■取締り件数は大幅に減少、現場でも変化の声が
携帯電話やスマートフォンなどを操作しながら運転する「ながら運転」の罰則が強化されから、およそ1年が経過しました。厳罰化によって、どれほどの効果が得られたのでしょうか。
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2019年12月1日に改正道路交通法が施行され、運転中にスマートフォン(以下、スマホ)を使用する行為などに対する罰則が強化されてから、およそ1年が経過しました。
では、即免停もあり得る厳罰化によって、どれほどの効果が得られたのでしょうか。
2019年の道路交通法の改正では、「携帯電話使用等」に対して、罰則の強化や違反点数の引き上げがおこなわれました。
携帯電話の使用などにより、道路における交通の危険を生じさせた場合の「携帯電話使用等(交通の危険)」では、改正前の罰則は3か月以下の懲役または5万円以下の罰金だったものが、改正後は1年以下の懲役または30万円以下の罰金となっています。
改正後は反則金の適用はなくなり、刑事罰の適用対象となるほか、違反点数が2点から6点に変更されることから、免許停止処分の対象となります。
一方、スマホや携帯電話などでの通話や、スマホやカーナビの画面などを「注視」する行為をおこなった場合の「携帯電話使用等(保持)」では、罰則が改正前の5万円以下の罰金から、改正後は6か月以下の懲役または10万円以下の罰金となっています。
反則金は、普通車であれば改正前の6000円から改正後は1万8000円に引き上げられ、違反点数も改正前は1点だったものが、改正後は3点となっています。
なお、同法では「当該自動車等が停止しているときを除き」とあるため、タイヤが完全に停止していればスマホの操作は可能とされています。
これらの厳罰化は、ドライバーの意識に変化を与えているようです。
2020年7月、警察庁は2020年上半期(1月から6月)の道路交通法違反取締り状況を発表しました。
それによると、携帯電話使用などの違反は、前年比60.2%減となる15万3001件と大幅に減少しています。
また、現場でもその効果は目に見えてあるようです。実際に取締まりをおこなう警察官は、以下のように話します。
「道交法改正後は、明らかに『ながら運転』の取締り件数は減っています。また、操作する際はしっかり駐停車してから、という人も増えている印象です。
しかし、ドライバーが気をつけるようになったものの、歩行者や自転車の『ながら歩き、ながら運転』はいまだ多いため、スマホに関連するトラブルや接触事故の報告はあまり減っていません。
最近では、コロナの影響で各配達サービスが盛んになっているので、とくに自転車のながら運転によるトラブルが増えています。
ドライバーはもちろん、周囲にいる歩行者や自転車の方も、スマホを操作するときは安全な場所で止まって操作をしてください」
※ ※ ※
ドライバーによる携帯電話やスマートフォンのながら運転は、データだけでなく実際の現場でも、厳罰化の効果が現れているようでした。
一方で歩行者や自転車によるながら運転による事故やトラブルが目立ちはじめているようです。
とくに新型コロナウイルスの影響により、自宅にいる時間が増えたことで、自転車を活用したデリバリーサービスが普及しました。
これにより、配達場所までのルート検索などによるながらスマホが増加したことが、トラブルや接触事故件数に変化が表れていない要因といえます。
■ハンズフリーだから安心、ではない?
ながら運転の厳罰化は、実際にハンドルを握るドライバーの意識が変わっただけでなく、ハンドルを握る前にも影響を与えているようです。
首都圏のトヨタの販売店スタッフは以下のように話します。
「ながら運転の厳罰化以降、Bluetooth接続によるハンズフリー通話が搭載されているかを気にするお客さまが増えたと思います。
また、企業が社用車として導入する際も、ハンズフリー機能の搭載はほぼマストとなっています。
最近の新型モデルであればほとんどのクルマに装備されていますが、少し前のモデルでは非搭載車も多いです。そのため、厳罰化直後はハンズフリーのためだけにクルマを買い替えたというお客さまもいらっしゃいました」
罰則対象とならないよう、クルマのハンズフリー通話は「必須装備」と考えるユーザーも多いようでした。
しかし、ハンズフリーにしたから安心というわけではなく、使用する際は注意が必要です。警視庁の交通課は次のように説明しています。
「道路交通法で禁止されているのは、携帯電話の保持や、携帯画面・ナビ画面の注視です。
通話すること自体は違反ではありません。例えば、信号待ちを含む停車中に携帯電話を操作して電話をかけ、クルマが動き出す前に携帯電話の操作が終わっていれば違反にはなりません。
しかし、通話を終えるため走行中に携帯を操作したり、画面を注視すると違反になり、ナビ画面の操作でも同様です。
画面注視については、具体的な秒数が決められていません。何をもって注視と判断するのかについては、運転操作から注意がそれたときといえます。そして、その判断は現場の警察官に任せています。
また、運転中は、車外の音が常に聞こえる状態でなければいけません。よって、両耳を塞ぐイヤホンやヘッドホンを使って通話をしたら別の違反になります。
道路交通法では禁止されていない運転中の通話ですが、条例で禁止している自治体もあります。
条例も常に改正されていますから、ご自身が住んでいる地域では通話が可能なのかどうか、対象の都道府県警で確認してください」
※ ※ ※
ハンズフリー機能は、運転中でも機器の使用方法によって通話は可能ですが、自治体の条例や警察官の違いによっては取り締まられることがあるようでした。
運転中に通話をしたいときは、安全な場所にクルマをきちんと停車してから通話しましょう。
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みんなのコメント
特に信号にない生活道路でママさん達がスマホ見ながら結構な速度で走ってます。
更に信号無視がやたら増えてます。赤信号になっても無理やり右折していく人が絶えません。
いい加減「交通安全」や「交通弱者保護」等ともっともらしい大義名分を笠に着て円滑な交通を妨害し、挙げ句の果てに定年退職警官の飯の種にしかなっていない道路交通法を改正すべき。真に「交通安全」を目指すなら一方だけが責任を追う形はどう考えても意味がない。