創設2年目で本格的なグローバル選手権への成長を目指した2022-23年『Nitro Rallycross(ナイトロ・ラリークロス/NitroRX)』だが、この3月に最終戦を終えて以降、来季に向けた構想や日程などのアナウンスはなく、その将来が不安視される状況が続いてきた。
しかし5月16日付けで急転直下の動きを見せ、シリーズは2023-24年シーズンのカレンダーを公開するとともに、その名称も一新。今季よりNitroRX改め『Nitrocross(ナイトロクロス)』へとリブランドし「ラリークロスのルーツを超え、モータースポーツの他のどの分野にも類を見ない、独自に成長したダイナミックなカテゴリー」を目指すと宣言した。
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シリーズ創設者兼初代王者のトラビス・パストラーナの手により、2018年にルーツとなるイベント『Nitro Circus(ナイトロ・サーカス)』の一部として産声を挙げたシリーズは、2021年に北米規模の本格的なチャンピオンシップに拡大。ドライバーとチームの双方で国際的な才能を惹きつけ、2022-23年にはイギリスと北欧(開催キャンセル)、そしてカナダを組み込んだ世界戦への発展を遂げた。
しかしパストラーナは、創設当初よりヨーロッパにルーツを持つ単なるミックス・サーフェースのシリーズではなく、ラリークロスの進化版であることを強調。ダート路面をベースとしつつ、ハイバンクのターンと大きなギャップを持つジャンプスポットを有するなど、そのトラック設計はすべてモトクロスのスター選手でもあるパストラーナの意図が反映されたものとなっていた。
「僕はアクション満載のスプリントレースや、ドア・トゥ・ドアのアクションがあるラリークロスが大好きだ。その核心は変わっていない。でも僕らはラリークロスとして歴史的に定められてきたルールに追いやられるわけにはいかないんだ」と改めて説明したパストラーナ。
「そしてナイトロ・サーカスが持つ『full-send(全力を尽くす)』精神も、僕らのDNAの大きな部分を占めている。だから、その姿勢がはっきりと伝わるようにしたかったんだ」
■「エキサイティングなものになることを望む」とパストラーナ
新名称のシーズンは6カ所で開催され、9カ月にわたる全10戦で構成。開幕は6月16~17日にオクラホマ州ジェイのミッドアメリカ・アウトドアで開催の『ヴィジョン・オフロード2023』のイベント内に組み込まれ、シリーズオーナーの意向により北米大陸でのプレゼンスを優先するべく海外展開を休止し、南西部の砂漠から極寒のカナディアン・ロッキーまで、路面は土や舗装路から雪や氷まで多岐にわたるサーフェースが盛り込まれる。
昨季はカリフォルニア州グレンヘレン・レースウェイでの“トリプルヘッダー”戦でロビン・ラーソン(ドレイヤー&レインボールド・レーシング・ウィズ・JCレーステクニーク)がタイトルを獲得したが、チャンピオンシップでは10戦中5名の異なる勝者が誕生。
アンドレアス・バッケルドやフレイザー・マッコーネルらに加え、2009年F1チャンピオンのジェンソン・バトンや、2020年NASCARカップチャンピオンのチェイス・エリオット、2022年デイトナ500優勝者のオースティン・シンドリック、WRC世界ラリー選手権通算5勝のクリス・ミーク、そしてWorldRX世界ラリークロス選手権“5冠”のヨハン・クリストファーソンなど、錚々たるメンバーが参戦した。
その最高峰クラス『グループE』には、昨季より最高出力1080PS(800kW)、0-100km/h加速約1.4秒というフル電動ワンメイクEV『FC1-X』が導入されており、新年度も“ケン・ブロック・チャンピオンシップ・トロフィー”と名付けられたチャンピオンの栄冠を目指して、同車での勝負が繰り広げられる。
「僕らが求めているのは、イベントの水準を高めることだけだ。カスタム構築されたトラックと、会場でのより良いエンターテイメントを必要としている」と続けたパストラーナ。
「このナイトロクロスが、競技者と世界中のファンにとってエキサイティングなものになることを望んでいる。僕らは地球上でもっとも高く長い飛距離を誇るシリーズになるはずだし、何が起こるか楽しみだよ!」
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