ルサイル・インターナショナル・サーキットで開催されたF1第18戦カタールGP。10月8日(日)に行なわれた決勝レースでは、前日のスプリントで今季のF1世界チャンピオンに輝いたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポール・トゥ・ウィンという形で制した。2位と3位にはマクラーレン勢が入り、またしてもダブル表彰台を掴んだ。
スプリント形式で行なわれた今回のカタールGP。ただでさえ慌ただしい週末の中で、タイヤトラブルが発生する懸念が浮上したことから、57周の決勝レースを前にFIAからは各タイヤセットにおける使用可能周回数の上限を18周に制限する通達が行なわれた。これにより3ストップ必須のレースとなった。
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土曜日のF1スプリントで今季のドライバーズチャンピオンを確定させ、決勝レースをポールポジションからスタートしたフェルスタッペンと、フロントロウに並んだジョージ・ラッセル(メルセデス)は、ユーズドのミディアムタイヤを1セット目として選択。3番グリッドのルイス・ハミルトン(メルセデス)は序盤のジャンプアップを狙い、新品のソフトタイヤを履いた。そのほか、ほとんどのドライバーがミディアムタイヤをスタートタイヤに選んだ。
なおF1スプリントで大きなクラッシュを喫したセルジオ・ペレス(レッドブル)は、チームがFIAの承認を得ない形でシャシーとパワーユニット交換を行なったことで、ピットレーンからのスタートを余儀なくされた。カルロス・サインツJr.(フェラーリ)は、レース直前にマシンの燃料システムにトラブルが発生したため欠場となった。これにより、18台がグリッドに並んだ。
日が落ちた現地20時でも気温は32度、路面温度37度という厳しいコンディションの中、決勝レースの幕が上がるとフェルスタッペンが好スタートを決めた。
ハミルトンは2番手のラッセルにターン1のアウト側から仕掛けたものの、ラッセルの左フロントとハミルトンの右リヤが接触。ハミルトンはコース外に弾き飛ばされる形となり、ラッセルも後方にポジションを落とした。
ハミルトンがターン1のグラベルでマシンを止めたことでセーフティカー(SC)が出動。ラッセルはピットでタイヤを交換して戦列に復帰。後方のソフトタイヤ勢など4台は戦略で違いを生むべく、このSC中、3周目を終えたところで最初のピットストップを行なった。彼らはその後3セットのタイヤで18周ずつを走れば、チェッカーまでギリギリ辿り着ける計算だ。
レースは5周目から再開。フェルスタッペン、混乱に乗じてポジションを上げた前日のF1スプリント勝者のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)というトップ3の並びでレーシングスピードに戻った。
フェルスタッペンはDRSが使用可能になる8周目までに、ピアストリに対して1秒以上のギャップを築くと、その後もジワジワと2番手以下を引き離した。
角田裕毅(アルファタウリ)やエステバン・オコン(アルピーヌ)など入賞を狙える位置を走っていたドライバーは、アンダーカットを狙ったか、10周目あたりからピットへ入った。
上位勢は3番手のアロンソが11周目の終わりにピットへ。ピアストリも12周目終わりにタイヤ交換を行なった。
一方でフェルスタッペンは、第1スティントを最大限まで引っ張る戦略を取ったが、スティント終盤でも最速のペースを維持。ピアストリが集団の中でのピットアウトを強いられたこともあり、17周目終わりにピットインを行なったフェルスタッペンはピアストリの9秒前方でコースに戻った。
全車が1回目のピットストップを完了した時点では、序盤のSC中にピットでタイヤを替えていたドライバーが大きくポジションを上げ、3番手にバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)、アロンソを挟む形でランス・ストロール(アストンマーチン)が5番手を走っていた。
ただ、その彼らもタイヤの周回数制限によって21周目の終わりにピットイン。トップ3は再びフェルスタッペン、ピアストリ、アロンソの並びとなった。
ユーズドのミディアムタイヤを履いていたピアストリは26周目の終わりにピットへ。ここで新品のミディアムタイヤに履き替えた。
ピアストリ以下多くのドライバーが早め早めのピットストップを行なう中、先頭のフェルスタッペンは我関せず。2セット目も最大限まで引っ張り、34周目終わりにピットへ戻り、新品のハードタイヤに履き替えた。ここでも、首位を譲ることはなかった。2番手ピアストリとの差は6.5秒で、3番手にはそのチームメイトであるランド・ノリスが上がっていた。
オープニングラップに同士討ちを喫して最後尾まで落ちていたラッセルは、レースに復帰した後は終始ペースが良く、全車が2回目のピットストップを終えた時点で4番手まで順位を回復していた。
マクラーレン勢は44~45周目に最後のピットストップを実施。第3スティントでチームメイトを猛追したノリスが、最終スティントでもピアストリを追いかけ回し、前戦日本GPに続いてノリスはチーム内でポジションを入れ替えることを訴えた。ただ、ピアストリもノリスに合わせてペースを上げて接近を許さず、付かず離れずの攻防が続いた。
フェルスタッペンは51周目にピットイン。タイヤ交換で少々時間をロスしたものの、ピアストリの4秒前方で最後のスティントに臨んだ。
レースも終盤に差し掛かると、夜でも暑いカタールの厳しいコンディションがドライバーを苦しめた。ラッセルやノリスはストレート上で少しでも身体を冷やそうとヘルメットのバイザーを軽く開けたり、ハンドルから手を離して風を当てたりした。ローガン・サージェント(ウイリアムズ)は体調不良によってリタイアを選択した。
そうした中でもフェルスタッペンは56周目に1分24秒319のファステストラップを叩き出してファイナルラップへ。隙のない走りで最後の1周を周り、トップチェッカー。今季の勝ち星を14とした。
2位にノリスの追撃を凌ぎきったピアストリ。ノリスが3位でフィニッシュしたため、マクラーレンがダブル表彰台を獲得した。
トップ3の面子は日本GP、カタールGPのF1スプリントから変わらず。ただ、決勝レース後には3名とも疲労を隠せない様子で、マシンを降りた後には地面に座り込んでしまった。
ラッセルはレース序盤に最後尾まで転落したものの4位まで挽回。5位にルクレール、6位にアロンソが入った。
7位にエステバン・オコン(アルピーヌ)が入り、3周目のSC中にピットインするというリバースストラテジーを成功させたボッタスが8位となった。
ストロールやピエール・ガスリー(アルピーヌ)がその後ろでチェッカーを受けたものの、トラックリミット違反によるタイム加算ペナルティが科され、周冠宇(アルファロメオ)が9位に繰り上がった。アルファロメオとしては嬉しいダブル入賞。コンストラクターズランキングでもハースを抜いて8番手に浮上した。
ピットレーンスタートのペレスはレース中、計3回に渡りトラックリミット違反のタイムペナルティが科されたが、辛うじて10位で1ポイントを掴んだ。
角田はハードタイヤで最大限の周回数を走行する戦略を採ったものの、ペースが上がらず15位でフィニッシュ。11番グリッドスタート、そして豊富な新品タイヤの残りセットを活かすことはできなかった。チームメイトのリアム・ローソンは、完走したドライバーの中では最下位となる17位だった。
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