最新ボルボのデザインは、「走る北欧家具」のようです。北欧家具は一見すると何の変哲もないけれど、そのシンプルなデザインのなかにさまざまな美しさが秘められていることに気づき、ほのかな感動が芽生えます。
ボルボ「V60 T6 ツインエンジン AWD インスクリプション」 そしてその感動は、トロトロと燃え続けるろうそくのように心のなかに留まって、いつまでも眺めていたいという衝動に駆られます。
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ボルボの基本的なデザインはとてもシンプルですが、クルマ全体のプロポーションが見事で、調和がとれた美しさが鮮やかに表現されています。
それだけでなく、デザインにある種の先進性やスポーツ性が織り込まれていて、走り去る瞬間に目にするテールライトの造形などは、いつまでも目に焼き付いて離れないことがあります。
インテリアはさらに印象的です。上級グレードで選択できるオフホワイト系のインテリアで、シートを覆う上質なレザーは、かすかにグレーがかった品のいいホワイトに仕上げられています。
また、ダッシュボードには、自然な風合いを醸し出すドリフトウッドという味わい深いフェイシア(化粧板)が用いられました。
こうしたインテリアが作り出す空気は優しく心温まるもので、真っ黒で威圧的な内装とは対極の世界。このインテリアが欲しくてボルボを買う人も少なくないでしょう。
ガソリンエンジンと電気モーターの“ツインエンジン”で走行 このボルボのラインナップに新たに加わったのが、ステーションワゴンの「V60 T6 ツインエンジン AWD」です。
ボルボ「V60 T6 ツインエンジン AWD インスクリプション」内装 ツインエンジンと聞いて、「エンジンが2基積まれているの?」と思った方は、半分正解で半分不正解です。
というのも、エンジンが2基積まれているのは事実ですが、そのうちの1基は通常のガソリンエンジンで、もう1基は電気モーターだからです。
電気モーターは大きな力を生み出すものだから、ボルボではこれまでの慣習にしたがって“エンジン”と呼んでいます。ガソリンエンジンで前輪、モーターで後輪を駆動するAWD(All-Wheel Drive)というわけです。
ボルボはこのふたつのエンジンを使ってプラグインハイブリッド(PHEV)を構築しました。ガソリンエンジンと電気モーターのふたつを搭載しているPHEVは、ガソリンエンジンを積んだ通常のクルマのようにも、電気モーターの力で走る電気自動車(EV)のようにも使えます。
EVのデメリットは1回の充電で走れる距離が短いことだといわれますが、PHEVはガソリンエンジンで通常のクルマのように走行できるので、ロングドライブも問題ありません。その一方で、EVのようにも使えるので、静かでクリーンです。
しかも、V60 T6 ツインエンジン AWDは、1回の充電で46.2km(カタログ値)の走行が可能で、普段は近所の買い物や家族の送り迎えに使うだけという方であればガソリンスタンドにまったく行かず、充電だけでこと足りるケースも少なくないはず。しかも、電気で走ったほうがガソリンで走るよりも割安になることもあります。
また、これまでのプラグインハイブリッド車は値段が高いということもありました。V60にラインナップされていた上級モデルの「T8 ツインエンジン AWD インスクリプション」は、829万円というなかなか高額な価格がついています。
ところが、今回新たに登場したT6 ツインエンジン AWDは、いちばんお買い得な「モーメンタム」の価格は659万円です。しかも、最大で45万5000円のエコカー減税や補助金を受けられるので、ガソリンエンジンの「V60 T5」とさほど変わらない価格で手に入るのも魅力のひとつです。
高速道路でのクルージングで際立つボルボの安全技術 そんなV60 T6 ツインエンジン AWDに試乗しました。
ボルボ「V60 T6 ツインエンジン AWD インスクリプション」 新世代ボルボの外観は格好いいのですが、乗ると足回りが少し硬い印象がありました。ところが、V60以降はこの点が改良され、足回りの動きがだいぶしなやかになりました。これだったら家族から苦情が出ることもおそらくないでしょう。
V60 T6 ツインエンジン AWDの走りはなかなか活発です。エンジンとモーターをあわせた最高出力は340馬力で、モーターは低回転域でも瞬時にパワーを生み出すため、市街地や高速道路を走っているときのレスポンスは良好でストレスを感じません。
また、ボルボのもうひとつの魅力が安全性の高さです。これは、いまでは当たり前になった3点式シートベルトを初めて採用した自動車メーカーが、ボルボだったということからもわかります。
ボルボの安全思想に基づき、最新モデルではレーダーやカメラといったセンサーを駆使してクルマの周囲を監視。事故が起きそうになると警告を発したり、自動的にブレーキをかけたりして最悪の事態を回避しようとします。
この種の安全技術が際立つのが、高速道路でのクルージングです。
最新のボルボは、スイッチひとつで先行車両と一定の車間距離を保ちながら速度を自動コントロールして前車を追従。車線を読み取ってハンドル操作をアシストすることもできるほか、渋滞時のストップ&ゴーにも対応しているので、いちいちブレーキを踏んだりアクセルを踏んだりする必要がありません。
もちろん、最近はライバル車の多くもこうした機能を搭載していますが、これらの技術をいち早く採用した自動車メーカーのひとつがボルボでした。
※ ※ ※
控えめで美しいエクステリアデザインと心安らぐインテリア。しかも走りがよくて安全性も高く、環境にも優しい。おまけに価格もお買い得なのですから、V60 T6 ツインエンジン AWDの登場でボルボのPHEVがぐんと身近な存在になったといっていいでしょう。
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