたって欧州市場に挑戦を重ねたが、右ハンドル仕様の開発に失敗したモデルもある。インフィニティもそうだ。SUVやサルーンに相当の自信を持っていたようだが、その目論見は大外れとなった。
そして残りは、大規模アライアンスによってミドルクラスに送り込まれたものの振るわなかったクルマたちだ。
なお、紹介する販売台数や現存台数などはすべて英国内の数字である。また、DVLAのデータを参照してはいるが、必ずしも正確ではないことをご了承いただきたい。実際の販売台数よりも現存台数が多くカウントされていることがある。
No.1~No.4
No.1 アストン マーティン・シグネット
発売:2011年
販売台数:154台
現存台数(登録中):143台
現存台数(抹消済):13台
この奇妙なスーパーラグジュアリー・シティカーはウルリッヒ・ベッツ博士と豊田章男の会話の中で発案されたクルマだ。アストン マーティンの中でもレアな1台だが。驚くべきことに、シグネットは初期のV8ヴァンテージよりも価値があるのだ。
No.2 キャデラックBLS
発売:2006年
販売台数:597台
現存台数(登録中):360台
現存台数(抹消済):59台
キャデラックの欧州戦略車の1台だが、サーブ903と瓜ふたつだ。エステート仕様まで用意されていた。あまり知られてないことだが、キャデラック車として米国で発売されなかった唯一のモデルであり、また欧州で生産されイタリア製ディーゼルを搭載する唯一のモデルでもある。
No.3 キャデラックCTS
発売:2005年
販売台数:299台
現存台数(登録中):161台
現存台数(抹消済):43台
アメリカ基準でのスモールサルーンは、ここ英国ではわずかしか売れなかった。
No.4 キャデラックSRX
発売:2006年
販売台数:55台
現存台数(登録中):40台
現存台数(抹消済):5台
米国製の大型ラグジュアリーSUV。販売台数は極少。
No.5~No.8
No.5 キャデラックSTS
発売:2008年
販売台数:31台
現存台数(登録中):24台
現存台数(抹消済):2台
CTSより若干大型のサルーンだが、販売台数はそれよりさらに少ない。
No.6 キャデラックXLR
発売:2007年
販売台数:3台
現存台数:3台
アメリカ製コンバーチブル。ごくわずかとしか言いようのない販売実績だ。
No.7 クライスラー・デルタ
発売:2011年
販売台数:892台
現存台数(登録中):846台
現存台数(抹消済):11台
ランチア・デルタの英国専用OEM車だ。
No.8 シトロエンCゼロ
発売:2011年
販売台数:237台
現存台数(登録中):229台
現存台数(抹消済):5台
シトロエンのEV戦略の先駆けとなった1台。プジョーや三菱に従兄弟を持つ。
No.9~No.12
No.9 シトロエンC6
発売:2005年
販売台数:781台
現存台数(登録中):566台
現存台数(抹消済):110台
先代のXMより印象的なクルマだが、C6の売り上げはさらに低いものだった。大衆車メーカー製の大型サルーン市場は縮小の一途をたどっていた。C6の損耗率は非常に低く、すでにコレクターズカーになりつつある。
No.10 ダッジ・アヴェンジャー
発売:2009年
販売台数:1085台
現存台数(登録中):739台
現存台数(抹消済):11台
米国でのレンタカーの定番でもあるこのクルマは、フォルクスワーゲン製の騒々しいディーゼルエンジンを搭載されている。ダイムラー・クライスラーによる英国でのダッジ復活の努力により、驚くほどの台数のアヴェンジャーが生き残っている。
No.11 インフィニティEX30/37
発売:2009年
販売台数:174台
現存台数(登録中):164台
現存台数(抹消済):3台
インフィニティの命名システムは複雑で、名前からどのクルマかを識別するのは困難だ。このクルマはそれほど魅力的でないとは思わない。しかし、それだけでは不十分だったようだ。このモデルはインフィニティにとって不吉の前触れとなってしまった。
No.12 シボレー・ボルト
発売:2012年
販売台数:130台
現存台数:118台
このクルマはエコカー革命の先駆けとして投入された、トヨタ・プリウスの跡を追うモデルだ。プラグイン仕様は成功したが、英国への導入はなかった。価格が高すぎると評価され、姉妹車であるヴォグゾール・アンペラも1288台のみしか売れなかった。
No.13~No.16
No.13 フィアット・クローマ
発売:2005年
販売台数:1020台(推定)
現存台数(登録中):609台
現存台数(抹消済):167台
さらに不人気だった初代クローマを含んでの数字だ。
No.14 ヒュンダイ・グランドール
発売:2005年
販売台数:39台
現存台数(登録中):31台
現存台数(抹消済):1台
このクルマの名前の由来でもある「雄大」さは、なかなか手に入らないものだ。そしてその名がついたこのクルマもレアになってしまった。
No.15 ヒュンダイXG
発売:2000年
販売台数:698台
現存台数(登録中):80台
現存台数(抹消済):52台
韓国製中型ビジネスサルーンはソウルでしか売れなかったようだ。
No.16 インフィニティFX
発売:2010年
販売台数:797台
現存台数(登録中):713台
現存台数(抹消済):23台
EX30/37よりも大きく、より洗練されたSUVだが、まだ不十分だったようだ。
No.17~No.20
No.17 インフィニティG37
発売:2009年
販売台数:207台
現存台数:195台
3シリーズと同等サイズのクーペは新車時よりも中古となった今魅力が増している。
No.18 インフィニティM30D/35H
発売:2010年/2011年
販売台数:74台/240台
現存台数(登録中):70台/225台
現存台数(抹消済):1台/6台
インフィニティのMシリーズで売れなかった2車種。
No.19 インフィニティM37
発売:2010年
販売台数:13台
現存台数(登録中):12台
現存台数(抹消済):1台
ガソリン仕様のM37はインフィニティのラインナップ中最も販売不振となった。
No.20 インフィニティQ60
発売:2014年
販売台数:170台
現存台数(登録中):158台
現存台数(抹消済):12台
3シリーズの対抗として投入されたもうひとつのクルマ。先代以上に売れなかった。
No.21~No.24
No.21 インフィニティQ70
発売:2013年
販売台数:382台
現存台数(登録中):378台
現存台数(抹消済):4台
大柄でカッコよく、装備も充実している。しかし販売は振るわなかった。
No.22 レクサスIS-F
発売:2008年
販売台数:232台
現存台数(登録中):206台
現存台数(抹消済):10台
BMW M3に対抗する日本車だ。しかし232人の心にしか響かなかったようだ。
No.23 ロータス・エヴォーラ
発売:2009年
販売台数:792台
現存台数(登録中):708台
現存台数(抹消済):84台
多くの長所を持っているが、800台を売り上げるのに10年を要している。ポルシェというライバルの存在や、その高価格が原因だ。
No.24 プジョー・イオン
発売:2011年
販売台数:431台
現存台数(登録中):428台
現存台数(抹消済):3台
三菱製EVトリオの中で最も売れなかったクルマ。今も販売が続けられている。
No.25~No.28
No.25 マイバッハ57/62
発売:2003年
販売台数:81台
現存台数(登録中):64台
現存台数(抹消済):22台
BMWが大胆にもロールス・ロイスを買収したのに対抗しようとしたダイムラーの誤った判断により生み出されたクルマだ。マイバッハの知名度が低かったのはもちろんだが、ローバー75をストレッチしただけのようなスタイリングが原因だ。
No.26 MG6
発売:2012年
販売台数:1254台
現存台数(登録中):1213台
現存台数(抹消済):14台
中国に買収されたMGの最初のモデルだ。ほどほどにスタイリッシュな6はチャチなキャビン構造、奇妙なキー、標準以下のエンジンが特徴だ。MGが現存していることを知っている人は少なく、ディーラーを見つけることすら困難だった。
No.27 MG XパワーSV8
発売:2004年
販売台数:36台
現存台数(登録中):23台
現存台数(抹消済):18台
MGローバー史上最も迷走したモデル。デトマソをベースとしたSV8は醜く、未完成で、とても販売できるシロモノではなかった。ただし速さは折り紙つきであり、カーボンファイバー製パネルの出来もよかった。
No.28 三菱i-MiEV
発売:2009年
販売台数:277台
現存台数(登録中):244台
現存台数(抹消済):9台
このクルマはシトロエンCゼロやプジョーイオンのベースとなった。10年前のEV市場は極小だったとはいえ、このトリオのいずれもほとんど売れなかった。
No.29~No.32
No.29 ミア・エレクトリック
発売:2013年
販売台数:18台
現存台数(登録中):13台
現存台数(抹消済):2台
この小型車とバスとバンを組み合わせたような奇妙なフランス車は、中央に運転席を持ち、電動で、スライドドアを持つ。
No.30 ミニ・ミニバン
発売:2012年
販売台数:1020台
現存台数(登録中):957台
現存台数(抹消済):28台
1960年代のミニバンを思い起こさせるクルマ。その実用性のなさまで再現されている。BMWグループが発売した唯一のバンであり、ニッチの中のニッチを狙った一台だ。
No.31 ルノー・アヴァンタイム
発売:2002年
販売台数:393台
現存台数(登録中):この196台
現存台数(抹消済):122台
この高級MPVクーペは珍妙なクルマだ。しかし、実際にファンは存在し、彼らのクラブまで発足している。以前エスパスの製造に使われていたマトラの工場のスペースを埋めるために開発されたともいわれている。新しいセグメントを作り上げるどころか、その当初の目的すら達成することができなかった。
No.32 ルノー・フルーエンス
発売:2012年
販売台数:79台
現存台数(登録中):57台
現存台数(抹消済):6台
メガーヌのEVサルーン仕様であり、ゾエの兄貴分でもあるクルマだ。低速域での猛々しい加速と、同様に猛々しいバッテリー消費が印象的だ。高価格も失敗の原因のひとつと考えられるが、昨今のEVブームに乗ってさらなる値上げがなされた。
No.33~No.36
No.33 ルノー・ヴェルサティス
発売:2001年
販売台数:1284台
現存台数(登録中):237台
現存台数(抹消済):197台
ルノーが最後に高価格なプレミアムブランドへの対抗を志したクルマ。ヴェルサティスは確かに他とは一線を画す出来栄えであったが、奇妙なフランス車に埋もれてしまったようだ。
No.34 ローバー・シティローバー
発売:2003年
販売台数:8666台
現存台数(登録中):943台
現存台数(抹消済):586台
MGローバーが必死になってタタ・インディカの販売権を入手し、それに若干の化粧直しを施したクルマ。ただし価格が高すぎたようだ。自動車史における1ページとして興味深いモデルだ。
No.35 スマート・クロスブレード
発売:2003年
販売台数:27台
現存台数(登録中):19台
現存台数(抹消済):16台
ルーフレスかつウインドスクリーンを持たない馬鹿げたシティカーだ。直射日光を愛してやまず、駐車事情の厳しい都市部に住み、無限のキャッシュを持つひとにしか受けないだろう。そんなひとは数えるほどしかいない。高価格かつ屋根付きの保管場所が必要であることに加え、左ハンドルしか存在しないことも販売の足かせとなった。
No.36 ヴォグゾールVX220
発売:2002年
販売台数:1892台
現存台数(登録中):958台
現存台数(抹消済):527台
他のブランドからも登場しているが、このアルミシャシー、コンポジットボディ、ミドエンジン、そして凄まじいスタイリングのVX220はまずまずの成功を収めた。ロータスより見た目はよかったが、本当の走りを求める向きはエリーゼに流れてしまった。
No.37~No.41
No.37 プロトン・インピアン
発売:2001年
販売台数:2324台
現存台数(登録中):508台
現存台数(抹消済):148台
インピアンとは、マレーシア語で「夢の実現」という意味だが、このクルマには当てはまらない。しかし、プロトンが初めて自社開発したクルマであり、三菱製エンジンを搭載し、ロータスがシャシーに手を加えている。
No.38 サンヨン・カイロン
発売:2006年
販売台数:1102台
現存台数(登録中):672台
現存台数(抹消済):171台
興味深いスタイリングを持つ大型SUV。
No.39 スバルB9トライベッカ
発売:2006年
販売台数:685台
現存台数(登録中):445台
現存台数(抹消済):53台
トライベッカはニューヨーク郊外の特別なエリアだ。B9トライベッカはその名称以上に特別なクルマになってしまった。
No.40 スズキ・キザシ
発売:2013年
販売台数:340台
現存台数(登録中):325台
現存台数(抹消済):5台
米国向けのコンパクトなスポーティサルーン。シャープなシャシーに大型のエンジンを搭載したクルマは英国に合っていると思ったが、気のせいだったようだ。
No.41 ヴォグゾールVXR8
発売:2007年
販売台数:561台
現存台数(登録中):517台
現存台数(抹消済):53台
ホールデンに兄弟を持つこのマッスルカーは、もともと量販する計画ではなかった。たちまちコレクターズカーとなったことは、現存する台数の多さからもわかるだろう。
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