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2018年型ポルシェ・カイエン バルセロナでプロトタイプ3グレード試乗

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2018年型ポルシェ・カイエン バルセロナでプロトタイプ3グレード試乗

もくじ

ープロトタイプ 運転できるのは稀
ーエンジンのヒントはパナメーラから
ー初の「MLB」ショートホイールベース版
ーカイエンSプロトタイプの印象は?
ー素のカイエンがしっくりくる理由

ポルシェ・マカン、エンジン変更へ 2.9? V6新採用か 2018年型

プロトタイプ 運転できるのは稀

今回、ポルシェは神経を尖らせていた。これまでも、開発途上のプロトタイプにジャーナリストを乗せることはあったが、あくまでもテストドライバーの運転による同乗走行に限っていた。

たとえ運転席に座ることが許されても、軽く動かす程度で、市販車のように思いのまま走らせることはまず許されない。

それでも、次期911を助手席で体験できるといわれれば、その短時間の機会を求め、はるかケープタウンを目指す連夜のフライトに耐えたものだ。

それに比べれば、今回は実り多い旅となる。場所はそう遠くないバルセロナで、何時間もクルマに乗ることができる。

そして何より大事なのは、そのほとんどの間、自らステアリングホイールを握れること。しかも、クルマは正式発表前のポルシェ・カイエンなのだ。

ポルシェが神経質になっているのも無理からぬことで、それゆえに3代目カイエンについてここで語れることは多くない。

あるエンジニアに、ハイブリッド仕様はどうなるのか尋ねたが、間をおかずに返ってきた答えはこの上なくシンプルだった。

いわく「答えられません」。

まぁ、それでも新型カイエンについて予測できることは多いだろうから、そうした内容については簡単に触れるにとどめよう。

エンジンのヒントはパナメーラから

まず、ベースとなるプラットフォームは、フォルクスワーゲン・グループの「MLB」。アウディQ7やベントレー・ベンテイガで採用済みのそれは、ランボルギーニ・ウルスにも用いられる予定だ。

つぎにエンジン。概ね現行パナメーラと同様のラインナップになる見込みで、ベースグレードには340ps、Sグレードには440psのV6、ターボには547psの4.0ℓV8ツインターボをそれぞれ搭載。

ディーゼルの設定については全く言及されていないが、アウディ製のV6とV8が用意されるのはまず間違いない。

V8ディーゼルは、Q7やベンテイガと同じく電動コンプレッサー式過給機を装着する見込みだが、これはパナメーラには導入されていない。

そして、ポルシェがいかにとぼけようと、ハイブリッドはもちろんある。

ベーシックなモデルは、カイエンSの2.9ℓV6をベースとした462ps仕様、ハイブリッドSはターボの過給V8にモーターを組み合わせ、怒涛の680psを叩き出す凶暴なシロモノになると予想される。

これらの数字はパナメーラからの推測で、ポルシェの言質を取ったわけではないが、逆にカイエン用とパナメーラ用のパワートレインが大きく異なるという示唆もまたなかった。

では乗ってみよう。

初の「MLB」ショートホイールベース版

スペインの試乗会場には、ガソリンエンジン仕様の全バリエーションが集められたが、試乗できたのは2種のV6のみだった。V8ターボがV6モデルほどの完成度ではなかったことが理由だ。

ちなみに、市販化への承認を得るため2週間にわたって実施されていたテストにわれわれが便乗したというのが実際のところ。

これは欧州中で容赦ないテストドライブを行い、極めて些細な点に至るまでトラブルを洗い出すのが目的だ。

先に述べたように、インテリアのデザインについて語れることは多くない。しかし、新型パナメーラから予想できるような勘の持ち主ならば驚くことはないだろう、というくらいは言ってもいいだろう。

コマンドポジションとは異なる、どちらかというとスポーツ走行寄りのドライビングポジションは、既存のカイエンと何ら変わらない。

ルーフラインは低くなったが、乗員スペースに大きな変化はなく、ラゲッジスペースもやはり大きい。

Q7やベンテイガよりは小さく見えるが、それはスロープしたルーフだけが理由ではなく、実際に寸法が小さい。というのも、MLBプラットフォームのショート版を採用する初めてのモデルだからだ。

兄弟車に比べ、ホイールベースが100mm短いのである。SUV開発の責任者であるオリバー・ラクアは語る。「これによりクルマは軽く、スポーティで俊敏になります。ポルシェにとって重要なことですね」

ロングホイールベースの7シーターが追加されることはあるのか尋ねてみたが、それはきっぱりと否定された。

カイエン・ターボについては、ほんのわずかな時間の同乗走行のみだったので、報告できるのは怪物的な加速と魅惑の乗り心地を併せ持ち、エンジン音はやや抑えめだったことくらい。そののち、乗り込んだのはカイエンSの運転席だ。

カイエンSプロトタイプの印象は?

搭載される2.9ℓV6ターボの高出力版は、ポルシェが採用する中では最新のエンジン。試乗車にはオプションのエアスプリングと「PASM」アクティブダンパーが装備されていた。

パワーユニットは、大型SUV用としては及第点といったところで、それ以上のものではない印象。この手のクルマが全てそうであるように、ディーゼルに打ち勝つことが何より必要だという視点で仕立てられたエンジンであるように感じられる。

それを実現するのはなかなか骨の折れることだろうが、このクルマには明らかな利点もある。アルミ部材を多用した構造部により、新型カイエンSの車輛重量は、出力が同程度の旧カイエンGTSより60kgほど軽量なのだ。

0-100km/hのタイムは5秒以下で、2トン級のSUVとしてはかなり速い。だが、そのサイズや重量を考えれば、もっと驚くべきはチャレンジングな道を走破する能力だ。

ポルシェは意図的にアウディやベントレーとは異なる手段をとり、センターデフをトルセン式ではなく独自のクラッチ式とした。

その方が作動が早く、結果としてニュートラルなハンドリングを生むというが、それは試乗でも確認できた。

実際、クイックなカーブにこの手のクルマとしてはまっとうではないスピードで飛び込んでも、なんとかして曲がってしまうのだ。

もちろんマカンほど俊敏ではないが、それは当然のこと。なにより喜ばしい発見だったのは、電動パワーステアリングが、少なくとも旧型の油圧式程度にはリニアで、正確さは増していたこと。

逆に残念だったのは、楽しさよりスムーズさの方が際立っていたことだ。もっとも、これはケイマンGT4のようなクルマではないし、それを踏まえて過度の期待をするべきではないのだが、どんなにスポーティさと縁遠くてもポルシェはポルシェだった。

高望みはしないよう、自分に言い聞かせて乗り換えた素のカイエンは、ドライバーに一層の努力を強いるものの、走り出すやいなや、しっくりくる感触が得られたのだった。

素のカイエンがしっくりくる理由

素のカイエンがしっくりくる理由は、かんたんに見つかった。標準装備の、金属スプリングとパッシブダンパーだ。

乗り心地は、長距離を走ればトリッキーなアイテムを備えるSの方がありがたいと思うかもしれないが、スタンダードな脚回りでもそれは上々で、しかもエアスプリングによって失われたフィールやフィードバックが健在なのである。

より運転に熱中でき、走る楽しみがあり、路面を把握しやすいのは、間違いなくこちらだ。SUVであろうと、はっきりとポルシェだといえる。

英国におけるガソリン車のベーシックグレードは、先代では受注販売だったが、今回もポルシェはその導入についてはっきりとした決定をしていないのだとか。

いずれにしろ、今回の3グレードでエアサスペンションが標準装備されるのはターボのみとなるはず。V6モデルに、リムジンのような乗り心地ではなく、ポルシェらしいハンドリングを求めるなら、オプションとなるそれのコストを節約することだ。

言うまでもなく、量産版での全面的な試乗評価をすれば、もっと見えてくるものはあるだろうが、現時点でわかるのは、この手のクルマでありがちな革新的変化はないが、有効という以上の改良が施されているということ。

やはり、フルサイズのSUVでも走りをあきらめられないというユーザーには、これしかないという選択肢だ。このクラスにおける王位は、さらに揺るぎないものになったと思う。

ポルシェ・カイエンS

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