独自性を大切にするラグジュアリーブランドが何より重視するのは、カスタマーの満足度だ。自分にとっての特別な存在、それを実現させる楽しみ方のひとつが個性的なパッケージ仕様の設定である。(Motor Magazine2021年9月号より)
カスタマイズプログラム「アドペルソナム」
ラグジュアリーブランドの間では、ビスポークやパーソナライゼーションと呼ばれるカスタマイゼーションプログラムが花盛りだ。戦前の高級車も、オーナーがボディをオーダーして1台のクルマとして完成させるのが一般的だったから、自分好みにクルマを仕立て上げるカスタマイゼーションはラグジュアリーカーの楽しみ方として正統なものといえる。
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考えてみれば、スーツだろうと靴だろうと、さらにいえば家さえも、高級なものは自分の好みにあわせてアレンジすることが多い。そこには「自分の好みを製品に反映させることで、より深い愛着を味わいたい」という思いや「せっかく高価なものを買うのだから、人とは違う、自分だけのものに仕立てたい」という願いが込められているのかもしれない。
ランボルギーニ社も「アドペルソナム」と呼ばれるカスタマイゼーションプログラムを用意しており、希望すればイタリア サンタガータ ボロネーゼの本社内に用意されたアドペルソナムスタジオで、自分だけのランボルギーニ車を作り上げることが可能。
ここにはインテリアに用いる素材をはじめとしてボディカラーのサンプル、特別なデザインのシートやホイールなどが展示されていて、アドペルソナム専任スタッフとともに、無数ともいえる選択肢のなかから自分が理想とするランボルギーニを生み出すことができる。
もっとも、そこまで本格的なカスタマイゼーションでなくとも、自分好みの個性的なランボルギーニウルスが欲しいとお望みの方々にお勧めなのが、ここで紹介するパッケージオプションのグラファイトカプセルである。
パッケージの巧みな設定で独自のカスタマイズを実現
2020年に登場したパールカプセルがパール系の外装色をベースとしていたのに対して、グラファイトカプセルは「グラファイト=石墨、黒鉛」が意味するとおりマット系のボディカラーを採用しているのが特徴だ。ビアンコモノセルス(ホワイト)、ネロノクティス(ブラック)、グリージャニンバス(グレー)、グリージャケレス(ダークグレー)の計4色を用意。豊かな艶を持つボディカラーも魅力的だが、マットな無彩色に塗られたウルスもクールで迫力がある。
これらのボディカラーに差し色として計4色のアクセントカラー(オレンジ系が2色のほか、イエローとグリーン
)が設定されているので、ボディカラーとの順列組み合わせで16種類のグラファイトカプセルが誕生することになる。もともと希少なウルスで、さらにグラファイトカプセルをオーダーし、その組み合わせが自分と同じ誰かとすれ違うことは、確率的に相当に低い気がする。こんなところも、オーナーにとっては嬉しいポイントだろう。
内装に用いられるトリムは、やはり艶消し系グレーにアルマイト加工されたアルミ製フェイシア、それに同じくマット系で仕上げられたカーボンファイバー製インサートの組み合わせで、落ち着いた中にも、ほのかにスポーティさが感じられるインテリアだ。
また、外装色でチョイスしたアクセントカラーがインテリアでも反復されるのがグラファイトカプセルの特徴で、グリーン系のアクセントカラーを用いた試乗車は、大胆なことにさらなるオプションでステアリングホイールにも、鮮やかなグリーンのレザーが採用されていた。センターコンソールやドアトリムにもこのアクセントカラーがあしらわれており、ブラックがベースのキャビンに華やいだ雰囲気を与えていた。
試乗車が装着するシートベンチレーション付きのアルカンターラシートは、グラファイトカプセルとパールカプセルだけに設定されたオプション。ベンチレーション機能まで備えるのだから、スポーツドライビング派にはうってつけの装備といえるかもしれない。
滑らかで快適な足まわり。本来のスポーティさも健在
肝心のウルスだが、サスペンションの設定がデビュー当時から大きく変わっていることが印象的だった。試乗車も22インチの「超」大径のピレリPゼロタイヤを履いていたが、これが不思議なことに、路面からのゴツゴツ感がほぼシャットアウトされているのだ。しかも大きなうねりを乗り越えたときにもサスペンションがスムーズにストロークして、ボディをフラットな姿勢に保ち続ける。
この足まわりのしなやかさは、初期型ウルスには認められなかったものだ。ただし、いくら乗り心地が快適になっても、ウルス本来のスポーティな走りを忘れていないのも事実。先日、私はウルスで日本全国を巡る「アンロック エニィ ロードジャパン」というツアーに参加したが、この時に体験したスポーツランドSUGOでのサーキット走行では、初期型ウルスを彷彿とさせるシャープなハンドリングを再確認できた。また、ウルスで特徴的な「腰を深く沈めたかのようなロール感」も健在で、サーキットコーナリングでもまったく不安を覚えなかった。
もちろん650psと850Nmを叩き出す4L V8ツインターボエンジンは舌を巻くほどパワフルなうえに、低速域でも粘り強くて扱いやすい。そういえば、先日インタビューしたランボルギーニのステファン・ヴィンケルマンCEOは、このウルスも2023年ないし24年までにPHEV化すると語っていた。となると、ピュアエンジンのウルスを手に入れるなら、今がチャンスと言えるだろう。
(文:大谷達也/写真:小平 寛)
ランボルギーニ ウルス グラファイトカプセル主要諸元
●全長×全幅×全高:5112×2016×1638mm
●ホイールベース:3003mm
●車両重量:2350kg*
●エンジン:V8DOHCツインターボ
●総排気量:3996cc
●最高出力:478kW(650ps)/6000rpm
●最大トルク:850Nm/2250-4500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・85L
●WLTPモード燃費:7.8km/L
●タイヤサイズ:前285/35R23、後325/30R23
●車両価格(税込):0000万0000円
*取材者自動車検査証の記載値
もっとスペシャルに!のウルス パールカプセル
カラーリングの鮮烈さが特長
より特別な仕様のウルスを実現させるパッケージオプションとして、グラファイトカプセルに先行して発表されたのがパールカプセル。独特の輝きを見せる4層パールカラーが特徴。緑色の「ヴェルデマンティス」、オレンジ色の「アランチョボレアリス」、さらに黄色の「ジアッロインティ」を用意。コントラストカラーは、グロスブラックだ。
[ アルバム : ランボルギーニ ウルス グラファイトカプセル & パールカプセル はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
私はおそらく日本でオーダーした人がいないカラーにしました。