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フェラーリのV12 FRフラッグシップが最注目!「550バルケッタ」「スーパーアメリカ」「575M」のうち、約1億円で落札された跳ね馬は?

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フェラーリのV12 FRフラッグシップが最注目!「550バルケッタ」「スーパーアメリカ」「575M」のうち、約1億円で落札された跳ね馬は?

アメリカで人気のフェラーリが3台出品

2024年8月15日~17日にRMサザビーズがアメリカ・モントレーで開催したオークションにおいてフェラーリ「550バルケッタ ピニンファリーナ」、「スーパーアメリカ」、「575M マラネロ」が出品されました。今回はそのあらましと注目のオークション結果について、お伝えします。

世界に43台の跳ね馬登場! 予想落札価格が1億円のフェラーリ「スーパーアメリカ」のトピックはフィオラヴァンティの回転式ルーフでした

FRへと回帰した550マラネロ

「BB」世代、そして「テスタロッサ」世代へと継承されたフェラーリのV型12気筒ミッドシップの系譜は、「365GT4BB」から「F512M」まで、約23年間という期間で幕を閉じることになる。そしてフェラーリは1996年、その基本設計を再びFRへと回帰した新型車、「550マラネロ」をデビューさせることになるのだが、その発表時にこそ賛否両論が渦巻いた。

結果的にそれが最新のメカニズムによってV12ミッドシップの最終形であるF512Mよりも高い運動性能を発揮することが証明されると、550マラネロは瞬く間にフェラーリのプロダクションモデルにおける頂点として君臨する人気モデルとして語られる存在となったのである。

だがBB以前の12気筒フェラーリを知る者には、どうしてもフェラーリに復活を望みたいモデルがあった。それは「365GTB/4」、すなわち「デイトナ」をベースに少量生産されたのを最後に姿を消していた、12気筒のオープンモデルで、1950年代半ばに「250GT」で誕生し、1960年代には例のデイトナで強いインパクトを残したオープン仕様を現代に復活させたいという声は、FRに回帰した550マラネロが誕生してすぐ、フェラーリのもとに寄せられた。

グランドツーリングには最適な1台だった

550マラネロはフェラーリの期待どおりに、市場で大きな成功を収め、スーパースポーツとしての素晴らしいパフォーマンスはもちろんのこと、実用的なトランクルームや十分な余裕を持つキャビンは、再びフェラーリのカスタマーの間で人気となったグランドツーリングには最適なものだった。

その走りをオープンで楽しみたいという声はさらに高まり、フェラーリはついにデイトナがそうであったように550マラネロのオープン仕様たる「550バルケッタ ピニンファリーナ」を2000年のパリ・サロンで発表。トップは雨に降られた時に緊急用に使うことができるソフトトップのみを備え、100mm短く、急角度に傾斜したフロントガラス、2ピース構造のアルミホイール、レーシングシート、そしてクーペよりもさらに広いトランクルームを生み出すリアデッキなどが、そのおもな特徴だった。

フェラーリ「550バルケッタ ピニンファリーナ」

限定生産数はわずかに448台。そのうち127台は、今回RMサザビーズのモントレー・オークションに出品されたアメリカ仕様で、ハワイ、カリフォルニア、フロリダ、フィラデルフィアなどのオーナーに所有されたものの、走行距離はトータルで新車から5490kmを走行したのみ。

コンディションはまさにミントに近い1台だ。2024年7月にはフェラーリのディーラーで主要サービスも受けている。エスティメート(推定予想価格)は、40万ドル~50万ドル(邦貨換算約5920万円~7400万円)とした。実際の落札価格は54万4000ドル(邦貨換算約7957万円)これはRMサザビーズが事前に予想した落札価格を大きく超えるものだった。

フェラーリ「575M マラネロ」

550マラネロは2003年にビッグマイナーチェンジを受け、「575M マラネロ」へと進化する。今回のモントレー・オークションでは、この575M マラネロの出品もあったが、やはりこのモデルの最大の話題は、さらなるパフォーマンスを得るために、フロントのV型12気筒エンジンを、それまでの5Lから5.7Lに拡大し、550比で15psのエクストラを得た515ps仕様のパワーユニットを得たことだろう。

同時にトランスミッションでは従来の6速MTと2ペダルの6速セミATが設定されるようになったが、後者はロード用の12気筒モデルとしては初の試みだった。だが最近では3ペダルの6速MT仕様に人気が集まる傾向が強いようだが、実際に2056台がフェラーリで生産された575M マラネロの6速MT仕様はわずかに246台しかないというのが定説になっている。

今回の出品車はまさにこの246台のうちの1台だ。走行距離は1万5840kmと2003年という年式を考えれば少なく、ロッソ・コルサのクラシックな色合いと、美しいクリーム色のレザーインテリアは、現在でもじつに美しくラグジュアリーな雰囲気を醸し出している。

また保管されているウインドウステッカーの控えには、インテリアカーボントリム、デイトナ・スタイルのシート、フィオラノハンドリングパッケージ、スクーデリアシールド、レザー張りリアシェルフ、サブウーファー付きハイファイサウンドシステム、赤のステッチなど、数々の魅力的なオプションが記載され、それらはもちろん新車時のまま装備されている。

6速MT仕様という希少性も話題だったこの575M マラネロ。エスティメート(推定落札価格)は、35万ドル~40万ドル(邦貨換算約5180万円~5920万円)を掲げていたが、その落札価格は29万6500ドル(邦貨換算約4337万円)と、わずかにRMサザビーズの予想落札価格には届かなかった。しかしながら575M マラネロも、これからクラシケとしての公認が得られる年式となり、その値上がりも十分に予想できるところ。今後の動きには注意したいところだ。

フェラーリ「スーパーアメリカ」

RMサザビーズはさらに、2024年のモントレー・オークションにこの575M マラネロベースのオープン仕様、「スーパーアメリカ」も用意してみせた。スーパーアメリカは、575M マラネロをベースとして製作されたオープンモデルで、それは550マラネロに対する550バルケッタ ピニンファリーナの関係に等しい。

生産台数は559台とされたが、それには550バルケッタ ピニンファリーナには存在しなかった、実用的なルーフが備わっていたことが大きな理由であったとされる。ちなみにそのルーフは「レボクロミック回転式ハードトップ」と呼ばれるもので、システムは比較的単純なもの。Bピラー部の回転軸でハードトップを前後に回転させ、オープンスタイルとクローズスタイルを作り出すというものだ。

これはかつてピニンファリーナでチーフスタイリストを務めたレオナルド・フィオラバンティが特許を持つ技術であり、さらにスーパーアメリカの場合には、キャビンのダイヤルスイッチでガラスの透明度を調整することができた。ルーフの開閉に必要な時間はわずかに10秒。その実用性はじつに高かったのである。

出品車は2005年にマラネロで完成されると、すぐにアメリカへと出荷され、現在までに1万500kmの走行距離をオドメーターに刻むのみ。ミッションは人気の高い3ペダルの6速MTで、それも今後さらに評価を高めていく大きな理由となることだろう。エスティメート(推定落札価格)には、57万5000ドル~70万ドル(邦貨換算約8510万円~1億360万円)を掲げていたが、今回の落札価格は、RMサザビーズの予想落札価格の範囲内に収まる、66万5000ドル(邦貨換算約9726万円)。アメリカではやはりオープン・フェラーリの人気は圧倒的に高いようだ。

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