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【実際に購入レポート】ポルシェ・タイカンの長期テスト(14) 購入から1年、EVオーナーが直面した課題

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【実際に購入レポート】ポルシェ・タイカンの長期テスト(14) 購入から1年、EVオーナーが直面した課題

納車から1年 1万4828km走破

1年間で1万4828kmを走破した。

【画像】タイカンと過ごした1年1万4828km【振り返る】 全27枚

昨年の3月11日に納車されたタイカンは順調に距離をのばし、丸1年たった時点で1万4828kmを走行することができた。

この間、なんとノートラブルであったのは、流石ポルシェであると同時に実際にEVを日常に使用した際の信頼性という意味でも高い評価を与えることができると思う。

実は購入する前に、2021年モデルでかなりのトラブル(殆ど電気系のバグだが)が出て苦労した、という話を聞いていたので、ある程度覚悟はしていたが、2022年モデルでの改修が功を奏しいつものポルシェのクオリティに戻ったということだろう。

1年間のわたしの使用のパターンとしては、毎週2~3回、自宅のある川崎市麻生区と仕事先の1つである山梨県甲府市にある旅館との約110kmの往復が基本。川崎にいる時には都内への通勤があり、また甲府でも山梨県内の移動がある。

このほか各地に何回か旅行や出張をおこなっているので、ルーテインの基礎充電のみならず、経路充電としての急速充電やその際の充電トラブルなども経験した。

1年間の総走行距離としては、通常の2万km以上走ることからするとやや少なめだが、これは他車の2~3週間の試乗を何回か行ったためである。

インフラ整備がEV普及のカギ

丸1年間の使用でEVの持つ顕著な特徴も肌で理解することができた。

その最たるものは、季節による走行可能距離の変化である。

年間の電費は、1万4828kmの走行に対し3688kWの電力を消費したため、4.019km/kWhとなったが、11月から2月までの4か月間はそれぞれ3.99、3.41、3.19、3.32といずれも4km/kWhを割り込んでいて、表示される走行可能距離も350km以下となり、最低では1月29日に充電した際の325kmまで低下した。

8月の最大値が430kmで電費も5km/kWh程度まであったから、25%もダウンしている。

この原因は低温によるバッテリーの能力低下とヒーターの多用にあり、実際、暖かくなってきた直近は370km程度まで復活している。

冬期になり、いつものように都内での仕事を済ませてから甲府に向かったところ、走行残距離が50km程度にまで減少してしまいやや焦ったこともある。

途中で急速充電をおこなえば良いと思っていても、やはりこうしたことを気にせざるを得ないのは煩わしいと思う。

とくに旅行の際などは、目的地でちゃんと充電できるどうか心配で、このことがストレスになるのはよろしくない。

この1年間で最も強く感じたのはインフラ整備の重要さで、現在のようなレベルでは到底、EVのさらなる普及は望めないだろう。

無論、政府も手をこまねいている訳ではなく、来年度は総額300億円程度の充電インフラ予算を組んでいるようだが、消費者にとっての本当の利便性をしっかりと理解したシステムにしてほしいと切に願う。

例えば宿泊施設でも、昨年10回以上旅行した中で確実に充電ができると事前に確認できたのは2軒程度に過ぎず、半分以上は設備そのものが無いというのが現実。とても安心してEVで旅行ができるレベルにはない。

だから、現在、わたしの属する全旅連でも何とか全国の宿泊施設に充電設備を整えるべく、経産省と交渉を重ねているところである。

2035年の完全電動化は非現実的?

現在、さまざまなEV関連企業がアプリを使うことを前提とした充電装置の売り込みをおこなっているようだが、宿泊施設特有の課題を解決できていないケースがほとんどであり、非常に問題があると考えている。

その問題は以下のようである。

・それぞれの企業が独自に作るアプリに登録しないと充電できない。極端な話、旅行に行く度に新たなアプリを入れ込まなくてならず、面倒なうえに個人情報の拡散になりかねない。

・今後は、宿泊する部屋の予約と充電器の予約がセットになるはずで、現にわたしもそうしている。この場合、宿側がコントロールできないシステムは意味がない。

・宿泊者が充電をおこなうと宿にバックマージンが入るシステムもあるようだが、その費用は宿泊者が払う上乗せした高額な電気代から支払われるはずで、それならその分を安くすべきである。宿は売電を商売にしている訳ではないのだから。

これらの問題を解決すべく、最も良い方法を全旅連で検討中である。

このまま国内でEVが増えてゆけば、電力供給そのものが間に合うのかどうかも不安なところで、現実に政府が標榜している2035年に完全電動化などは、皮膚感覚としてかなり難しいと思わざるを得ない。

この1年間、タイカンに限らずさまざまなEVに試乗してみたが、いずれも現時点での完成度は高く日常に使用するうえで何ら問題がないことが確認できた。

無論、これからもバッテリーの高性能化や小型化など、さまざまな技術的課題の解決がなされてゆくだろうが、やはり基本的なことは、充電インフラの整備とユーザーのEVに対する理解度の問題だろうと感じている。

今後はハード、ソフト両面でさらなる意識の浸透が必要であろう。

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みんなのコメント

3件
  • インフラよりバッテリー性能かな。300キロちょっとしか走れない車に1500万は贅沢すぎる。
  • べつに課題とかいってもオーナーが解決する義理はない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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