Ferrari GTC4 Lusso T
フェラーリ GTC4 ルッソT
荒 聖治が挑むスーパースポーツのウインタードライブ! :フェラーリ GTC4 ルッソT編【Playback GENROQ 2020】
冬を楽しめ:パート1
普通のドライバーなら雪が降ればクルマをしまい込み、滑りやすい危険な雪道には絶対に近寄らないのは当然のことである。それでもやはり我々は、冬になると雪道を求めて走り出してしまう。クローズドコースを借り切って、奥底に眠る本来の性能を確かめよう。ステアリングを握るのはレーシングドライバー、荒 聖治である。
本稿ではスーパースポーツ編としてフェラーリ GTC4 ルッソTを試乗したが、パート2ではスーパーSUVのマセラティ レヴァンテ トロフェオ、ライトウェイトモデルのアルピーヌ A110、ホットハッチのルノー メガーヌ R.S. トロフィーを取りあげる。
フェラーリ GTC4 ルッソにはAWDのルッソとRWDのルッソTが存在するのはご存知の通り。今回我々は、あえて後者のRWDを雪上で走らせた。ルッソTの意外な走行性能をありのままレポートする。圧雪路なら正確にラインに乗せられる──まさに自由自在なパワースライドができのだ。
「スロットル操作に対しての反応やパワー感が、上手くセッティングされている」
冬の中央道をエレガントなデザインの4シーター、フェラーリ GTC4 ルッソTで走る。一般道や高速道路でもイメージ以上に滑らかな走りを味わえるが、それは装着しているタイヤがウインタータイヤだからだろう。ソフトなコンパウンドの影響か、走行中のタイヤからステアリングに伝わる路面のざらつきやノイズが少ない。高級感のあるインテリアと相まって、高い質感を感じさせる意外な効果もあった。
この朝、外気温はマイナス9度でタイヤ温度もマイナスの表示だった。サマータイヤでは低温時のグリップが低いので、慎重なドライビングをしなければならないと心に刻み、テストコースを目指して出発した。GTC4 ルッソにはV12を搭載するAWDと、V8ツインターボを搭載するRWDの2種類あるが、今回試乗したのは最高出力610psを発揮する後者のルッソTだ。スロットルを踏み込めば、どの回転域からでも豊かなトルクが感じられる。ターボラグをほとんど感じさせず、スロットル操作に対しての反応やパワー感が、上手くセッティングされている印象だ。
「軽量とはいえない車重だが、乗りにくさなども感じなかった」
ウインタータイヤというとトレッドパターンやブロック剛性からグニャっとしたタイヤを想像するが、このピレリ・ソットゼロ3はフラつきが少なかった。高速道路のコーナーでも安定している。懸念された低温時のグリップも十分で、路面温度が低くても安心して走れた。ちなみに走行開始30分で、タイヤ温度は15~20度ぐらいになっていた。
乾燥したワインディングでは、ステアリング操作に対してしっかりと旋回してくれる感じがあった。リヤタイヤのグリップ感がしっかりとある中で、ステアリング操作に応えて良く曲がる印象だ。後輪操舵の効果もあるだろうが、安定感がありつつも、しっかり曲がり、軽量とはいえない車重だが、乗りにくさなども感じなかった。
「雪上では先を予測した堅実な走りが必要で気を抜く事はできない」
とはいえ雪道では慎重な運転が求められるのは当然のこと。クローズドされたテストコースに乗り入れて、まずはマネッティーノをコンフォートモードのままスタートしてみる。トラクションコントロールに任せてアクセルを踏み込むと、不安定な挙動を見せずに加速できる。路面が圧雪ならクルマの挙動も穏やかで、わずかにスライドを感じながらスムーズにドライビングできる。
しかしアイスバーンの場所や轍の影響を受けて挙動が乱れてしまうと、クルマはステアリングの修正が必要になるまで一気に滑ってしまう。特にアイスバーンでは一気にグリップを失うので注意が必要だ。ウインタータイヤが苦手なアイスバーンでは、静かに操作すれば走る・曲がる・止まるができるレベルにはあるが、停止した状態からの再スタートでは、動き出せるのか毎回不安になった。やはり、雪や氷上ではスタッドレスタイヤと同じレベルのグリップを得るのは難しい。雪が上に乗って一見圧雪路面に見えるコンディションでも、ひと皮むけばその下がアイスバーンだということもある。コンフォートモードは楽しく安全に走れるが、先を予測した堅実な走りが必要で気を抜く事はできない。
「とにかく自由自在にパワースライドできる」
スノーモードとウェットモードを試すと、トラクションコントロールがかなり利いて安全志向が高まる。これではクルマの本質が読みにくいし楽しめないので、すぐにスポーツモードに切り替える。トラクションコントロールに頼りつつも、クルマをスライドさせながら走行できる。一気に大きくスライドさせずに、綺麗にスライドさせれば、ESCの極端な介入もなく楽しく走れた。トラクションコントロールというのは、高性能なら雪道でもしっかりと機能するのだ。スポーツモードが好印象だったのに気をよくして、そのままESCオフで走行する。電子デバイスをオフにすると、クルマの特性が変わってしまうクルマも少なくないが、このルッソは、コーナリング時のバランスも含めて印象が変わることなく、とても乗りやすい印象のままだ。
ブレーキ時の安定性、ステアリング操作に対して素直に旋回していく特性、このあたりは乾燥舗装路で感じた印象と同じだ。路面が圧雪なら良く曲がるので、狙った走行ラインに正確に乗せられる。リヤがスライドしても、一気にグリップを失って唐突に横を向くことはなく、マイルドな感じでコントロールの幅がある。これはルッソがフロントエンジンにもかかわらず46対54というリヤ寄りの前後重量配分の効果か、あるいはホイールベースの長さによるものか。とにかく自由自在にパワースライドできる。もちろんEデフや後輪操舵のアシストもハンドリングに貢献しているだろう。もしも、路面に合ったタイヤを装着していれば、さらにプッシュできるのは確実だ。
「高いレベルで磨き上げた制御は雪のコンディションでも良いというのは新しい発見」
シートは見た目よりもソフトでしっかりカラダをホールドしてくれる。カラダとシートの隙間が少なく、快適にドライビングできる。ヨーロッパ人と比べてお尻が小さい日本人の体型でも、座面とシートバック共にきちんとフィットしている。きちんと操作できるドライビングポジションに調整できるだけでなく、コンフォートな乗り味にも大きく貢献している。3段階で調整できるシートヒーターも雪道では嬉しい装備だ。マイナス10度前後でも凍えることなく走り始められた。
サスペンションは総じて路面からゴツゴツと突き上げる感覚が少なく、しなやかに路面を追従し、好印象だった。路面のウネリや勾配が変化して、サスペンションが大きくストロークした時もダンパーが心地良い速度でコントロールされ、自然に吸収してくれる。このサスペンションの味付けのお陰で、フラットで上下動の少ない乗り味に仕上げられている。長距離のドライブでも疲労は最小限に抑えられるだろう。
雪上でドリフトさせても抜群のコントロール性を持つだけでなく、快適な移動という部分では最高のパフォーマンスを持っているルッソ。マネッティーノは場面に合わせてトラクションコントロールやESCを調整できる機能だと思っていたが、高いレベルで磨き上げた制御は雪のコンディションでも良いというのは新しい発見だ。想像をはるかに超える良い出来だ。
REPORT/荒 聖治(Seiji ARA)
PHOTO/平野 陽(Akio HIRANO)
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