俳優松重 豊さんがベストカーに初登場! 実は松重さんは、試乗が趣味という、かなりのクルマ好きだった! 近所に住むモータージャーナリスト岡本幸一郎さんと意気投合し、ベストカーに出演する運びとなった。ベストカーWeb出演第5回は「マツダロードスター」の試乗インプレッション。はたしてマツダロードスターをどう評価するのか? モータージャーナリスト、岡本幸一郎さんがホスト役となって、2人の対談形式でお届けする。
まとめ:ベストカーWeb編集部/写真:奥隅圭之/ヘアメイク:高橋郁美/スタイリスト:増井芳江/撮影協力:海の森水上競技場
BooBooラウンジ第5回 マニュアル車が大好きな松重 豊さんが人馬一体[マツダロードスター]に試乗! 身長188cmの長身で大丈夫!?
■マニュアル車といえばマツダロードスター
身長188cmの松重さん。室内空間がタイトなマツダロードスターを試乗してどう感じるのか?
今回、試乗するのはマツダロードスターSスペシャルパッケージです。さっそくエクステリアから見ていきましょう。
岡本幸一郎(以下岡本):2023年末にめちゃめちゃ大きな変更が行われました。
松重 豊(以下松重):いつフルモデルチェンジされたんですか?
岡本:2015年5月にデビューしました。
松重:けっこう経っているんですね。この形は見慣れていると思うんですけれども、ビッグマイナーチェンジなんですね。何が変わったんですか?
岡本:実は電子プラットフォームといってですね、ハッキング対策としてクルマ全体が新しくなってます。それがまず1点。先進安全運転装備が非常に充実しました。ポイントの1つは前々回の改良で、キネマティックポスチャーコントロール(KPC)という制御がリアタイヤに加えられました。
キネマティックポスチャーコントロール(KPC)という制御がリアタイヤに装着されているのもポイント
ロードスターのサスペンションはブレーキをちょっとかけるとリアが沈みこむような特性を持っているんですが、そのままだとちょっとリアが浮き上がって不安定になる傾向がありました。適宜ブレーキをちょっと踏み込んだ時に、ブレーキを個別にコーナー内輪のブレーキをかけることで姿勢を安定させる、そういった制御が入ります。
もう1つ、直近の改良でマニュアル車に設定されたのが、アシンメトリックLSDです。一般的にはアクセルオフの時にあまり効かなくて、オンの時に効くというのは多いんですけど、ロードスターの場合は、逆にしたほうがアクセルオフでより積極的に効かせることで、姿勢を安定させるものです。そういった二重の制御をやってます。
■身長188cmの松重さんが乗り込むと……
松重さんが運転席に座ると、さっそく左足のカカト部分の膨らみを指摘(YouTubeより)
―インテリアチェックー
松重:このクルマに関しては、すみません。ボクの身体のサイズ(身長188cm)がちょっと合うかどうか。日本人としてXL以上なんでちょっと心配なんですが……。
岡本:そうでしたね。足が長くてサイズも大きいですからね。
松重:おっ、サイドブレーキがこっち(左)にない。右(ドライバー側)にありますね。ちょっと左側にあるフェアレディZはどうしちゃったのかなあと思いますね。
岡本:前の世代まではこっち(左)側にあったんですが、現行のND型はドライバー側にありますね。
松重:フットクリアランスに関していうと、もうすでにクラッチ踏むときにフットレストに当たっちゃうんですよね。ここの正体不明の出っ張り。このコブみたいな、なんだろうこれ。左足のカカトの部分に膨らみがあるんで、それが運転する時にどう干渉するのでしょうか?
岡本:たしかに運転席下の膨らみが気になりますね。
松重:それにFRですが車幅がちっちゃいですよね(編集部註:全長3915×全幅1735×全高1235mm)。それで大きなドライブシャフトがはしっているという。タイトになっています。これが僕の身長、足の大きさにどう干渉してくるということがちょっと危惧されます。それ以外はデザインから何からコンパクトにまとまっていますね。
岡本:松重さんの足はダンビロ、幅があるのでどうでしょうか?
松重:アナログメーターが回る。こっち(左)に3連あるよりもアナログメーターが3つあるほうがなんとなくクルマを動かしているなあ、マニュアルを動かしているというアナログ感と一緒に連動しています。それが楽しいです。
■車重1020kg、136psの1.5リッターエンジン!
試乗車はSスペシャルパッケージ。6速MTの車重は1020kg。搭載されるエンジンは136ps/15.5kgmを発生する1.5L、直4
―パワートレーンチェックー
岡本:エンジンはスカイアクティブGです。
松重:1.5リッターですか?
岡本:1.5リッターの4気筒です。ロードスターは屋根開きの幌、ソフトトップは1.5リッターが組み合わされて、もう1つの電動ハードトップのRFは2リッターになります。
松重:なんでそうやって分けてるんですか?
岡本:RFは車重が100kg近く重くなるのと(MTで1110kg)、幌のロードスターには1.5リッターのエンジンをぶん回して乗るのが合っている、という開発者の思いがあります。
松重:そもそもコンセプトに合っているのがこのエンジンということですね。
岡本:ちょっと前に松重さんにマツダロードスターを乗っていただいた際に、線の細さが感じられたと思うんですが、最近の改良でエンジンにも手が加えられました。まずは大きな変更点としては、日本のオクタン価100に対応しました。
松重:今まではどうだったんです。
岡本:もともとハイオクには対応していたんですが、それは一般的な、欧州等でいうオクタン価95のことをさします。それが今回の改良で、日本のオクタン価100に対応したことで、ノッキングに対して強くなったので、より攻めた燃焼を実現してパワーを引き出すことができた、という感じです。
松重:なるほど。どれくらいパワーはアップしたんですか?
岡本:最高出力は4馬力上がっています。アクセル操作に対する追従性も上がっています。前に乗っていただいたロードスターよりも印象がよくなっているはずです。
ロードスターを運転していて時折、笑顔を見せる松重さん(YouTubeより)
―ドライブインプレッションー
岡本:マツダロードスターです。ロードスターにも何タイプがあるんですが、これはSスペシャルパッケージという、素のロードスターに近いんですが、スタビライザーとか装備のいろいろ付いているグレードとなります。
松重:あ~、ステアリング系とか感覚的に変わったんですね。
岡本:どうですか?
松重:お~。
岡本:全体的に洗練されているはずと思います。
松重:まとまったサイズ感でよくできていますね。
岡本:どうですか、エンジンとシフトフィールは?
松重:スポーツカーというよりもオープンカーとして楽しいクルマという。もうこれはオープンにして楽しむという遊び方というより、クルマとの一体感を楽しんで、森のなかでも海沿いの道で楽しむという感じが色濃くなっていますね。
岡本:まさにいまおっしゃった一体感ですよね。マツダの開発陣が大切にしていることですね。
松重:人馬一体感ですね。
岡本:エンジンは最高出力132ps、最大トルク15.5kgmです。マイナーチェンジ前のモデルに乗っていただいた時には高速道路では物足りないとおっしゃっていましたね。
松重:この街乗りの感覚でいうと、レスポンスがいいですよね。
岡本:そうなんです。アクセルレスポンスが前よりもよくなっています。踏み込むのもそうなんですがオフにした時にスッーと回転が落ちるようになっていて、そこってマニュアル車を楽しむうえで大事なポイントだったりします。
松重:ハンドルの操作感も非常にタイトで、なおかつクイックでキビキビしています。
岡本:遊びがなくて一体になって動いてくれる、より気持ちよく走れる感じです。
松重:あ、この辺も安定しています。なんかハンドル位置決めたら、もうそれで上がれちゃうから、遊びがいらない感じですね。
岡本:その辺はKPCが効いていると思います。
「クルマと人の一体感がありますね」と松重さん
■マツダロードスターを採点チェック!
マツダロードスターの採点は5点満点で3.5点だった
―撮影拠点に戻ってー
岡本:5点満点で、忖度なしに採点していただきたいと思います。マツダロードスターの採点はいかがでしょう。
松重:僕が付けました点数は3.5点です。最初に乗った印象よりは明らかに細かいマイナーチェンジを繰り返してどんどんよくなっている印象が強いですね。ハンドルのレスポンスとかアクセルのフィーリングが、ほんとにクルマと一体になっているのが非常によくわかります。
ただ残念なのは、クルマのサイズ感と僕のサイズ感がちょっと合っていないということなんです。申し訳ない。開発する人にとっても、この大きな日本人だけは想定しなかったんじゃないところが……。まあ、ちょっと残念ながら体のサイズ感に合っていなかったということで、辛口の点数になってしまいました。
岡本:サイズ的に松重さんには狭かったですかね。
松重:それに運転席側の床に触媒を設置したために盛り上がっています。この位置っていうのが左ハンドルメインに考えられているのを感じます。日本のメーカーが造る日本車なのに左ハンドルメインに考えなきゃいけないっていう現実と、なんで右側通行じゃないんだという、イギリス倣えにしちゃったのかなというので悔やみました。
岡本:なぜ右側通行にしてしまったのか、ほんとにそう思います。
松重:それでその点数なんです。申し訳ない。
※ ※ ※ ※
いかがだったでしょうか? Zに続いてマツダロードスターも3.5点となりました。次回はスイフトスポーツをお届けします!
【松重 豊 プロフィール】
俳優。1963年1月生まれ、福岡県出身。蜷川スタジオを経て、1992年、黒沢清監督『地獄の警備員』で映画デビュー。以降、舞台、ドラマ、映画と幅広く活躍。近年の主な出演作に、『ヒキタさん!ご懐妊ですよ』(細川徹監督)、『ツユクサ』(平山秀幸監督)、『青春 18×2 君へ続く道』 (藤井道人監督)など。ドラマでは、『孤独のグルメ』シリーズ(テレビ東京)、『きょうの猫村さん』(テレビ東京)、大河ドラマ『どうする家康』(NHK)など。また、エフエム横浜『深夜の音楽食堂』にてラジオパーソナリティも務め、雑誌クロワッサンで「たべるノヲト。」を連載中。2020年には自身初の書籍「空洞のなかみ」、2023年には枡野俊明さんとの共著「あなたの牛を追いなさい」を刊行する。現在、自身が主演、脚本、監督をつとめる2025年1月10日公開予定の劇映画『孤独のグルメ』を鋭意製作中。
【岡本幸一郎 プロフィール】
モータージャーナリスト。1968年5月生まれ。富山県滑川出身だが、父の仕事の都合で幼少期を横浜・小机で過ごした頃に早くもクルマに目覚め、街を走るクルマの車名をすべて言い当てるほどに。学習院大学卒業後、自動車情報ビデオマガジンの制作や自動車専門誌の編集に携わったのちフリーランスへ。あらゆるカテゴリーを幅広く網羅し、ユーザー目線での情報発信を身上としている。乗り継いだ愛車は25台。幼い男女二児の父。2004年より日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2008年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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マニュアルに戸惑うゴローさんには笑ったが
海に向かって黙礼する姿には本気で泣いた