限定モデルで選ぶ、ジープ
text:Yasuhiro Ohto(大音安弘)
【画像】ラングラー/コンパス/チェロキー 限定モデル登場【細部まで見る】 全63枚
世界的なSUVブームの中で、四輪駆動車に特化したブランドとして存在感を示すのが、米国生まれのジープだ。その名が示すように原点は、軍用車両として誕生したジープにある。
その歴史は1941年に始まる。軍用の小型四輪駆動車として開発製造されたものだったが、第2次世界大戦後、軍用ジープの開発製造に大きく携わったウィリス・オーバーランド社の手により、民生向けのジープが市場に投入。
その後、ウィリス・オーバーランド社は買収され、その名を消すことになるが、ジープ名や思想はブランドとして受け継がれ、ジープらしい堅牢さや悪路走破性などを受け継ぎながら、乗用に適したワゴニアやチェロキーなどの車種が送り出されてきた。
その流れを最も強く受けるのが、ファッショニスタから本格派まで幅広く支持を受けるラングラーだ。
この他にも最新のジープ・ラインナップには、街乗りメインの小型車からスポーティなモデルなど多彩なSUVを揃えているが、全てに共通するアイコンとなっているのが、7つの縦格子デザインのグリルである。
これは初期のジープから受け継がれるデザインであり、特に丸目ライトが採用されるラングラーは、その面影を強く受け継いでいる。
そんなジープは、2021年で軍用ジープ誕生から80周年を迎える。
80周年記念限定車とは
ジープのインポーターであるFCAジャパンは、来年上半期に80周年記念限定車を導入予定だ。
車種は、レネゲード、ラングラー(3ドア仕様)、ラングラー・アンリミテッド(5ドア仕様)、チェロキーの4車種となる。
80周年記念限定車の特徴の1つがボディカラーで、テーマカラーとなる「グラナイトクリスタル」に加え、4車種ぞれぞれの人気ボディカラーが用意されるという。
この人気色の選定のために、投票キャンペーンを実施。2週間で約4万件の投票が集まったという。
具体的な色を紹介すると、レネゲートでは、「スティングレー」「カーボンブラックメタリック」「ビキニメタリック」の3色。
ラングラーでは、「サージグリーン」。ラングラー・アンリミテッドでは、「サージグリーン」「スナッズベリー」「ブラック」の3色。
チェロキーでは、「ライトブラウンストーン」「ダイヤモンドブラック」の2色となる。
それぞれ現在のカタログモデルでは、選択できない個性的なカラーが揃う。現状、内外装がどのような仕様となるのかは、まだ明かされておらず、どのようなサプライズが待ち受けているかも楽しみだ。
ジープの限定車は、これだけではない。
ラングラー限定車 サージグリーン
多くのジープファンの心は、80周年となる2021年に向けられているかもしれないが、今年最後のジープからのプレゼントとして特別な限定車たちが送り出されたことも見過ごしてはならない。
80周年の前祝ともいえそうな限定車が、ジープ・ラングラー向けの「サージグリーン」だ。2020年12月7日に300台限定で発売されたばかりだ。
最大の特徴は、「サージグリーン」のボディカラーにある。
この限定車は、ブランドルーツである「ミリタリー」をテーマとしたもの。
そのボディカラーは、軍用車として開発された「ウィリスMB」を彷彿させる色となっている。そのワイルドな雰囲気が好評なようで、上記の80周年記念車にも採用される予定だ。
ベースとなるのは、いずれも5ドア・ボディの3.6Lエンジン車である「サハラ」と「ルビコン」。特別装備として、フロント部に落下傘を使うアーミーが描かれた「パラシュートマンフェンダーステッカー」と、後部にウィリスMBがデザインに取り入れられた「Willys(ウィリス)スペアタイヤソフトカバー」が装着される。
価格は、アンリミテッド・サハラ・サージグリーンが595万円。アンリミテッド・ルビコン・サージグリーンが631万円となる。
続いて、チェロキーとコンパスに設定された「Sモデル」について見ていこう。
限定車 チェロキーSモデル
ミリタリー調から一変し、都会派スタイルの限定車も投入される。
それが2020年12月1日に発表された「Sモデル」で、ミッドサイズSUV「チェロキー」とコンパクトSUV「コンパス」に設定される。
ブラックの内外装に、グラナイトのアクセントと加えたスポーティかつ上質さを高めた都会的なコーディネートが特徴となる。
それぞれベース車には、充実装備を誇る上級グレード「リミテッド」を採用しており、レザーシートが標準となるなど街乗り中心のユーザーにも最適な仕様だ。
特別仕様の内容はそれぞれ少し異なる。
チェロキーは、エクステリアが中心。ダイヤモンドブラック クリスタルのボディに、グラナイトクリスタルフロントグリル、グラナイトアクセント付きのボディ同色フロントバンパー、ボディ同色のフロントフェイシアとホイールフレア、グラナイトクリスタル/グロスブラックアクセント付きのリアフェイシア、ダークグレールーフレール、専用のSバッチを含むグラナイトエクステリアバッチなどを特別装備。
足元を引き締めるアルミホイールは、グラナイトカラーの19インチ仕様にインチアップ。ブラック基調のインテリアには、アノダイズドガンメタルインテリアアクセントが取り入れられた。
メカニズムは、ベースのリミテッドと共通で、2.0Lターボエンジンに9速ATを組み合わせた4WD仕様となる。
チェロキーSモデルの価格は519万円。限定台数は100台だ。
限定車 コンパスSモデル
一方のコンパスSモデルでは、ブリリアントブラッククリスタルのボディに、ブラックフロントグリル、グラナイト仕上げのフォルランプベゼルとウィンドウモールディング、ダークグレールーフレールを装着。
さらにSモデル専用バッチを含めたエンブレム類もグラナイト仕様に。
足元のアルミホイールは、インチアップされているが、チェロキーとは異なるデザインの19インチ・ホイールが装着される。
インテリアでは、インフォテイメント周囲を飾るガンメタルインテリアアクセントやグレーステッチ、裏表で生地が異なるリバーシブルカーゴマットなどが装備されている。
メカニズムは、ベース車共通となり、自然吸気仕様の2.4Lエンジンに9速ATを組み合わせた4WD車となる。
コンパスSモデルの価格は439万円。限定台数は、こちらも100台だ。
他業種同様に、新型コロナウィルス流行による影響を受けた自動車業界だが、FCAジャパンでは、ジープ、フィアット、アバルト、アルファ・ロメオの4ブランドの月販台数が、10月と11月の2か月連続で単月での販売台数が過去最高を記録するなど、いち早く回復を見せる。
その牽引役となっているのが、ジープだ。FCAジャパン全体の11月の販売台数では、全ブランドが対前年比を上回ったが、そのうち約58%を占めるのがジープで、前年比+28%となる1272台を記録している。
80周年を迎える2021年は、特別仕様車の投入に加え、魅力的なプランも予想できるだけに、来年はさらなる飛躍の年となるかもしれない。
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