電動版のX1 バランスの良いフォルム
AUTOCARの読者ならご存知かと思うが、BMWのバッテリーEVはエンジンモデルと密接な関係を持っている。今回試乗したiX1も、電動版のX1と表現して間違いではない。乗りやすいサイズとプライスで、市場拡大を担う重要な役割を負っている。
【画像】エンジン版より運転体験は上 BMW iX1 サイズの近い電動SUVと比較 全163枚
3代目が発売された2022年、BMWはX1の販売数の31%が電気モーター版になると推計していた。しかし、そこまでの割合いは得られていない。
他方、エンジン版のX1では、個性の薄いエンジンと癖のあるトランスミッション、扱いにくいインフォテインメント、面白みに欠ける操縦性など、指摘したい部分は少なくなかった。BMWらしさが薄かった。
パワートレインを電動へ置換すれば、その一部は改善される可能性がある。かくして、iX1の実力を探ってみよう。
スタイリングは、基本的にX1と同一。シャープなライン構成とスクエアなフォルムで、バランスは良い。フロントグリルは塞がれ、空気抵抗を抑えるべくドアハンドルは表面と一体化。スリムなLEDテールライトが、後ろ姿を引き締める。
アルミホイールは20インチ。ホイールアーチのモールは、ボディと同色に塗装される。
プラットフォームは、エンジン版と同じUKL2。2シリーズ・グランクーペや、新しいミニ・カントリーマンも基礎骨格とするものだ。
駆動用バッテリーの容量は64.7kWh。航続距離は、203psのシングルモーターで前輪駆動のeドライブ20が461km、312psのツインモーターで四輪駆動のxドライブ30では、432kmがうたわれる。
現代的で開放的な車内 扱いにくいタッチモニター
インテリアは、現代的で開放的。同クラスの中では、特にゆとりを感じる。小物入れが各所にあり、浮いて見えるセンターコンソールが印象的だ。
試乗車の場合、本物のアルミニウム製トリムが散りばめられ、ダッシュボードやアームレストの素材は上質。内装の設えは、ライバルのボルボEX40より高い。スピーカーグリルだけを見ても、高級感がある。
試乗車はMスポーツで、パノラミック・ガラスルーフが備わり、沢山の自然光が降り注ぐ。スポーツシートは、クッションは硬めだが、サポート性に優れ疲れにくいだろう。
後席側の空間は、大人3名が快適に過ごせる広さ。エンジン版と異なりスライドできないが、40:20:40の分割で折り畳める。荷室容量は490Lで、クラス上のiX3と同等だ。
前席側は、例に漏れず、モニターパネルの存在感が大きい。インフォテインメント用は10.7インチ、メーター用は10.25インチで、iドライブ・システムは最新のバージョン9が稼働する。スマートフォンとの連携は無線で。運転姿勢は文句なしだろう。
グラフィックは高精細だが、実際に押せるハードスイッチはほぼなく、扱いやすいわけではない。メーターのグラフィックは、表示が若干煩雑。ステアリングホイール上に残された、音源や音量用のスイッチがうれしい。
エアコンの操作も、タッチモニターを介して。例えば、シートヒーターをオンにし、一番暖かい状態にするまで、約10回もタップする必要がある。高速道路の合流時などで、外部カメラの映像が自動的に映されるのは、筆者は少し目障りに感じた。
X1の上を行く運転体験 自信を得にくい操舵感
公道へ出てみれば、予想通り運転体験はX1の上を行く。試乗したxドライブ30の0-100km/h加速は、5.6秒と俊足。これは、Q4 e-トロン・スポーツ55と同等のダッシュ力といえる。
速度上昇とともに勢いは鈍るものの、110km/h程度までは余裕しゃくしゃく。2085kgも車重があることを、思わず忘れてしまう。前後のモーターの出力は同等だが、カーブの出口ではリア側の方が積極的にパワーを生む印象もある。
回生ブレーキは3段階から調整でき、ワンペダルドライブにも対応。アクセルもそうだが、ブレーキペダルの反応も滑らかだ。
ステアリングホイールは、軽すぎるかもしれない。感触は薄く、反応が線形的ではない印象。グリップ力は高いものの、操る自信は抱きにくい。
ドライブモードをスポーツにすれば、適度に重くなるものの、標準装備されるアダプティブダンパーは引き締まり、乗り心地に影響が生まれる。個別に硬さは調整できないようだ。重めのステアリングに、柔らかめのサスペンションを選べれば、良いのだが。
ノーマルモードなら、19インチのアルミホイールを履いている限り、充分に快適。跳ねるような揺れはなだめられ、遮音性も優れる。
現実的な航続距離は、xドライブ30で370km程度といえる。寒い時期には330km程度まで落ち込むことも確かめており、このクラスでは短め。急速充電は、最高130kWまで。こちらも、速い方には入らない。
航続距離や充電速度がネック 更に強みが欲しい
iX1の英国価格は、約4万3000ポンド(約839万円)から。ツインモーターのxドライブ30では、5万2255ポンド(約1019万円)へ上昇する。ひと回り大きい、テスラ・モデルYの優位性が際立つといわざるを得ない。
登場から3年が経過する、iX1。当初は充分に優れた電動SUVといえたが、ライバルの進歩も目覚ましい。運転体験は確かにエンジン版より優れるものの、航続距離や充電速度は、現在では売りにできる水準とはいいにくい。更なる強みが欲しいところだ。
◯:充分に高速 広々とした車内 長距離を快適にこなせる余力
△:航続距離と充電速度は競合に劣る 扱いにくいインフォテインメント・システム もう少しを求めたい操縦性と乗り心地
BMW iX1 xドライブ30 Mスポーツ(英国仕様)のスペック
英国価格:5万2255ポンド(約1019万円)
全長:4500mm
全幅:1845mm
全高:1616mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:5.6秒
航続距離:418km
電費:5.4km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2085kg
パワートレイン:ツイン励起モーター
駆動用バッテリー:64.7kWh
急速充電能力:130kW
最高出力:312ps/4300-1万5200rpm
最大トルク:50.2kg-m/0-4900rpm
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)
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