英国王室御用達になったステーションワゴン
フォード・ゼファー MkIIに載った直列6気筒エンジンは、MkIの2.2Lから2.5Lへ拡大。ハイオクタンに対応した圧縮比が与えられ、最高出力91psを発揮し、最高速度は144km/hがうたわれた。
【画像】サルーンボディを切り貼り フォード・ゼファー MkIIのステーションワゴン 同時期のモデルと比較 全141枚
ホイールサイズは13インチ。トランスミッションは3速マニュアルが標準で、オプションでオーバードライブを指定できた。3速オートマティックも用意された。
MkIと同様に、ゼファー MkIIはモータースポーツでも活躍。ワークスチーム体制で挑んだアルペン・ラリーとモンテカルロ・ラリーではクラス優勝を果たし、1959年の英国サルーンカー選手権でも優勝を掴んでいる。
コーチビルダー、EDアボット社によるステーションワゴンは、拠点のある地名にちなんで「ファーナム・エステート」と呼ばれ、フォードの正式モデルに。英国王室にも選ばれ、ウッドパネルの貼られた特別なワゴンを、女王は移動手段の1つとしていた。
1959年にフェイスリフト。ルーフが僅かに低められ、ステンレス製トリムでウインドウが縁取られるなど、見た目が一新されている。インテリアも、ダッシュボードにパッドが張られ、新しいシートが与えられた。
その年までに、2代目のコンサル、ゼファー、ゾディアック3兄弟は、14万2000台を販売。英国警察にも真っ白なゼファー・ステーションワゴンが7台導入され、注目度が下がることはなかった。
1960年仕様から、フロンドのディスクブレーキにサーボアシストが導入。1962年の春にMkIIIへバトンタッチするまで、11年間で合計100万台を提供するに至った。
汚れた荷物を積もうとは思えない
かくして、サルーンより高価で生産数の少なかったステーションワゴンは、残存数も少ない。希少な英国製クラシックとして、マニア間での引き合いは高いようだ。
今回ご登場願った、1961年式のゼファー MkII ファーナム・エステートほど好ましい例は極めて珍しい。1990年代前半に丁寧なレストアを受けており、見事な状態のまま、現オーナーのロバート・ヒューズ氏が8年前に購入したという。
ロバートは、別れを惜しんだ前オーナーの意志を受け継ぎ、丁寧に面倒を見ている。当時の良好な部品が入手できると、都度リビルドしているという。
ニューアーク・グレーとアランデル・グレーという、シックなツートーン塗装は、見惚れるほど美しい。不自然な新しさはなく、レストアされたようには見えない。2022年には、オーナーズクラブのコンテスト・イベントで優勝したそうだ。
ボンネットを開くと、大きなエンジンルームの中で、アクアプレーン社のチューニングを受けた6気筒エンジンが姿を現す。専用マニフォールドにより、トリプルSUキャブレター化されており、スポーティな雰囲気を漂わせる。
横開きのテールゲートは、斜め上方へスイング。照明も備わる荷室は上等に仕立てられ、汚れた荷物を積もうとは思えない。リアシートの背もたれを折りたためば、ベッドも問題なく載るだろう。
この例では、スペアタイヤはフロア下。サイドウインドウ側に立てて固定し、フロア下の空間を利用する仕様も選べた。
かつてのドライバーは夢心地で運転できた
ダッシュボードは、エクスプレッソ・ボンゴと呼ばれたトリムで装飾。ステアリングホイールは巨大で、ホーンリングが内側で輝く。横に長いスピードメーターが鎮座する、シンプルなメーターパネルは、1950年代後半のアメ車っぽい。
ドライビングポジションは、恐らく殆どの体形の人へフィットするはず。60年以上前のモデルとしては非常に高性能で、エンジンの反応は鋭く滑らか。サウンドも良い。かつてのドライバーは、夢心地で運転できたことだろう。
それでも、現代の交通でゼファー MkIIのステーションワゴンを走らせる場合は、普段以上の努力と予測力が不可欠。軽く回せるステアリングホイールは、セルフセンタリング性が高く扱いやすいが、低速域では何度も腕を動かす必要がある。
シートはソフト。アームレストである程度は上半身を支えられるものの、積極的なコーナリング時には役不足だ。しかし、スプリングは比較的硬め。アンダーステアやボディロールは小さい。
ステアリングコラムで操作する3速マニュアルは、滑らかにギアを選べる。ダッシュボードの下のハンドルを引き、アクセルペダルを緩めれば、50km/h程度からオーバードライブが作動。一層の実用性の幅が与えられている。
もう一度アクセルペダルを踏み込むと、ロックが解除される。回転数を合わせれば、クラッチを切らずに変速も可能だと思うが、野蛮な操作は避けるべきだろう。
英国市民の意識へ大きな変化を与えた
ステーションワゴンが、窓の付いた貨物用バンの延長だと見られていた1950年代。EDアボット社が手掛けた3兄弟のフォードほど、英国市民の意識へ大きな変化を与えたモデルは存在しなかったといえる。
フォードもその成功を目の当たりにし、アングリアやコルティナにステーションワゴンを設定。ラグジュアリーなステーションワゴンという、新たなファミリーカー市場が形成されていった。
広大な荷室が生む実用性と、直列6気筒エンジンによる秀でた動力性能は、サルーンより望ましいモデルとして認識を改めていった。1970年代のグラナダを経て、1990年代のモンデオへ、成功の方程式は進化したといえる。
フォード・ゼファー MkII ファーナム・エステート(1956~1962年/英国仕様)のスペック
フォード・ゼファー MkII ファーナム・エステート(1956~1962年/英国仕様)のスペック
英国価格:1227ポンド(新車時)/3万5000ポンド(約651万円/現在)以下
生産数:5673台
全長:4528mm
全幅:1740mm
全高:1575mm
最高速度:144km/h
0-97km/h加速:18.7秒
燃費:8.9km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1285kg
パワートレイン:直列6気筒2553cc 自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:91ps/4400rpm
最大トルク:18.9kg-m/2000rpm
トランスミッション:3速マニュアル(後輪駆動)
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