現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > トヨタは初の電気自動車「bZ4X」開発にあたって、電気自動車の弱点をどのようにクリアしたのか?

ここから本文です

トヨタは初の電気自動車「bZ4X」開発にあたって、電気自動車の弱点をどのようにクリアしたのか?

掲載 更新 47
トヨタは初の電気自動車「bZ4X」開発にあたって、電気自動車の弱点をどのようにクリアしたのか?

電気自動車のウィークポイントはバッテリー

トヨタが電気自動車専用プラットフォームを採用した第一弾モデル「bZ4X」の詳細を発表しました。bZというシリーズ名は「beyond Zreo(ゼロを超えた価値)」を込めたもので、ゼロエミッションだけでなく、その上を目指した電気自動車であることを期待させるネーミングです。

トヨタが満を持して電気自動車「bZ4X」を発表。2022年の年央発売、注目技術や価格は?

bZ4Xはトヨタがゼロベースで作る初めての電気自動車ですが、まだ実物が公開さたわけではなく、充電性能や走りについてもトヨタの言い分を聞くだけのフェイズです。しかしながら、トヨタが電気自動車のウィークポイントを押さえ、その対策をしてきていることは、発表内容からも明らかです。

筆者はかつて初代リーフに乗っていました。そこで感じていたのはバッテリーが電気自動車の命綱になるということです。ここではbZ4Xのバッテリー周りのテクノロジーや考え方に注目して、bZシリーズが描く未来を想像していこうと思います。

キーワードは温度管理と液冷

まず、電気自動車ユーザーが切実に感じるのはバッテリーの温度管理でしょう。夏場の高速走行や急速充電ではバッテリー温度が上昇して、しばらく下がらない状態になってしまいます。そうなると充電しようにも思うように電気は入ってくれず、パフォーマンスにも悪影響が出ます。

逆に温度が低くても急速充電の入りは悪く、加速性能なども低下、電費も悪化するため航続距離も短くなります。バッテリーは適温をキープすることが重要なのです。

bZ4Xはバッテリー温度を「液冷」で管理して、バッテリーの性能を常に引き出すことに成功しているようです。「RAV4 PHV」などのプラグインハイブリッドでもバッテリーの温度管理に気をつかっているトヨタは、その重要性を十分に理解しているのでしょう。冷却液も高抵抗タイプで、万が一バッテリーに冷却液が触れてもショートしづらいように配慮しているのもさすがといったところです。

温度管理はロングライフ化にも貢献します。bZシリーズで使われるリチウムイオンバッテリーは平均的な使い方で10年後にも90%の性能を保持。バッテリーはどんなに大事に使っていても経年劣化するものですが、トヨタは最小限に抑えています。

バッテリーのロングライフ化はユーザーメリットに直結

バッテリーの寿命を伸ばすことは、2つのユーザーメリットがあります。

ひとつめは航続距離のストレスを感じないこと。長年使っているとバッテリーの劣化で航続距離が短くなるのが気になるもの。ストレスなくずっと同じような感覚で使うことができるのは大きなメリットでしょう。

ふたつめはリセールバリューへの好影響。最近はバッテリーがそれほど劣化しないという事実が広まったのか、一時期ほどリセールバリューは悪くないのですが、“中古EVはバッテリーの劣化で航続距離が極端に短い”というイメージは、国産電気自動車のリセールバリューの低さにつながっています。10年後にも90%の性能をキープするbZ4Xのバッテリーなら、そうした悪いイメージを払拭するかもしれません。

バッテリーのリユースやリサイクルも計画されている

さらにリセールバリューを高めるのが、廃車後のバッテリーがリユースされるという点。クルマのバッテリーとして使えなくなっても定置型バッテリーとして活用するというのは、再生可能エネルギーの発電が増えるほどにニーズが高まるはずです。

しかも、定置型バッテリーとして使った後は新たなバッテリーとして甦らせるリサイクルまで計画しているというのは、バッテリー製造時のCO2排出量が問題になっているだけに重要な点ではないでしょうか。

もちろん外部給電機構も装備。災害時には昼間に発電した電気をバッテリーに蓄え、夜間の照明など家庭用に利用することも可能となっています。

実際にバッテリーの劣化が少なく、季節を問わずパフォーマンスを発揮できるかどうかは市販されて、様々なユーザーが使ってみないと何とも言えません。トヨタが本気で電気自動車に取り組んだbZシリーズは期待通りの性能を見せてくれるのでしょうか?

文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)

※写真は2021年4月発表のコンセプトモデル

文:carview! 編集部
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

日産の稼ぎ頭! ミニバン「セレナ」顔面チェンジで高級感アップ!? 最近の車中泊ブームにも対応
日産の稼ぎ頭! ミニバン「セレナ」顔面チェンジで高級感アップ!? 最近の車中泊ブームにも対応
乗りものニュース
eve autonomyの無人搬送システム、ロジコネットの危険物工場に導入…化学品物流の安全性向上へ
eve autonomyの無人搬送システム、ロジコネットの危険物工場に導入…化学品物流の安全性向上へ
レスポンス
「これは革新的」「デッドスペースにピッタリとハマる」簡単装着で効果抜群! スタイリッシュで見た目もイイ感じのカーグッズを紹介
「これは革新的」「デッドスペースにピッタリとハマる」簡単装着で効果抜群! スタイリッシュで見た目もイイ感じのカーグッズを紹介
月刊自家用車WEB
EVバッテリー革命? 「純度99.79%リチウム」回収に米研究チームが成功、リサイクル率5%の壁を突破なのか
EVバッテリー革命? 「純度99.79%リチウム」回収に米研究チームが成功、リサイクル率5%の壁を突破なのか
Merkmal
アプリ売りのオジさん彷徨記 Vol.59 「船橋でフォローアップ編1」
アプリ売りのオジさん彷徨記 Vol.59 「船橋でフォローアップ編1」
AutoBild Japan
新しい日産セレナ登場──GQ新着カー
新しい日産セレナ登場──GQ新着カー
GQ JAPAN
トヨタ「“新型”RAV4」発売に反響“殺到”!? 「トヨタ恐るべし…」「高級車じゃねーか」 約7年ぶり全面刷新で「450万円スタート」 大幅進化した“SUVの最重要モデル”が話題に
トヨタ「“新型”RAV4」発売に反響“殺到”!? 「トヨタ恐るべし…」「高級車じゃねーか」 約7年ぶり全面刷新で「450万円スタート」 大幅進化した“SUVの最重要モデル”が話題に
くるまのニュース
中国の巡視船に“放水砲攻撃”される漁船 3人けが フィリピンが動画公開し猛抗議「この映像を家族と一緒に見てほしい」
中国の巡視船に“放水砲攻撃”される漁船 3人けが フィリピンが動画公開し猛抗議「この映像を家族と一緒に見てほしい」
乗りものニュース
【マイクロモビリティ研究所】自転車型で制度認定第1号! 特定小型原付「カーメイト e-FREE 01」試乗インプレッション(動画あり)
【マイクロモビリティ研究所】自転車型で制度認定第1号! 特定小型原付「カーメイト e-FREE 01」試乗インプレッション(動画あり)
バイクブロス
メルセデス・ベンツGLSのベースモデル「GLS 450d 4MATIC」がブラックのアクセントパーツを纏ったうえで名称を「GLS 450d 4MATICナイトエディション」に変更
メルセデス・ベンツGLSのベースモデル「GLS 450d 4MATIC」がブラックのアクセントパーツを纏ったうえで名称を「GLS 450d 4MATICナイトエディション」に変更
カー・アンド・ドライバー
VWのSUV『ティグアン』と『タイロン』、ハンコックタイヤ「ベンタス evo SUV」純正装着
VWのSUV『ティグアン』と『タイロン』、ハンコックタイヤ「ベンタス evo SUV」純正装着
レスポンス
千住金属工業、xEV向け新接合技術を披露へ…オートモーティブワールド2026
千住金属工業、xEV向け新接合技術を披露へ…オートモーティブワールド2026
レスポンス
ベトナムEVビンファスト、東南アジア初の工場をインドネシアに開所…年産35万台めざす
ベトナムEVビンファスト、東南アジア初の工場をインドネシアに開所…年産35万台めざす
レスポンス
彼の愛した緑とジャケットを纏う。911 GT3に伝説の美学を封じ込めた「90 F.A.ポルシェ」の全貌
彼の愛した緑とジャケットを纏う。911 GT3に伝説の美学を封じ込めた「90 F.A.ポルシェ」の全貌
LEVOLANT
日産 エルグランドだけじゃない!! パトロールも印象的すぎた日産のジャパンモビリティショー2025
日産 エルグランドだけじゃない!! パトロールも印象的すぎた日産のジャパンモビリティショー2025
ベストカーWeb
北海道で唯一の「三セク鉄道の代替バス」へと変わった旧・ふるさと銀河線!! 鉄道時代のプロファイルが濃厚すぎる!!
北海道で唯一の「三セク鉄道の代替バス」へと変わった旧・ふるさと銀河線!! 鉄道時代のプロファイルが濃厚すぎる!!
ベストカーWeb
デビュー30周年! ホンダの「“3列・7人乗り”ミニバン」に注目! 全長4.8m級「見晴らし良好ボディ」×「ほっこりシート」で快適度もアップ!? 新たな「ステップワゴン“30周年特別仕様車”」2モデルを設定
デビュー30周年! ホンダの「“3列・7人乗り”ミニバン」に注目! 全長4.8m級「見晴らし良好ボディ」×「ほっこりシート」で快適度もアップ!? 新たな「ステップワゴン“30周年特別仕様車”」2モデルを設定
くるまのニュース
ホンダ ステップワゴンに、初代誕生から30周年を記念した特別モデル登場!──GQ新着カー
ホンダ ステップワゴンに、初代誕生から30周年を記念した特別モデル登場!──GQ新着カー
GQ JAPAN

みんなのコメント

47件
  • ネガキャンコメントしか書かないみんコメ民キモい
    なんでもダサいって言うやつ50代の糞ジジイに間違いない。
  • アンチが反射的に批判してるが

    選択肢が増え競争になることはユーザーにとってメリットしかない。
    各社どんどん競い合ってほしいね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村