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世界に30台だけ!? コンパクトなスカニアがベースの「重量物仕様トラッククレーン」の特徴とは?

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世界に30台だけ!? コンパクトなスカニアがベースの「重量物仕様トラッククレーン」の特徴とは?

 クレーン車はモノを吊り上げて、高いところや離れたところに移動させるのが仕事。活躍するフィールドはさまざまで、バリエーションも豊富に存在する。

 大きな枠組みではラフテレーンクレーン、トラッククレーン、オールテレーンクレーンが代表的で、このうちトラッククレーンはトラックの荷台部分に操縦席付のクレーンを架装したもの。

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 ラフテレーンクレーンとオールテレーンクレーンの普及により需要は年々減少しているが、一部の業界では今なお根強い人気がある。

 トラッククレーンにも色々なバリエーションが存在するが、今回は、世界にたった30台しか存在しない、かなり貴重なトラッククレーンを紹介しよう。

文・写真/フルロード編集部
※2020年3月10日発売トラックマガジン「フルロード」第30号より

【画像ギャラリー】世界にたった30台しか存在しないトラッククレーン「タダノ・OC-350N(重量物仕様)」を見る

■重量物の搬入・据え付けに特化したスペシャルマシン

阪東自動車工業が日本限定30台で販売したトラッククレーン「タダノ・OC-350N(重量物仕様)」。重量物の搬入・据え付けに特化した機能を持たせたスペシャルマシンで、ショートブーム&ショートフックや8×4/4シャシーなどが特徴だ

 今回紹介するのは、特殊車両や重機械の販売・メンテナンスを専門とし、スカニアジャパンの正規ディーラーとして日本で唯一、スカニアの3軸6×6総輪駆動トラクタを販売していることでも知られる阪東自動車工業(大阪府東大阪市)が販売したトラッククレーン「タダノ・OC-350N(重量物仕様)」だ。

 OC-350N(重量物仕様)は、今から30年前に生産され、今も現役で活躍している「タダノ・TL-300ER」の後継機種として、同社がクレーンメーカーのタダノ、シャシーメーカーのスカニアなどと開発したもの。車名の「重量物仕様」は、重量物の搬入・据え付けに特化していることを表すものだ。

 重量物の搬入・据え付けとは、工作機械、精密機械、半導体など重量級の機械製品を、納品先の工場に設置する作業のこと。機械製品に関するノウハウ、クレーンなど各種機材に関するノウハウが必要とされる特殊な仕事で、これを専門で行なう事業者は「重量屋」と呼ばれる。

 導入ユーザーの羽山組(神奈川県厚木市)は、重量物の搬入・据え付けを専門とする重量屋さん。これまで同業務にはラフテレーンクレーンを使っていたが、年々大型化していることから、よりコンパクトかつパワフルな重量物仕様トラッククレーンの導入を決めたという。

■コンパクトな車体で吊り上げ35tを誇る

3段式のブームは長さ7~15mをカバー。写真はすべて伸ばした状態だが、実際の作業では一番短い状態がメインとなる。一番短い状態での吊り上げ能力は35tと強力。さまざまな現場で重宝されそうだ

 OC-350N(重量物仕様)は、その名が示す通り35tの荷物を吊り上げることができるトラッククレーン。天井の低い工場建屋内などでの作業に有利なショートブームに、揚程(地面からフック先端部までの距離)が稼げるショートフックを組み合わせ、重量屋の業務に最適化されているのが最大の特徴だ。

 主なスペックはブームの長さが7~15m、クレーン容量(許容荷重)が7m時で35000kg、11m時で25000kg、15m時で16600kg、最大地上揚程が15.4m、最大作業半径が13.6m、ブーム起伏角度が-2.9~+72度となっている。

ベースとなったスカニアの4軸8×4/4シャシーは同車両のため専用設計されたもの。短いホイールベースは機動性アップに寄与。ただ、そのぶんエアタンクや燃料タンクなど艤装品のレイアウトには苦労したようだ

 ベース車両は専用設計のスカニア社製4軸8×4/4リアエアサスシャシー(P410LB8×4*4MNA)を採用。

 クレーンを搭載するためシャシーフレームの後端部がカットされ、アウトリガーを搭載するためエアタンクやアドブルータンクも移設。7150mmというショートホイールベースにより従来のTL-300ERと同等の旋回性を実現する。

■日本のトラックでは見られない独特の駆動方式

8×4/4という駆動方式は日本のトラックでは見られないもの。最後軸はシングルタイヤかつステア機能を搭載し、現場での機動性アップに寄与する

 ちなみに「8×4/4」という駆動方式の表記は欧米のトラックでよく見られるもの。前半の「8×4」は4輪駆動の8輪車という意味(ダブルタイヤを1輪として数える)。後半の「/4」は8輪のうち4輪がステアするという意味で、同車両の場合はフロントに加えリア(最後軸)にもステア機能付きシングルタイヤを採用する。

 この最後軸のステア機能は旋回性アップに寄与。また、建屋内で車両を動かす際に、タイヤ痕が残りにくくなるというメリットもあるという。

キャブは汎用のPシリーズを採用。ベッドレス&天井も一番低い作業重視仕様だ。見た目のインパクトが強烈な煙突マフラーは、排気ガスが床のホコリやチリを巻き上げるのを防ぐためのものである

 キャブは汎用のPキャブのデイキャブ・ロールーフ仕様。エンジンは従来のTL-300ERの倍近い410馬力を発揮。特徴的な煙突マフラーは建屋内で作業をしている時に排気ガスがホコリやチリを巻き上げるのを防ぐためという。

デッキやハシゴ部、前方左右の収納スペースなどの縞板加工は本所自動車工業の職人の手作業によるもの。つなぎ目がわからない丁寧な処理は本所ならでは。スペース有効活用のためスペアタイヤは立てて搭載される

トラッククレーンはトラックの運転席とは別にクレーンの操縦席を持つ。クレーン操縦席への乗り込みはデッキ部に格納されているハシゴを展開して行なう

 いっぽう、ボディ全体の細かな架装は一品モノの平ボディで有名な本所自動車工業(栃木県足利市)が担当。リアフェンダー兼用のデッキ、サイドガード、デッキ昇降用のハシゴの縞板加工のほか、デッキ左右の収納スペースなどは職人の手作業でつくられたものだ。

 なお、クレーン操縦席への乗り込みはデッキ部の格納式ハシゴから行なう。左右に搭載されるハシゴはドイツ製で、不使用時はコンパクトに畳むことが可能だ。

【画像ギャラリー】世界にたった30台しか存在しないトラッククレーン「タダノ・OC-350N(重量物仕様)」を見る

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みんなのコメント

1件
  • こういう重量物の単車はSCANIA一択になってきてるな
    日本のメーカーにも頑張ってほしいけどふそうはベンツ、UDはいすゞと一緒になりつつあり
    期待できるのは今では日野だけ…
    国産のトレーラーヘッドも運転手としたらみう日野一択
    いすゞはキャブ狭い、ふそう、UDはトラブルが多いので乗務したくない
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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