英国へ正規導入されなかった2代目インテR
常に一定の需要を残す。最初にその手法を取り入れた自動車メーカーは不明だが、商業的な成功を収めるうえで、しばしば用いられる考えだ。すべてのプレミアム・ブランドは、あえて生産数を低く抑えることで、一層の需要を喚起している。
【画像】ドライバーを虜にする ホンダ・インテグラ・タイプR 懐かしのアコードとシビックのR 最新プレリュード・コンセプトも 全95枚
ポルシェやフェラーリだけでなく、ベントレーやアストン マーティンも。日本のホンダも、そんな考えに乗ったのかもしれない。初代インテグラ・タイプR(DC2型)が、1997年からグレートブリテン島へ輸入されたのは、僅か500台に限定されていた。
日本では1995年から販売されており、事前評判は極めて高く、ほぼ全数が上陸前に完売したという。痛快な走りっぷりを考えれば、間違いなくそれ以上売れたに違いない。しかし、再輸入はなかった。
2001年に、インテグラは次世代へモデルチェンジ。2002年にDC5型のタイプRが登場するものの、今度は日本でしか販売されなかった。英国の国民は、購入欲求を叶えることすらできなかった。
しかし、並行輸入というカタチでグレートブリテン島へ複数が上陸している。近年も、需要に応じて日本から運ばれているようだ。
そのおかげで、2代目インテグラ・タイプRは比較的簡単に探すことができる。走行距離はかなり伸びている例が多いものの、ドライビング体験の楽しさと扱いやすさを考えれば、仕方のないことだろう。
ドライバーを虜にするVTECエンジン
多くのドライバーを虜にするのが、パワフルな2.0L 4気筒VTECユニット。初代から排気量は200cc拡大され、最高出力は30ps増しの220psへ上昇している。しかも、10kgも車重は削られている。
自然吸気だから、伸びやかな回転上昇へ惹き込まれる。ホンダ自慢の可変バルブタイミング機構が6000rpmでカムを切り替え、エンジンの特性は変化。8400rpmのレッドライン目掛けて、雄叫びを響かせながらパワーを放出していく。
最高出力の発生回転域は、レッドライン直前の8000rpm。最大トルクの21.2kg-mには、7000rpmで到達する。
一方で、操縦性こそ2代目インテグラ・タイプRの切り札だと考えているファンも多い。実際、シャシー開発にはF1技術者も携わっていたそうだ。
フロントノーズは、ステアリング操作へ対し素早く正確に反応。安定感が高く、シャシーバランスも素晴らしい。ほぼボディロールを生じない、引き締められた足まわりのおかげで、身のこなしは極めて機敏だ。
前輪駆動だが、リミテッドスリップ・デフが組まれ、アンダーステアも抑えられている。1170kgしかない車重も、それを助けている。
スタイリングも、スポーティな走りへ見事に一致した。クリーンな面構成で、シャープなフォルムをまとい、過剰ではないアグレッシブさがある。専用のエアロキットが、空力特性を改善させている。
レカロシートとモモステでRを主張
車内には、レカロ社のシートとモモ社のレザー巻きステアリングホイールが組まれ、「R」であることを主張。アルミ製のペダルとシフトレバーが、特別感を高めている。
トランスミッションは、6速マニュアル。すべてのタイプRと同様にシフトフィールは正確で、必要以上に変速したくなる気持ち良さ。理想的にギアを繋げば、0-100km/h加速は6.5秒でこなす。最高速度は238km/hがうたわれた。
信頼性も高い。そもそも、インテグラ・タイプRはシリアスな走りを想定されていたから、恐れることなく攻め込んで構わないだろう。
DC5型インテグラ・タイプRの生産数は、1万2247台。日本ではまだ充分に流通しているものの、状態の良い例は徐々に少なくなっている。走行距離が短い例は、高価になりつつもある。興味を抱いたのなら、早めの行動が吉だろう。
新車時代のAUTOCARの評価は
先代ほどの衝撃はないものの、望ましいパッケージングで高速。ホンダのディーラーへ、輸入して欲しいと要望を寄せるべきだ。(1989年7月5日)
専門家の意見を聞いてみる
サイモン・クラーク氏:ミッドランド・ホンダ・サービス社
「DC5型は、DC2型の進化版。先代で改善すべき点が、すべて盛り込まれています。エンジンは僅かに拡大され、サスペンションは磨かれ、走りは最高です。ゴーカートのように、思い切り振り回せますよ」
「セットアップが理想的なら、メカニカルグリップは甚大。信頼性は間違いナシ。素晴らしい投資にもなるでしょうね。ただし並行輸入ということで、英国では部品の入手が簡単ではありません。2006年に生産は終了し、流通量も減っています」
「それでも、アフターマーケットパーツを多くから選べます。EP3型のシビック・タイプRと、共有する部品が多いこともポイントです」
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
既にラインオフから20年前後経過しており、エンジンマウントは劣化していておかしくない。必要に応じて、サードパーティの強化マウントも選べる。
O2センサーの不具合は珍しくない。エンジンの警告灯が光ったら、その可能性がある。センサーを交換すれば治るため、修理は難しくない。
トランスミッション
手荒くシフトレバーを操っていると、セレクターのブッシュ類が劣化してしまう。
ボディとインテリア
レカロシートは、しっかり身体を保持してくれる。サイドボルスターなどが劣化していないか、観察するだけでなく、座って確かめたい。
雨や洗車後に荷室へ水が侵入している場合は、テールライトのシール材が劣化している証拠。腐食へ繋がるため、早めに交換したい。シャシーまわりのサビにも注意。
タイプRの赤いエンブレムは、太陽光で色褪せしやすい。交換部品は入手しやすい。
カスタマイズ
インテグラ・タイプRは、これまでのオーナーによって改造されていることが一般的。アフターマーケットパーツの品質や、取付状態の善し悪しはしっかり確認したいところ。ホンダ車を得意とするガレージによる作業なら、安心だろう。
知っておくべきこと
インテグラ・タイプRは、2004年にフェイスリフトを受けている。ヘッドライトとテールライト、フロントグリルなどのデザインで見分けられる。
インテリアでは、白い盤面のメーターとチタン・カラーの装飾トリムを獲得。キーレスエントリーとカーナビも実装されている。サスペンションはブッシュの剛性が高められ、ブレーキはマスターシリンダーを大型化。ペダル・マウントも強化された。
英国ではいくら払うべき?
7000ポンド(約130万円)~9999ポンド(約184万円)
かなり走り込まれたDC5型インテグラ・タイプRが英国では出てくる。
1万ポンド(約185万円)~1万1999ポンド(約221万円)
走行距離が16万kmを超える例が多いものの、そこそこ状態の良いインテグラ・タイプRを英国では探せる価格帯。改造された例が多いようだ。
1万2000ポンド(約222万円)~1万6999ポンド(約314万円)
英国では、DC5型が流通している中心の価格帯。コンディションは悪くないようだが、走行距離は16万km前後と短くはない。
1万7000ポンド(約315万円)以上
走行距離が8万kmを切るような、状態の良いインテグラ・タイプRを英国で選ぶなら、この価格帯まで奮発することになる。
英国で掘り出し物を発見
ホンダ・インテグラ・タイプR 登録:2002年 走行距離:16万km 価格:1万2450ポンド(約230万円)
コンフォート・パッケージが適用された、インテグラ・タイプR。日常的に乗ろうと考えているなら、プライバシーガラスとリアワイパー、フォールディング・ミラーが備わることを、うれしく感じるはず。かなり状態も良さそうだ。
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