悪路を走行する上で最低限のノウハウとは
コロナ禍でますます過熱するアウトドアのブーム。単なるキャンプやBBQだけじゃ満足できず、愛車を駆って山の奥を探検してみたい、なんて欲求を抱えている人も多いだろう。とはいえ何の準備も知識もないままチャレンジするのは、厳しい言い方かもしれないけど無理・無茶・無謀でしかない。どれだけ悪路走破性に優れたクルマでもスタックするときはするし、そういった場所は携帯電話すら繋がらないケースも往々にしてある。愛車を壊したり帰れないといった最悪の事態を招かないためにも、危険を回避する最低限のノウハウは身に付けておきたいものだ。
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スタック時にはまず冷静に状況判断
もっとも多いのは泥や砂でタイヤが空転し、前にも後ろにも進めなくなってしまうこと。すべてのタイヤに駆動力が伝わる4WDや、SUVなら多少のアドバンテージはあるものの、性能を過信してハマった例は数多く見ている。
スタックすると多くの人はパニックに陥ってしまい、脱出しようと無闇に前進と後退を繰り返しがちだ。結果として空転するタイヤで地面をさらに深く掘り、状況を悪くするだけなのでまずは冷静になることを心がけるべし。 近くに牽引してもらえるクルマが見当たらなければ、空転しているタイヤの周囲の土を掘ろう。要はタイヤの前後に緩やかな角度が付いた空間を設け、転がる距離を増やしつつ勢いよく脱出するための方策だ。ある程度の空間ができたら再びクルマに乗り込み、最初はホイールスピンさせないよう慎重に、タイヤがグリップしたらアクセル開度を上げて脱出。 それでもダメなら掘る範囲をもっと広げたり、タイヤの空気を抜きグリップ力を上げる手もある。またタイヤが滑らないよう進行方向に木の板や布、フロアマットなどを敷き空転を防ぐのも有効なので、万が一ハマってしまったときは試してほしい。
狭い道で引き返さなければならないとき
ほかにありがちな例は林道で「これ以上は進めない」と判断し、狭い場所でUターンするとき路肩からずり落ちたり、側溝にタイヤが落ちて走行できなくなるケース。2WDで駆動輪が浮いてしまえば自力での脱出は難しいので、やはり最初にするべきはクルマを降りて状況の確認だ。
草木が生い茂った林道は道幅がどれだけあるかわかりにくいし、路肩が弱くクルマの重さに耐えられないような場所もある。自分の目で「どこまで使えるか」をチェックしたうえで、同乗者がいれば行き過ぎないよう誘導してもらい、ソロならさらに余裕を持って切り返しを重ね、急がば回れの気持ちを忘れずにUターンするのが最善策。
先に書いたスタックも同様だが脱出しようと焦って行動するのは、ほとんどの場合は逆効果で被害を大きくしてしまいがちなので、とにもかくにも落ち着いて現状を把握するのが大切だ。
パンクもありうる 想定内への現場対応
もうひとつはパンクしたときの対処法。修理キットがありトレッド面に何かが刺さっただけなら別だが、サイドウォールが裂けるなど大きなダメージを負ったときは、スペアタイヤに交換するのが唯一の選択肢になる。作業そのものは単純だし車載工具があれば十分。 しかしながら林道だけに地面は砂利または土なので、そのままジャッキアップするのは危険で二次災害を起こしかねない。まずはできる限り地面が硬く勾配のない場所までクルマをゆっくり移動させ、フラットな木の板などがあればその上でジャッキをかける。それでもジャッキが板ごと沈み込んだり、クルマが不安定であれば即座に中止し、素直に救援を求めた方が被害は少ないはずだ。
単独行は避けるべき
ココまでは脱出の方法を中心に説明してきた。しかしイチバン大切なのは道具を含む事前の準備で、まず心がけたいのは登山と同じく単独行を避けること。他にクルマがいれば牽引してもらうなど現場で何とかなる確率が上がり、レッカーの業者や万が一ケガを負ったときも救援を呼びやすい。 もしひとりで行かざるを得ないときは、携帯電話が使えるエリアをシッカリ把握しておき、そこから極端に遠くまで進まないことも大事。あとはスコップ、牽引ロープ、ジャッキ、スペアタイヤ、脱出用の板やスロープ、パンク修理キットといった道具も欲しい。いくら高性能の4WDとはいえ万能ではない。人の手があまり加わっていない大自然は確かに魅力だが、そこに足を踏み入れるにはそれなりの準備と覚悟が必要なのだ。
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