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新型クラウンも名車たちに続け!? レジェンドセダンが挑んだ亜種モデル

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新型クラウンも名車たちに続け!? レジェンドセダンが挑んだ亜種モデル

 新型クラウンはクロスオーバーSUVやワゴン、ハッチバックなど、さまざまなボディ形状をラインナップすることが発表された。

 しかし、過去にも長い歴史と実績を持つセダンが、ワゴンやSUVに変形した例はあった。クラウンエステート、マークIIブリッド、スカイラインクロスオーバー、マークXジオなど、それらの亜種モデルたちをピックアップして魅力をひも解いていこう。

新型クラウンも名車たちに続け!? レジェンドセダンが挑んだ亜種モデル

文/フォッケウルフ
写真/日産、トヨタ、ホンダ

■セダン「プラスα」が生み出す万能性

 1955年に誕生して以来、およそ67年に渡って国産セダンの正統派として認知されてきたクラウンが、”多様化するライフスタイルや価値観に寄り添った”結果、セダンとSUVを融合させた新しいスタイルへと変貌を遂げた。

 先陣を切って2020年秋に発売されるのは「クロスオーバー」だが、さまざまなメディアで報じられている通り、クロスオーバーに続いて、スポーツ/セダン/エステートが順次展開予定となっている。

新たに発表されたクラウンのバリエーションのひとつ、「クラウンエステート」だが、同名称のモデルが過去にも存在した!

 昨今は、クルマのカテゴリーが多様化している。クルマ選びにおいては自身のライフスタイルを客観的に把握して、最も適したカテゴリーがなんなのかを熟慮し、そのなかでカッコよさなど、各モデルの性能を考慮するのが定石と言える。

 しかし、カテゴリーを絞りきれない、あるいはより多くの付加価値を求める場合は、単一ジャンルのクルマよりも、新型クラウンのように「セダンとSUVを融合」したクルマのほうがユーザーメリットを訴求しやすい。巷でSUVが圧倒的な人気を集めているのは、あるものとあるものを掛け合わせた結果、あらゆる場面で便利に使えるクルマに仕上げられたことが理由のひとつでもある。

 近年のSUVの台頭でクロスオーバーというジャンルが確立されたが、こうしたクルマづくりは過去にも例がある。特にセダンをベースに、別なジャンルの特徴をプラスして作られた「派生車」は、今振り返ればクロスオーバーのはしりと言えるかもしれない。

 そもそもセダンは、すべてのカテゴリーの中心に位置する万能な性能をもっており、どのようなライフスタイルにも順応できる。すべてのカテゴリーはセダンを基軸に派生してきたという歴史的な背景も含め、セダンをベースにした派生車はいずれも高い能力を有しており、なおかつセダン特有の野暮ったいイメージが薄められているなど、ベース車とは違った魅力がある。

 現行型、そして過去に遡って、セダンプラスαの亜種モデルをクローズアップしながら、それらの能力やユーザーに提供される付加価値を再確認していこう。

■セダンをベースにもっと荷物を積みたいニーズに対応したワゴンモデル

●トヨタ クラウンエステート

新型に設定されたエステートは上質かつ個性的なSUVスタイルだが、この元祖エステートはクラウンらしい高級感をを漂わせ、他にない個性をアピール

 新型クラウンで復活を遂げたエステートだが、元祖は11代目クラウンをベースにワゴン化し、高級ステーションワゴンの新しい在り方を提示したモデルだ。

 2.5Lターボや3L直噴エンジンを採用し、ゆとりの動力性能と低燃費を実現していた。エンジンを車両の中心に寄せて搭載したほか、燃料タンクを後席床下に収納することでヨー慣性モーメントを減少させ、従来のステーションワゴンとはひと味違う、上質な走りと乗り心地や卓越した運動性能を発揮した。

●トヨタ マークIIブリット

2002年に高級FRツーリングワゴンとして誕生したマークIIブリット。縦形独立4灯ライトやクオーターピラーがデザインのシャープさを強調していた

 シャープで流れのあるフォルムと、上質でゆとりの室内空間を備えた高級FRツーリングワゴンとして登場。縦形独立4灯ヘッドランプや特徴的なクォーターピラー、フロントピラーからリアスポイラーに続く流麗な造形によって、走りのよさを全身で表現していた。

 高トルク、高出力の2.5Lターボエンジンがもたらす余裕の動力性能に加え、新開発のショックアブソーバー採用のサスペンションにより、セダンを上まわる優れた操縦安定性と乗り心地のよさを両立していた。

●ホンダ アコードワゴン(U.Sアコードワゴン)

初代はコンセプトの立案からデザイン、設計、開発をホンダR&Dノースアメリカが担当。洗練された雰囲気は後の2代目同様オシャレだった

 アコードをベースにしたワゴンモデルとして1991年に登場し、車名をアコードツアラーに変えた5世代目までを含めると2013年まで生産されていた。特に印象が強いのは、アメリカのHAM(ホンダ・オブ・アメリカ・マニファクチャリング)が生産を行い日本へ輸入されていた2代目だろう。

 セダンの基本フォルムを活かしながら、流麗な大きくラウンドした曲面リアガラスや存在感のある力強いウエッジシェイプによって、ワゴン=実用車という印象を払拭。オシャレな逆輸入として、センスのいいクルマを求める人の琴線に触れて好調な販売を記録するとともに、日本へワゴン文化を根付かせた。

■ネーミングを継承しながら大胆な変貌を遂げたクロスオーバーSUV

●日産 スカイラインクロスオーバー

駐車ガイド機能付きアラウンドビューモニターや、レーンデパーチャープリベンションなど安全運転支援機能をいち早く採用

 グリルからドアミラーまで伸びるフードバルジによって実現した、FR車らしいロングノーズとクーペと見紛うような美しいスタイルが注目を集めた。

 パワーユニットは高出力330psを誇る3.7Lエンジンを搭載し、7速ATとの組み合わせによって伸びやかで途切れのない加速フィールが味わえる。最大の魅力は、SUVクラスではトップレベルの走行性能で、スカイラインの名に恥じない優れた運動性能をさらに洗練させながら、高級車にふさわしいしなやかで上質な乗り心地を持ち味としていた。

●トヨタ カローラクロス

荷室は十分な広さが確保され、カローラクロス専用設計の高機能収納ボックス「ラゲージアクティブボックス」を使えば多彩な荷室アレンジが可能

 「新空間・新感覚 COROLLA」を開発コンセプトに掲げ、シリーズ初のSUVとして登場。SUVらしいダイナミックで洗練されたスタイルによって、都会的かつ堂々としたイメージを表現している。

 熟成が進んだGA-Cプラットフォームと、軽量でありながら高い剛性を持つボディ骨格を採用することで、SUV特有の腰高感をほとんど意識させない、軽快で安定した操縦性を味わわせる。2021年9月の登場以来、カローラシリーズを代表するモデルとして認知され、トヨタの販売を支える売れ筋モデルとなっている。

■他ジャンルの特徴をプラスして機能性を高めつつも革新的過ぎたモデルたち

●トヨタ マークXジオ

3列シートはサイズ、広さともに非常用の感は否めないが、いざというときに4名以上が乗れるという頼もしさをもたらしてくれる

 「4+Free(フォー・プラス・フリー)」というコンセプトのもと、大人4人がゆったりとくつろげる独立4座と、使用シーンに応じて自在に変化させることができる自由空間を備えたモデルとして注目を集めた。

 使用シーンに応じてセダン、ワゴン、ミニバンそれぞれの使い勝手を実現する「3モードキャビン」はじつに画期的だった。デュアルトノボードで荷室スペースを分離し、高級セダンのような居住空間を実現する「パーソナルモード」。「アクティブモード」は、デュアルトノボードを外すことで、ワゴンのような広い荷室スペースが確保できる。

 さらに、「フレンドリーモード」では荷室下に格納された3列目シートを引き起こせばミニバンのような多人数乗車に対応する。多様化がさらに進んだ現代なら、1台であれもこれもが実現できる能力を持ったマークXジオは、かなり重宝されるのではないだろうか。

●トヨタ プリウスα

リダクション機構付のTHS IIを搭載。CD値0.29という優れた空力フォルムの恩恵もあって26.2km/L(JC08モード)という低燃費を達成

 3代目プリウスをベースに、さまざまなシーンで活躍できるゆとりの室内空間を備えたモデルとして登場。5人乗りの2列シート車と7人乗りの3列シート車の2タイプを設定し、乗る人の多様なライフスタイルに応えるハイブリッド専用として人気を博した。

 プリウス譲りの圧倒的な燃費性能だけでなく、トヨタ初となる開放感あふれる大型の樹脂パノラマルーフや、温度・風量・モードの切り替えをひとつのダイヤルで操作可能としたワンダイヤルエアコンディショナーコントロールといった機能がもたらす、ハイレベルな快適性や利便性も持ち味としていた。

 アメリカでは2列シート車が「Prius v」として、欧州では3列シート車を「Prius +(プラス)」として、それぞれ発売されていた。

※       ※       ※

 もともとセダンは多人数乗車にも対応できるし、後席を倒してトランクスルーを使えば日常生活で積めない荷物はないほどの積載能力も備えている。「オヤジグルマ」などと揶揄されることもあるが、それはどこにでも乗って行ける落ち着いた雰囲気や高級感を持っている証でもある。そんなセダンがベースとなっているわけだから、セダン派生の亜種モデルも実力は申し分ない。

 現在では、多彩な用途に対応できるクロスオーバーSUVが人気を博しているが、1台でさまざまな用途をフォローしたいと考えるなら、断然推奨できる。なにより、日本を代表する”レジェンド”の能力を継承しながら、新たな価値を提案するべくチャレンジした心意気は称賛に値するし、能力の高さとともに手にする意義は十分にあると言えるだろう。

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