「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、BMW 6シリーズ カブリオレだ。
BMW 6シリーズ カブリオレ(2011年:フルモデルチェンジ)
BMWの美しいクーペ、6シリーズが3代目にフルモデルチェンジされ、まずはカブリオレから発表された。日本でも2月24日(編集部註:2011年)に受注開始が発表されたが、先行して南アフリカのケープタウンで行われた試乗会のレポートをお届けしよう。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
BMWに限らず多くのメーカーでは、クーペを先に発表して、あとからカブリオレを追加するというのが常識だったが、今回は逆だ。BMWのデザイナーのナデル・ファギザデー氏は「カブリオレにとって良い時期をお客さまに長く楽しんでいただくため早く出した」というが、エンジニア的にはあとから屋根を付けた方が両方しっかりしたボディが造れるからだという。
まあ、どちらにしても6シリーズはカッコ良さが命のクルマ。じっくりと見回すと実に手の込んだデザインでジワジワとカッコ良さが伝わってくる。流れる水のイメージと説明してくれたが、それは実車を見ると理解できる。
キドニーグリルはボンネットが長く見えるように垂直に立ちエレガントさを強調。対照的にライトカバーは大きく傾斜してスポーティさを醸し出す。傾斜したライトカバーはそのままでは前に伸び過ぎて衝突安全性で問題となるため、カバーの下部にはトリックのような凹みがある。
南アフリカのケープタウンで開催された国際試乗会では、日本と同じ右ハンドル左側通行で2日間に渡りドライブすることができた。今回試乗したのは、V8ツインターボの650i。
カッコだけでなく走りも十分以上に満足できるものだった
まずはオープンで走りだす。市街地・高速・山道でもAピラーがブルブルすることなく、しっかりしたボディ剛性を感じた。ねじれ剛性は50%向上している。クローズドにしても乗ったが、ボディ剛性には差を感じないほどオープンでもしっかりしていた。
6シリーズカブリオレはエレガントさを狙ってかソフトトップを継承している。車速が40km/h以下なら、走行中でもソフトトップの開閉ができる。クローズは24秒、オープンは19秒とけっこう速い。
一番感心したのは新設計のフロントシート。その座り心地、お尻と背中のフィット感、長時間ドライブでの疲れのなさなど、これまでのBMWのシートでベストといえる。スポーツシートでなくても十分にスポーツドライビングが可能だ。
ワインディングロードでは600Nmのトルクを使いこなして走れるだけの脚を持っていることを確認した。コーナーのターンインではハンドル角に正確にノーズを内側に曲げてくれるから、思いどおりのライントレースが可能だ。アクセルペダルを踏み込んでいくと、前後のタイヤの絶妙なバランスでコーナーを脱出していくのが気持ち良い。
電動パワーステアリングはちょっと軽めだが、切り始めも切り込んでからもとても自然なフィールで良かった。カブリオレの走りを堪能したら、秋にデビューするというクーペがますます楽しみになってきた。
■BMW 650iカブリオレ(日本仕様) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4895×1895×1365mm
●ホイールベース:2855mm
●車両重量:2050kg
●エンジン種類:V8 DOHCツインターボ
●排気量:4394cc
●最高出力:300kW<407ps>/5500rpm
●最大トルク:600Nm<61.2kgm>/1750-4500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FR
●JC08モード燃費:7.7km/L
●タイヤ:前245/40R19、後275/35R19
●当時の車両価格(税込):1330万円
[ アルバム : BMW 650iカブリオレ はオリジナルサイトでご覧ください ]
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