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多くのコンポーネントがM4譲り BMW M2 クーペへ試乗 過去ベストを更新するか 前編

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多くのコンポーネントがM4譲り BMW M2 クーペへ試乗 過去ベストを更新するか 前編

G82型M4と一致する1725kgの車重

最新モデルへ心がときめかない、というクルマ好きは少なくないと思う。特にマニュアル・トランスミッションを志向するドライバーの場合。

【画像】過去ベストを更新するか BMW M2 クーペ 現行のM4とM3 ツーリング 競合クーペも 全169枚

ケータハム・セブンといった、ハードコアな軽量スポーツ・モデルも存在するが、ちょっと特別すぎる。1台ですべてをこなす、普段使いできるクルマとはいえない。

それでは最新の2+2クーペ、M2はどうだろう。カーブで思い切り振り回せつつ、長距離にも耐えられる洗練度を備えるだろうか。通常の2シリーズと比較して、リアシートや荷室の使い勝手はどうだろう。

極めて完成度の高かった初代、F87型の後継に当たるG87型には、クルマ好きが惹かれる部分が沢山ある。必要以上に速いし、写真より実物の方がカッコイイ。後輪駆動で、リアタイヤを存分にスライドさせられる。

ただし、いくつか気になる部分もある。2011年に登場した伝説的な1シリーズ Mクーペのコンセプトを継承しつつも、少なくない贅肉をまとっている様子。手放しに称賛するのは少し早そうだ。

まず、新しいM2の内容を確認していこう。今回の試乗車には8速ATが組まれており、車重は1725kgある。これはプラットフォームを共有するG82型のBMW M4と一致する数字で、先代から150kg増えている。3ペダルのマニュアルなら、25kg軽くなるが。

レザー内装が組まれた、ポルシェ911 カレラSと比べると210kgも重い。いわずもがな、スポーツカーなら軽いことに越したことはない。

後輪駆動でひと回り小さいM4と呼べる

英国価格は大幅に上昇した。先代のM2 コンペティションは、デュアルクラッチAT仕様で約5万3000ポンドだった。最新版は、6万4745ポンド(約1042万円)からに設定されている。

確かに製造コストは増しているし、インフレ傾向でもあり、先代より高性能化も図られている。アダプティブダンパーに加えて、6kg軽いカーボンファイバー製ルーフも英国仕様では標準なことも、影響しているだろう。

開発を担当した主任技術者のダーク・ハッカー氏は、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェのラップタイムを、先代から大幅に縮めたと説明する。とはいえ、値上げ幅は小さくない。MTの場合、更に1000ポンド(約16万円)ほど高くなるそうだ。

コンポーネントを確認すると、基本的には後輪駆動でひと回り小さいM4だと表現しても過言ではない。エンジンは、S58型の直列6気筒ツインターボ。M4の最高出力は510psだが、M2では460psに制限されている。つまり、パワーウエイトレシオは劣る。

8速ATは同じZF社製で、サスペンションとブレーキも基本的に同一。ボディを支えるサブフレームや、吸気系、冷却系もM4と共通だと考えていい。M240iより35mm広い、左右のタイヤの間隔、トレッドも一致する。Mモデルの二卵性双生児のようだ。

もっとも、G82型M4の完成度は高い。比べれば小さく安価なモデルが、優れたクラス上からコンポーネントを借りることは、むしろ誇るべきことではある。独自の動的特性が備わるのか、疑問を抱くとしても。

クラシカルな凸型 完璧なプロポーション

外観上はまったく異なる。M2の面構成は直線的で、横から見ると凸の形に近い。斜め後ろから眺めればボディサイドがえぐられ、タイヤが力強く踏ん張っているようだ。

ダックテール・スポイラーが備わり、良くいうならE46 M3 CSLの香りも漂う。今回の試乗車は、ブルックリン・グレーという専用色で塗られていたことも、影響していると思うが。

現行のM4と比べると、フォルムはクラシカル。ホイールベースとホイール径との関係、フェンダーラインの膨らみ、ホイールアーチの隙間など、プロポーションは完璧だと思う。

サイドウインドウの後端は、ホフマイスター・キンクと呼ばれる面取りが施されている。キドニーグリルは、BMWの最新モデルとしては控えめだ。

ドアを開いて車内を観察すると、M4よりタイトなことがわかる。先代より豪華さは高められている。硬軟のバランスは好ましい。カーボンとレザーがふんだんに用いられ、プラスティック製部品も高品質。運転席からの視認性にも優れる。

ステアリングホイールには、M2として初めて、レッドに塗られた2つのMボタンが用意された。パワートレインやブレーキの特性、ステアリングホイールの重み付けなどを、ドライバーの好みで調整し登録できる。

M1はマイルドにして、雨の日も許容する一般道向けにし、M2は晴れた日の走り慣れたワインディング用にする、といった使い分けも可能。なかなか便利な機能だ。

発進直後から伝わる圧倒的な速さへ迫る能力

ダッシュボード上の2連モニターは、少々大きすぎるかもしれない。大型SUVにはしっくり来るとしても、2シリーズ・サイズのボディに組み合わされると、少し圧倒されてしまう。スポーティな雰囲気を濁している。

リアシート側の空間は、先代のM2から僅かに拡大している。特に足もと回りの余裕で。

試乗車には、オプションのMカーボン・バケットシートは組まれていなかった。着座位置が10mm低くなり、シャシーとの一体感が一層増すはず。

さて、確認を終えてエンジンを始動させよう。お目覚めは、近所迷惑なほどうるさくはない。開けた道へ進み右足へ力を込めると、Mモデルらしい印象が濃くなっていく。M240iとは明らかに違う。

ステアリングホイールは低速域では重い。ペダルもスプリングが強い。これらはM4に通じる感触だ。パワートレインの反応はソリッドでビビッド。発進直後から、圧倒的なスピードへ到達できる能力を感じ取れる。

穏やかなドライブモードではダンパーが優しく、8速ATはキビキビとシフトアップしていく。有能なオーラを放ちつつ、巧みにベールで包まれている。

速度域が上昇しても、マナーは乱れない。傷んだ路面に手を焼く様子もない。英国の道路環境でも、普段使いできるだろう。

訴求力の高いMモデルらしさを生む理由には、通常の2シリーズと比べて、ボディシェルが強化されていることが該当するはず。Cピラーや荷室フロアの剛性、アルミ製のサブフレームなどが異なる。

この続きは後編にて。

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