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【ヒットの法則190】アルファ ブレラの官能的なリアセクションのデザインには息を飲んだ

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【ヒットの法則190】アルファ ブレラの官能的なリアセクションのデザインには息を飲んだ

アルファGTVの後継モデル、ブレラが日本上陸を果たしたのは2006年4月のこと。3月のアルファ159に続いての導入に、アルフェスタは心躍らせた。このアグレシッブな2+2クーぺはどんなモデルだったのか。Motor Magazine誌は上陸したばかりのアルファ流の新しい世界をどのように紹介しているのか、振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2006年6月号より)

アルファらしい新しさに満ちている
最近では珍しく、フツウに乗ってのいいクルマ感と流しての気持ちよさ、そして走り込んでのワクワク感を併せ持つクルマであった。

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いいクルマだな、と思うことは多い。けれども何百万円の見返りを考えると、もうひとつ物足りないクルマが多い中、ブレラには「何とかして手に入れてみたい」と思わせる+αがあった。同門の姉妹車である159シリーズよりも、そのことを強く感じた。

+αの中で、スタイリングの占める割合は小さくない。別にカタチが直接走りに作用するわけではないが、一定レベル以上の走行性能を見せたとき、ユニークで美しいカタチに乗っているという事実は、精神的なプラスになりうる。いくら素晴らしい性能を誇っても、没個性で新鮮さに欠けるスタイルじゃ乗っていてもストレスが溜まる一方だ。乗り捨てご免の激安中古車ならいざ知らず、ガイシャの新車を他人の目など気にしないで乗る、なんてことは案外難しい。カタチこそクルマ選びの基本と言われる所以であろう。

ジウジアーロによるブレラのスタイリングには、有無を言わせぬ個性がある。特にルーフからリアセクションにかけての造形。広報資料には1950年代のジュリエッタスプリントとの関連性を示唆するコメントがあったが、そんなことを持ち出すまでもなく、アルファらしい新しさに満ちていると思う。

159と同一イメージのマスク(バンパーから上は同じだ)に輝く盾型グリル。そこからV字にAピラーへと繋がり、フロントスクリーンを介してガラスルーフへと続く造形美もブレラのハイライトである。

エンジンは思いのほかジェントルなサウンド
日本仕様には2エンジンタイプ3モデルが用意された。いずれもメカニズム的には159のラインアップに準拠している。つまり、2.2L直4と3.2L V6の両JTSユニット+6速MTで、前者はFF、後者はQ4(4WD)だ。スカイウインドウなしモデルを2.2で選ぶことができ、これが最廉価モデル(GTより安い!)となる。

日本仕様のカタログを見て、嬉しかったことがひとつ。ボディカラーが本国と同じ10色設定になっていて、インテリアにはアルファテックスを標準とし、オプションで2種類のレザー仕様が選べるとあった。しかもインテリアカラーは3種類。本国で見て個人的に気に入った赤×ベージュもあった!

スカイウインドウ付きのみとなる3.2 JTS Q4から試してみよう。試乗車には+26万2500円のポルトロナフラウ社製レザーシートが奢られていた。アルミニウムカラーも鮮やかなダッシュボードは159と同じものだ。

クラッチペダルもしくはブレーキペダルを踏んで、エンジンスタートボタンを押す。アルファロメオのV6モデルというと、火を入れたその瞬間に訪れる荒々しい音と武者震いのような振動を想像するが、それを期待すると肩すかしを喰らうことになろう。一瞬、バストーンの効いた逞しいサウンドを奏ではするものの、すぐにジェントルなさえずりとなる。159同様に、新しいアルファの売り物は世界レベルになったNVH性能なのだ。

1800rpmで最大トルクの9割を出し、そこからフラットなトルク特性を発揮するだけあって、発進からタウンスピードまでMTながら非常にお気楽に使えてしまう。3速キープでオートマチック風に乗ることができる。

もちろん、そんなことがアルファの魅力にはなりえない。回してナンボ。ワインディングを目指して走ろう。短めのシフトストロークと軽いペダルのタッチ、それにともなってピックアップも軽やかに回るV6が心地いい。ボディの作り込みの良さと、その結果ちゃんと仕事をしてくれるサスのおかげで、1.8mを超える幅もなんのその。いわゆる、運転しやすいクルマだ。

そのくせ、ひとたびワインディングを攻めれば、走りはエキセントリックのひとこと。フロントおよびセンターのデフを一体としたトルセンCデフシステムによって前輪最大72%、後輪には78%までトルクが配分されるため、FF独特の突っ込みとFR風の楽しい脱出の両方をトリッキーに味わえる。

ボディのねじれもなく、安心してコントロールに専心できるのもいい。轟くようなV6サウンドこそかなり控えめになったが、その代わり胸をすく高回転域での滑らかなフィールを得た。

もうひとつのエンジン、2.2モデルはバランスの良さが魅力。トルクのあるV6モデルとは違ってローギアードとすることで、これで十分と思わせる加速をみせる。ステアリングポストの剛性感をもう少し、と思う場面もあったが、全体的にはV6モデルよりも素直なハンドリングが魅力で、自然な楽しみ方ができた。全席において、乗り心地も確実に勝っている。

3モデルすべて標準設定のタイヤサイズが異なっており、総合的にバランスが取れているという点で、おすすめは素の2.2だ。実はブレラ、幅はあるが全長、全高、ホイールベースでGTより小さい。つまり、GTは荷物もたくさん積める4シータークーペであり、ブレラはスタイル重視の2+2クーペだ。GTVの後継であることを考えれば、当然か。実際、リアシートに平均的な身長の日本人男性が長時間座ることは困難だったと報告しておく。特にスカイウインドウシステム付きは、天井が低くて窮屈だ。(文:西川 淳/Motor Magazine 2006年6月号より)



アルファロメオ アルファ ブレラ スカイウインドウ 3.2JTS Q4(2006年) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4415×1830×1380mm
●ホイールベース:2530mm
●車両重量:1750kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3195cc
●最高出力:260ps/6300pm
●最大トルク:322Nm/4500pm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:4WD
●車両価格:584万円(2006年当時)

アルファロメオ アルファ ブレラ スカイウインドウ 2.2JTS(2006年) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4415×1830×1365mm
●ホイールベース:2530mm
●車両重量:1580kg
●エンジン:直4DOHC
●排気量:2198cc
●最高出力:185ps/6500pm
●最大トルク:230Nm/4500pm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:FF
●車両価格:463万円(2006年当時)

[ アルバム : アルファロメオ アルファ ブレラ はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

4件
  • ジュウジアーロが自身て満足を表明した最後の量産車。エンジンが昔のアルファと違うとか、大き過ぎるとかウンチクを言う人もいるけど、159と並んで15年前に販売された車とは思えないデザイン。タイミングベルトがチェーンできれないし、この形から故障が少なくなったので、アルファをカモにしてきた修理工場からは妬まれている。フラウ社の皮シートが多くのグレードに純正で装着されている点も評価出来る。
  • いま見ても美しいデザイン。
    シンプルながら目を引きつける個性があって、時間が経つても古臭さを感じさせないし見ていて飽きない。
    ジウジアーロの非凡なところは、最小限の線や構成要素で、このとんでもなく美しいデザインを創り上げてしまうところだと思います。シンプルだけど美しい。だから時代変わっても美しいままだし、飽きない。
    ごちゃごちゃゴテゴテと余計な線や装飾で飾り立てる日本車とは対極のデザイン哲学。
    なぜ日本メーカーはこういうシンプルで流麗な車が作れないのか...唯一マツダだけですかね、それに近しいデザイン哲学を持っているのは。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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