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キャデラックCT5──“アメ車嫌いにつけるクスリ”

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キャデラックCT5──“アメ車嫌いにつけるクスリ”

アメリカンラグジュアリーブランドのキャデラックで唯一、国内販売されているセダンがCT5。最先端のインフォテインメントシステムや運転支援システムが充実、環境性能も良好な“現代のアメ車”は、アメ車に昔ながらのイメージをお持ちの方にこそ試乗してみて欲しい1台だ。

GAFAの国のクルマらしく、インフォテインメントシステムも最先端

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キャデラックの新型セダン「CT5」の国内導入が開始された。キャデラックといえば大統領専用車にも採用されるアメリカ車の最高級ブランドだが、近年はSUVラインアップの充実を図る一方でセダンは減少傾向にあり、日本で販売されるのはこのCT5のみだ(本国には1クラス下のCT4もある)。

CT5のボディサイズは全長4925mm×全幅1895mm×全高1445mm、ホイールベース2935mm。主たるライバルはメルセデス・ベンツ EクラスやBMW 5シリーズ、アウディA6といったジャーマンプレミアムだ。

フロントヘッドライトには最新キャデラックのアイコンデザインといえる縦長のLEDデイライトを配置。スタイリングは、フロントのオーバーハングをぎりぎりまで切り詰め、ホイールベースを長くとり、低く構えた近未来的なもの。3ボックスのセダンながら、ルーフラインをトランクリッドまでなだらかにつないだファストバックスタイルが特徴だ。

インテリアは、運転席の目の前には12インチのデジタルメーターディスプレイを、ダッシュボード中央には高精細な10インチのタッチディスプレイを配置。ヘッドアップディスプレイも標準装備する。すべての操作機能をディスプレイに収めると、デザインはシンプルになるものの使いづらい場面もある。そのあたりの配慮が行き届いており、エアコンの調整など日常的に使用頻度の高い機能については、物理スイッチを設けて操作性を高めている。

キャデラックにそういうイメージを抱いている人は多くないかもしれないが、GAFAの国のクルマだけあって、インフォテインメントシステムは最先端のものだ。オーディオメーカーのBOSEと共同開発で専用設計のサウンドシステムを世界で初めて搭載し、Apple Car PlayやAndroid Autoといったスマートフォンとの連携機能などもいちはやく採用してきたブランドである。このCT5では、ナビゲーションは、通信機能をもったクラウドストリーミングナビを標準装備し、常に最新の地図を利用することができる。スマートフォン連携機能はもちろんセンターコンソールには15Wに高出力化されたワイヤレスチャージャーを装備。15スピーカーのBOSEサラウンドサウンドシステムは、ヘッドフォンなどでもおなじみのノイズキャンセレーション機能を備え、さらに遮音対策を施したアコースティックラミネートガラスを採用するなど、没入感をあじわえる音響空間を作り出している。

パワートレインは、最高出力240ps、最大トルク350Nmを発揮する2リッター4気筒ターボエンジンを搭載。このクラスではもっとも多段の10速オートマティックトランスミッションを組み合わせている。ワイドなレンジをカバーし、1500rpmで最大トルクを発生するだけあって、2リッターエンジンでもパワー不足を感じるようなシーンはない。また、高速巡航時などの低負荷時には2気筒を休止するアクティブフューエルマネジメントを備えたことで、より燃費性能を高めている。

先進装備充実でリーズナブル、後は左ハンドルが受け入れられるか

駆動方式はグレードによって異なり、エントリーモデルの「プラチナム」がFRの2輪駆動、上級グレードの「スポーツ」が4WDになる。タイヤサイズは前者が245/45R18、後者が245/40R19と1インチサイズアップとなる。4WDシステムは、「ツアー」では前後40:60とスタビリティ重視に、「スポーツ」では20:80とハンドリング性能を高め、「アイス&スノー」では50:50と、選択したモードにあわせて前後駆動力配分を最適化してくれるものだ。試乗車は18インチのプラチナムだったが、4WDのスポーツよりも車両重量が80kg軽いこともあって、FRらしい軽快なハンドリングが印象的だった。

ドライブモードは、標準モードの「ツアー」をはじめ、「スポーツ」、滑りやすい路面に対応する「アイス&スノー」の3モードに加えて、スロットルやシフトプログラム、ステアリング、そしてエグゾーストサウンドを個別に設定可能な「マイモード」も選択可能。今回は試せなかったが、ブレーキフィーリングも設定メニューに含まれていた。

ADAS(先進運転支援システム)ももちろん充実。アダプティブクルーズコントロールや歩行者対応のフロントブレーキをはじめ、後進時にも衝突の危険を感知すると自動ブレーキが作動。駐車時はディスプレイに鳥瞰したような360度の映像を映し出す。また、キャデラックが特許を持つ機能として、運転席はセーフティアラートシートになっている。これは、各種セーフティシステムからの警告、たとえばサイドブラインドゾーンアラートを、警告灯とともにシートクッションに内蔵されたバイブレーターによってドライバーに瞬時に伝えるというものだ。

しかし、ここに挙げたほとんどの装備が標準ながら、プラチナムで560万円、スポーツで620万円という価格設定はそうとうにリーズナブルだと思う。スポーティなハンドリング性能も、ジャーマンプレミアムに比肩するもので、装備レベルでも、環境性能も、安全装備面でも、まったく見劣りしない。惜しむらくは、右ハンドルの設定がないこと。ただし、ジャーマンプレミアムでも高価格帯モデルでしか左ハンドルの設定がなくなりつつあるいま、左ハンドルなら歩道側で乗り降りできるし、歩道を歩く歩行者や自転車のことも認識しやすく巻き込みを防ぎやすいと、ポジティブにとらえられる人にとっては、悪くない選択だと思う。

もしかして、外国車好きで左ハンドル好きの御仁には、アメリカ車は大きくて、ダルで、燃費が悪いなんていう固定観念をお持ちの方がおられるかもしれない。でも、そうした人にこそ、とりあえずCT5に試乗してみることをおすすめする。まさしく“アメ車嫌いにつけるクスリ”になるに違いない。

文・藤野太一 写真・河野敦樹、GMジャパン 編集・iconic

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  • アメ車が嫌いなのじゃなくて、左側通行なのに左ハンドルで運転するのが大嫌いです
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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